東北地域のアイコン

東北地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]

3月の八幡平の森はおもしろい

2009年03月17日
鹿角
 3月の八幡平と聞くとまだ厚い雪に閉ざされた人を寄せ付けない世界を連想する方が多いと思います。しかし前の月に比べると格段に昼の時間が長くなり、たまに訪れる晴れ間に森に入ってみるとこの時期にしか味わえない「自然観察」が楽しめます。

 南八幡平の乳頭で3月1日、八幡平の大沼では3月15日にそれぞれ「スノーシュー雪上自然観察会」を行い多くの方が参加してくれました。夏の間はチシマザサが生い茂り、入っていくことのできない森に自由自在に出入りできるのがこの時期の大きなメリットです。


 鹿角自然保護官事務所で企画する自然観察会では常に参加者自身による発見と気づきを一番大切に考えています。 そのため、乳頭では、各班毎に、「自分達が歩いてきたブナの森から受けた印象を」枯枝や木の皮を使ってアートで表現してもらいました。ミズナラの枝と山ブドウの蔓を使って人間と森との支え合いを表現する班、人間が森の中では楽しい気分になることをブナの枝で表現する班など、短い時間のうちに感動的なアートができあがりました。

 大沼の観察会では手作りのビンゴゲームをつくり、参加者自身に生き物たちの「生の証し」を見つけてもらうことにしました。その結果、驚くほど密集したクマ棚や、モモンガの巣穴や食痕を見つけてくれました。

「楽しく」生物の多様性を感じることが、この地域の国立公園の自然を守っていく原動力になると考えます。参加者一人一人の違った感性と目を通じて知ることのできる発見と出会えることがアクティブレンジャーとしての大きな喜びの一つです。

枯枝と木の皮と雪だけで多様なアート表現ができるなんて(乳頭)


モモンガに囓られたアオモリトドマツの葉芽。ブナからダケカンバ、アオモリトドマツへの移行帯が理想的な生息地帯なのだろう(大沼)


クマ棚は大木では無く、平坦な地形の中小経木に多く見られる。ここ大沼周辺では夥しい数のクマ棚が見られ、今回ウワミズザクラに棚をつくっていたのには驚かされた(大沼)