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東北地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]

キツツキの営巣木

2007年11月08日
秋田
 先日すっかり葉の落ちたブナの森を巡視した際、ブナの幹にあるキツツキの営巣穴を見つけました。そこでこれまでに見つけた営巣木と併せて紹介します。

 全ての巣穴に共通している点は、巣の入口から見て開けた空間があること。①は人気の少ない登山道、②は森の中の開けた空間、③は渓谷に面しています。巣穴の下には枝が無くまっすぐに伸びた木であること。①は地上から約3m、②は5m以上、③は約2mの高さに巣穴があります。十分な太さのある大木級であること。①②③とも特別な大木ではありませんがまっすぐで大きな見栄えのする木です。

 キツツキ達は何故この様な木を選んで営巣するのか?というと・・・
ヘビ等に巣穴を襲われないように、周囲に開けた空間があり、かつ下枝の無い木を選ぶ。巣穴の中には育雛するための空間が必要なのである程度の太さが必要となる。等の理由が挙げられるそうです。その条件で何とか多くの営巣木を確認しようと思いましたが、これに当てはまる環境は驚くほど稀であるのが現状です。

①:ブナの幹に開いたキツツキの営巣穴。巣穴の主は特定できませんが、やや小振りな印象を受けました。2007/11/6

②:十数年前に実際に使われたクマゲラの営巣穴。「穴が小さくなってきている」とは鳥獣保護区管理員さんの弁。2007/10/18

③:針葉樹であるネズコ(クロベ)に開けられたキツツキの営巣穴。2007/10/19

 森吉山麓にはクマゲラをはじめアカゲラ・アオゲラ・コゲラなどのキツツキが生息しています。彼らがペアとなり営巣し、育雛し、次の世代が巣立ち生活していくためには相当な広さの森が必要です。貴重な森の更に貴重な環境は我々人間の想像を絶する程少ないのかもしれません・・・(※森吉山麓のクマゲラ1つがいの生息には最低1000haのブナ林が必要とする報告もあります。)因みに2000年~2006年で巣立ちが確認された雛の数は7羽だそうですが、そのうち4年は巣立ちが行われなかったとする報告があります。