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東北地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]

冬の自然観察

2006年12月27日
十和田
 今日は発達した低気圧のために大荒れの天気となっています。まるで台風のような雨風が事務所の窓をたたきつけていました。その雨もいつの間にかみぞれに変わり、夕方15時を過ぎると雪へと変わりました。

 一方、昨日の十和田湖はとてもいい天気でした。事務所の窓の外をふと見た十和田のもう一人のARの村田さんが、近くの木にキツツキの仲間である「アオゲラ」が飛んできたのを見つけました。絶好のシャッターチャンスとばかりに村田さんはカメラを構え、私は双眼鏡で観察していました。




どうやら、まだ木に残っている実をついばんでいるようでした。




アオゲラは何の実を食べているんだろう?
…必死に記憶をたどりましたが、何の木であるか全く検討が付きません。
勉強不足でした…。
というわけで、その後外に出た時に早速確かめに行ってみました。
同定の手がかりになる葉はもう落ちてしまっているので、冬芽や葉痕(枝に付いている葉の落ちた痕)をよく観察してみると、深いU字型の葉痕と、その中に赤くて丸い冬芽があります。

写真を撮らなかったので、絵を描いてみました。
こんな感じです↓ さて、これは…?



正体は、「キハダ」と判明しました。
キハダはミカン科の樹木で、内樹皮が黄色で苦く漢方薬(胃腸薬)として利用されていることで知られています。
キハダの冬芽と葉痕は、まるで顔のような面白い形をしています。ちなみに、「顔」の鼻のように見えるのが冬芽です。そして目と口に見える部分は維管束の痕で、水や養分が葉と枝を往き来していた部分です。

冬芽と葉痕が顔のように見える樹木は結構あります。今年の12月3日に開催した冬の自然観察会の準備で冬芽について調べたときにそのことを知ってから、この面白い「顔」をつい探してしまうようになりました。

皆さんも、晴れた日にはいろんな冬芽の「顔」を探しに出かけてみませんか?