ACTIVE RANGER

アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]

東北地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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2011年12月

22件の記事があります。

2011年12月02日食料のストック

秋田 足利 直哉

 今日はスッキリとした青空が広がった秋田県内。お出かけには絶好の日和でした。でも明日からはあれた空模様になるようです。週末の悪天応が巡ってくるサイクルになっていますね・・。


 この時期はいつそうした悪天候がやってくるのか分かりませんし、いつやってきてもおかしくないので様々な冬支度をしている事ともいますが、野鳥達にも来るべき冬に備えてしっかりと準備をしている鳥がいます。

 今日の日記は、来る冬に備えて食料をストックし、現在はそのストックから小出しにして食事をしていた【ゴジュウカラ】を取り上げました。
 


 10月下旬、【ゴジュウカラ】は木の実を咥えながら森の中を忙しく飛び回っていました。ミズナラやブナの実を何処からか運んできては食料をストックする場所へと収納し、また次の木の実を探しに行くと言う作業を続けていたのでした。
 それからおよそ1ヶ月、現在は山には雪が降って地面を覆ってしまったため落ちている木の実を探すのが難しくなったようです。でも【ゴジュウカラ】には食料のストックがあるので大丈夫!!


 コケが木の幹を覆い尽くしている木は【ゴジュウカラ】の食料庫になるようです。枝とコケの隙間などは格好の食料庫のようです。


 蔓が巻き付いている木も【ゴジュウカラ】は食料庫として利用します。蔓と幹の間にも木の実をしまい込んでいるようでした。


 取り出した木の実を咥えている【ゴジュウカラ】の表情が嬉しそうに見えるのは気のせいでしょうか?

 いったいどれだけの食料を保管しているのか分かりませんが、何となく『アリとキリギリス』のキリギリスと重なって見えた【ゴジュウカラ】。この先の厳しい冬をしっかりと乗り切って欲しいものです。


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2011年12月01日マガンの群れに幼鳥を探す

秋田 足利 直哉

 いよいよ師走突入!今年も残り一ヶ月となりました。
 今日の秋田市は最高気温が一桁。明日の最低気温は氷点下の予報が出ています。何かと忙しい時期ですからくれぐれも安全に留意して行動してください。



 本格的な寒波到来を前にガンの群れが大挙、南下してきたのでしょうか?大潟村やその周辺で確認できるガンの群れがこれまでとは段違いに増えています。更には種類も増えてかなり賑やかになってきました。
 

 普段・・・大きなガンの群れの中からマガンが○○羽、ヒシクイガ○○羽、シジュウカラガンが・・ハクガンが・・と一通りカウントして、余裕があればヒシクイとオオヒシクイの割合をざっと見渡してみたり、標識のついた個体を探してみたりと様々な事を調べていくのですが、最近は群れの中から「幼鳥」を探してみたりもしています。
 ハクチョウ達やハクガンであれば成鳥と幼鳥とではハッキリとした違いがあって確実にカウントすることも出来ますが、そのほかの種についてはかなり難しい種もいたり正直お手上げという種もいます。しかし【マガン】はよ~~く見れば幼鳥を探し出すことが出来ます。


 ちょっと前に撮影した【マガン】の群れの一部です。この中に2羽の【マガン】幼鳥が写っています。お分かりになりますか?
 
 【マガン】の成鳥と幼鳥の識別ポイントとしてあげられるのは嘴の付け根部分から額にかけて見られる白い羽が、あるか?ないか?とよく言われますよね?でもこの一点だけでは少々心許ないと感じます。出来る事ならそのほかにも識別ポイントがあればそれらを総合的に判断できますからより確実性が増しますよね?
 そこで最近、私が実際に観察するときにチェックしているポイントを挙げてみようかと思います。

 と・・・その前に。上の写真には2羽の【マガン】幼鳥が写っています。中央奥にいる個体と写真左側の上にいる個体です。


 この写真の上にあるのが『中央奥』の個体で下にあるのが『写真左側の上』の個体です。いずれも嘴の付け根部分から額にかけての白い羽が無いようです(あるいはほとんど無いようです)。【マガン】の英名は【White-fronted Goose】といいますが幼鳥の場合、この名前の通りの外見ではないことになります。その視点でもこの2羽を見つけることは可能だとは思いますが、もう少し細かく見ると・・・
①嘴の色が成鳥はピンク色だが幼鳥はオレンジ色。
という特徴もあります。しかしこの色味というのは注意が必要です。天気や日当たり具合によって微妙に変化したりしてなかなか確かな決め手にならない場合もあります。
そこでもう一つ
②嘴の先端部分(嘴爪)が成鳥は「白」で幼鳥は「黒」。
これは文字通り白か黒か?というハッキリとした識別点なので①よりは確実性が高くなるでしょう。この部分は真横からであればしっかりと見えますし、それよりも前を向く体勢で確認できればますますよく見えます。

 この他にも識別できるポイントはあるようですが、大きな群れの中から探す際には英名の由来となった白い羽の有無に①と②のポイントを加えてチェックすることが出来れば、かなり確度の高い識別が出来るのではないでしょうか?


 参考のため、【マガン】剥製の嘴部分をアップで撮影した物を掲載しました。褪色と着色で実際の色とはちょっとかけ離れていますが『嘴爪』は確認できるともいます。
 この剥製の【マガン】は白い羽があって、嘴爪が白(っぽい)いので成鳥と言うことが分かります。



 私だけかも知れませんが・・・大きな群れの中から幼鳥を見つけ、その周囲の個体を見渡してみると何となく「家族」が見えてきたり、幼鳥同士が何羽か集まっていると「幼稚園」が見えたりしてちょっと”ほっこり”した気分を味わうことが出来ます。
 
 動物園などでは、そこにいる動物たちに赤ちゃんが生まれるとその可愛い姿に多くの人が引きつけられて人気者になりますよね?自然界に生きる【マガン】の群れに「幼鳥」を見つけるとそれと同じように愛おしい存在に感じられるんですよね~^^

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