アクティブ・レンジャー東北地区
白神山地とともに歩む人々 ーWorking Together for Shirakamiー
2026年09月30日
白神山地
白神山地には、さまざまな立場で森と関わる人たちがいます。
今回は、私のこれまでの活動を通じて出会った、そんな「白神山地とともに歩む人々」をご紹介します。
今回は、私のこれまでの活動を通じて出会った、そんな「白神山地とともに歩む人々」をご紹介します。
白神山地世界遺産地域合同パトロール
白神山地世界遺産地域では、入山者へのマナー啓発やごみの持ち帰りの呼びかけ、登山道の状況確認などを目的として、関係機関による合同パトロールが行われています。2026年は、6月と9月の2回、青森県側の白神山地世界遺産地域で実施されました。白神山地世界遺産地域連絡会議の構成機関の職員をはじめ、巡視員、警察、消防、漁協関係者など、総勢40名ほどが参加し、西目屋村のブナ林散策道、高倉森登山道、深浦町の白神岳登山道の3コースに分かれてパトロールを行いました。
私はそのうち、津軽峠から高倉森までの登山道を担当しました。登山道を歩いていると、ごみは見当たりませんでした。利用者の皆さんがマナーを守って白神山地を利用していることが感じられました。一方で、少し違った「利用者」の痕跡も見つかりました。それは、ツキノワグマです。登山道沿いには、クマによって壊された標識があり、その近くには大きな足跡が残っていました。さらに、木の幹には鋭い爪によるひっかき傷も見つかりました。私たちにとっては「登山道」でも、クマにとってはここが暮らしの場です。人が安全に白神山地を利用できる環境を整えることと、野生動物が生息できる環境を守ること。その両方を考えることも、白神山地を守ることなのだと改めて感じました。パトロールでは、入山者の皆さんへのマナー啓発だけでなく、野生動物の痕跡や登山道周辺の状況を確認することも大切な仕事の一つです。
私はそのうち、津軽峠から高倉森までの登山道を担当しました。登山道を歩いていると、ごみは見当たりませんでした。利用者の皆さんがマナーを守って白神山地を利用していることが感じられました。一方で、少し違った「利用者」の痕跡も見つかりました。それは、ツキノワグマです。登山道沿いには、クマによって壊された標識があり、その近くには大きな足跡が残っていました。さらに、木の幹には鋭い爪によるひっかき傷も見つかりました。私たちにとっては「登山道」でも、クマにとってはここが暮らしの場です。人が安全に白神山地を利用できる環境を整えることと、野生動物が生息できる環境を守ること。その両方を考えることも、白神山地を守ることなのだと改めて感じました。パトロールでは、入山者の皆さんへのマナー啓発だけでなく、野生動物の痕跡や登山道周辺の状況を確認することも大切な仕事の一つです。
100年先の森を見つめる
白神山地とともに歩む人々の中には、今の森だけでなく、これから先の森の変化を見つめ続けている人たちもいます。
「世界遺産白神山地ブナ林モニタリング調査会(ブナモニ調査会)」は、地元住民、大学関係者、関係機関職員などのボランティアで構成され、1999年から白神山地内のブナ林で科学的なモニタリング調査を続けています。この活動で特に印象に残ったのが、「100年先の森を見据えて、長期的に調査を続けている」ということです。ブナ林がどのように変化していくのかは、数年の観察だけではなかなか分かりません。そこで、同じ場所で長い年月にわたってデータを蓄積し、気候変動などによる森林の変化を捉えることを目指しています。調査では、決められた場所に生えている樹木を一本一本調べる「毎木調査」や、落葉や種子の量を調べるための「リタートラップ」の設置などを行います。
2026年6月下旬には、大学教員を中心とした約15名が参加し、新たなモニタリング候補地の調査を行いました。そして9月中旬には、一般参加者や大学生・大学院生などを含む23名が参加し、2泊3日のテント泊で本調査を実施しました。ブナ林の中で、私も参加者の一人として、決められた調査区内の樹木を一本一本調べる「毎木調査」を行いました。一見すると、とても地道な作業です。しかし、今日測った一本の木の記録が、何年後、何十年後の記録と重なったとき、初めて森の変化が見えてくるのかもしれません。目の前にある一本のブナを測ることは、100年先の白神山地を見つめることなのだと思います。11月には、今回設置したリタートラップの回収などが予定されています。
「世界遺産白神山地ブナ林モニタリング調査会(ブナモニ調査会)」は、地元住民、大学関係者、関係機関職員などのボランティアで構成され、1999年から白神山地内のブナ林で科学的なモニタリング調査を続けています。この活動で特に印象に残ったのが、「100年先の森を見据えて、長期的に調査を続けている」ということです。ブナ林がどのように変化していくのかは、数年の観察だけではなかなか分かりません。そこで、同じ場所で長い年月にわたってデータを蓄積し、気候変動などによる森林の変化を捉えることを目指しています。調査では、決められた場所に生えている樹木を一本一本調べる「毎木調査」や、落葉や種子の量を調べるための「リタートラップ」の設置などを行います。
2026年6月下旬には、大学教員を中心とした約15名が参加し、新たなモニタリング候補地の調査を行いました。そして9月中旬には、一般参加者や大学生・大学院生などを含む23名が参加し、2泊3日のテント泊で本調査を実施しました。ブナ林の中で、私も参加者の一人として、決められた調査区内の樹木を一本一本調べる「毎木調査」を行いました。一見すると、とても地道な作業です。しかし、今日測った一本の木の記録が、何年後、何十年後の記録と重なったとき、初めて森の変化が見えてくるのかもしれません。目の前にある一本のブナを測ることは、100年先の白神山地を見つめることなのだと思います。11月には、今回設置したリタートラップの回収などが予定されています。
未来の守り手たち
白神山地を見守っているのは、大人だけではありません。秋田県藤里町の岳岱では、「藤里町ブナ林モニタリングプロジェクト」の一環として、地元の中学生がブナ林に入り、毎木調査などを行っています。木の幹にメジャーを当て、太さを測る。その一本一本の記録が、森の変化を知るための大切なデータになります。そして、こうした活動を通じて、子どもたちがブナ林に触れ、森の変化を自分の目で見る経験にもつながっていくように感じました。
また、西目屋村の小学生たちも、総合的な学習の時間「白神タイム」の一環として、白神山地について学んでいます。ブナ林散策道や弘大自然観察園などのフィールドに入り、植物やさまざまな生きものに触れながら、白神山地との関わりを学習しています。この日は、土壌断面を観察し、ブナ林の豊かな生態系について学んでいました。子どもたちは地面に掘られた穴をのぞき込みながら、土の色や層の違いについて説明を聞いていました。森を歩き、木や生きものを観察する。そして、普段はあまり意識することのない「土」にも目を向ける。こうした一つ一つの体験が、子どもたちにとって白神山地を身近に感じるきっかけになっていくのだと感じました。
また、西目屋村の小学生たちも、総合的な学習の時間「白神タイム」の一環として、白神山地について学んでいます。ブナ林散策道や弘大自然観察園などのフィールドに入り、植物やさまざまな生きものに触れながら、白神山地との関わりを学習しています。この日は、土壌断面を観察し、ブナ林の豊かな生態系について学んでいました。子どもたちは地面に掘られた穴をのぞき込みながら、土の色や層の違いについて説明を聞いていました。森を歩き、木や生きものを観察する。そして、普段はあまり意識することのない「土」にも目を向ける。こうした一つ一つの体験が、子どもたちにとって白神山地を身近に感じるきっかけになっていくのだと感じました。
100年先の白神山地へ
今回、登山道の合同パトロール、ブナ林のモニタリング調査、そして小学生・中学生の学習など、さまざまな活動に参加する機会がありました。そこで改めて感じたのは、多くの人がそれぞれの立場で白神山地と関わり続けているということです。登山道を歩きながら森の状況を見守る人。ブナの一本一本を測り、長い年月をかけて森の変化を記録する人。地域の子どもたちに白神山地の魅力や価値を伝える人。そして、森の中で学び、これからの白神山地を担っていく子どもたち。それぞれの活動は、一見するとまったく違うものに見えます。しかし、その一つ一つが、白神山地とともに歩む営みです。
白神山地を歩いていると、私たちは美しいブナ林や、そこに暮らすさまざまな生きものに目を向けます。もし次に白神山地を訪れる機会があれば、ぜひ森そのものだけでなく、その森を見守り、調べ、学び、その価値を伝えようとしている人たちの存在にも思いを巡らせてみてください。
そして、もし登山道の脇で大きなクマの足跡を見つけたら――。
そこには、野生動物が暮らす森と、その森とともに歩む人々の営みがあります。そんなことも思い出していただければと思います。
白神山地を歩いていると、私たちは美しいブナ林や、そこに暮らすさまざまな生きものに目を向けます。もし次に白神山地を訪れる機会があれば、ぜひ森そのものだけでなく、その森を見守り、調べ、学び、その価値を伝えようとしている人たちの存在にも思いを巡らせてみてください。
そして、もし登山道の脇で大きなクマの足跡を見つけたら――。
そこには、野生動物が暮らす森と、その森とともに歩む人々の営みがあります。そんなことも思い出していただければと思います。