東北地方環境事務所>野生生物の保護管理>ブラックバス駆除マニュアル
ブラックバス駆除マニュアル/目次 /伊豆沼・内沼の現状 /駆除の前に /人工産卵床の製作と設置 /観察と駆除 /稚魚の駆除 /定置網による駆除 /池干しによる駆除 /他地域における取組み /おわりに/
最初の産卵から2~3週間後に、オオクチバスの稚魚が産卵床から離れて中層を泳ぐようになります。この時期はまだ完全に水面まで浮上していません。中層付近を密集して群れを作っています(前掲図を参照)。目視確認は困難ですので、人工産卵床の観察時、目の細かい手網で探りながら稚魚の群れを見つけるようにします。
浮上前の稚魚の駆除には、目合い1㎜の三角網を使用します。
稚魚を駆除するときにオオクチバスに混じって獲ってしまう可能性がある魚の多くは, 中層を泳ぐコイ科の稚魚です.オオクチバスとほかの稚魚を区別しないでいると,駆除すべきでない魚を駆除してしまいかねません.コイ科の稚魚にはフナ類やタナゴ類のように体が丸みをおびたり平べったいものから,モロコの仲間のように細長いものまでさまざまなものがいますが,オオクチバスとは共通して腹びれの位置が違うことで見分けることができます. オオクチバスの腹びれは胸びれの真下にありますが,コイ科の腹びれは腹の中央付近にあります.稚魚の腹びれは空中では折りたたまれて見つけにくいのですが,稚魚の区別に慣れないうちは,つまようじのようなもので後ろからなでるように腹びれの位置をさぐって確認しましょう.
浮上前のオオクチバス稚魚の体色は透明で、腹部はミジンコなどを捕食しているためオレンジ色に見えます。一方、コイ科の稚魚は腹部が銀色に見えるため見分けるときの参考にしてください。
また、オオクチバスの稚魚を駆除して田舟やバケツなどに入れた場合、酸欠に弱いオオクチバス稚魚はすぐに死んでしまいます。しかし、フナ類やタナゴ類、モロコ類はオオクチバスの稚魚より酸欠に強いため、水面に浮いてきます。この場合には、オオクチバス以外の稚魚をすくい上げて沼へ戻しましょう。
● 確認作業①
透明度の低い水域で中層の稚魚を目視で確認するのは困難です。稚魚を確認するには、網を構えて横一列になって岸と平行に移動しながら、時々片足をゆっくり上げます。こうすると、稚魚の群れがこの動作にあわせ水面付近まであおられて上がってきます。
● 確認作業②
時々、網を上げながら稚魚の有無を確認して下さい。
伊豆沼・内沼では、フトイ、ショウブなどの抽水性植物群落やヨシ帯付近でよく確認されています。
(写真:中央から手前がショウブ群落)
● 稚魚をすくい取る
稚魚の群れが確認できた場合は、三角網ですくい取ります。大きな群れを形成する場合もあるため、周辺もくまなくすくって駆除します。
● すくい上げた稚魚
1網で数百から数千尾の稚魚がとれ、時には1万尾以上捕れることがあります。
● 田舟に移す
三角網で駆除した稚魚を網に入れたままでは次の作業ができません。田舟などに移します。
田舟には水を入れておきます。三角網から田舟に移すとき、網に付いた稚魚は網から離れにくいです。1度網を水に浸け、ゆっくり引き上げると取れやすくなります。
● 捕獲した稚魚
伊豆沼・内沼では、駆除量把握のため、計量を行っています。