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東北地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]

年末年始は、ガン類の越冬地で観察

2023年12月25日
鎌田 和子
こんにちは、仙台自然保護官事務所の鎌田です。
今年も、あとわずか、皆さんの年末年始の予定は決まりましたか?まだの方は必見です。国指定伊豆沼鳥獣保護区で、マガンは一日を、どのように過ごしているか。11月から12月の巡視で垣間見た様子、観察の見どころをお伝えします。
 
マガンは朝、日の出とともに、食事に出かけます。伊豆沼では、「飛び立ち」を観察するために、大勢の人々が日の出前から、カメラを構えて待っています。マガンは、飛び立ち前に家族や同じ方向に食事に出かける群れの中で、鳴きかわしながら情報交換をしているようです。
朝、飛び立ち前の沼
あたりは濃霧、飛び立ち前の沼では近くに群れるマガンの姿が見えます。
日の出少し前頃から、マガンのちいさな群れが飛び立ちはじめました。
少し明るくなった沼
少し明るくなり、飛んでいるマガンも見られるようになりだしました。
飛び立ちが始まった
その時がやって来た。誰が合図をしたのか、前の方から飛び立ちました。
空はマガンだらけ
飛びだったマガンの行方を追うと、空はマガンだらけです。
再び、マガンが飛び立つ
この日の飛び立ちは、複数回、数千羽から2万羽位の大きな群れがそれぞれのタイミングで飛び立っています。
沼に映るマガンの姿
何度目かの飛び立ちを見ていたところ、気づいたら水面には反射した飛ぶマガンの姿と、オオハクチョウやオオバンだけでした。
観察していた人々は満足
沼が静かになり、観察していた人々もこれが最後のシャッターかな?マガンを見送り、満足して帰っていきます。
日中は、どこにマガンは出かけているでしょうか、沼の様子も見てみました。
日中の伊豆沼周辺の田んぼのマガン
伊豆沼の近くの田んぼです。早朝から餌となる落穂などを食べたり、休んだりするマガンの群れです。その中には、ハクガンの群れも確認されました。
稲刈り後の二番穂も餌
今年の秋は、暑い日が多く、稲刈り後の二番穂が豊作でしたので、マガンにとっては、いつもより餌が豊富なようです。
沼はオオハクチョウでいっぱい
日中の沼では、オオハクチョウが頭を沼の中に入れて、足をバタバタさせて、レンコンを食べています。昨年は、大雨でハスが枯れてしまい、レンコンが不作でしたので、今年は、昨年より多くのオオハクチョウでにぎわっています。
夕方の沼に帰ってくる様子「ねぐら入り」
そしてねぐら入り
一日の終わり、日没のころ、四方八方に餌を求めて出かけていたマガンが、一斉に帰ってきました。ねぐら入りです。沼の上空で、突然、ハラハラとマガンが落ちていきます。その姿を落雁(らくがん)といいます。
毎日、ねぐらと餌場となる田んぼを行き来しながら、北へ帰る日まで、このような一日を過ごします。
飛び立ち、ねぐら入りを観察する場合は日の出、日の入りの時刻を確認して、30分前までに準備するのがおすすめです。また日中は沼や周辺の田んぼの周りで、野鳥をおどろかさないように観察をお楽しみください。
宮城県北部には、伊豆沼のほかに、蕪栗沼、化女沼がガン類のねぐらとして利用されていますので、次のURLを参考にして、お出かけしてみてはいかがでしょうか。
 
伊豆沼の情報
https://tohoku.env.go.jp/wildlife/mat/post_67.html
蕪栗沼・周辺水田の情報
https://tohoku.env.go.jp/wildlife/mat/post_68.html
化女沼の情報
https://tohoku.env.go.jp/wildlife/mat/post_69.html
 
 
皆様、どうぞ、佳き年をお迎えくださいますように。