三陸復興国立公園の中でも、絶景の宝庫といわれる種差海岸を巡るトレイルコース。
起伏に富んだ岩礁から白砂青松まで、歩くたびに変化する海岸風景が印象的。
山野草を揺らす潮風に誘われ、なだらかな道を進むと、一生分の美しさに出会うような1日が始まります。
10:00
鮫駅(JR八戸線)さめえき(じぇいあーるはちのへせん)
三陸海岸の北の玄関口・鮫駅から出発!
鮫駅は、古くから栄えた漁師町の交通の要であり、三陸北部沿岸観光の玄関口です。ここでは、敷地内にある蒸気機関車の動輪をチェックした後、駅のシンボルである鮫のモニュメントから顔を出すのがお決まり。記念写真を撮ったら、蕪島に向けてスタート!
10:20
蕪島(蕪嶋神社)かぶしま(かぶしまじんじゃ)
ウミネコに愛された、ここだけの風景を探しに。
漁港に沿って歩くと見えてくるのが蕪島。2月下旬~8月上旬にかけてウミネコが数多く飛来し、国内で唯一、人が立ち入れる環境でウミネコの繁殖が間近に見られる島全体が天然記念物に指定されています。トレイルの北の玄関口 Trail Head & End Pointである看板前で記念撮影を忘れずに!
注意ポイント~浜小屋群近くの海岸ルート~
高潮時に通常ルートを通ると危険です。海岸を通過する場合は、潮位表や天気予報で潮位や波の高さを事前にチェックし、高潮の際は無理をせずトレイルマップに記載されている迂回路をご利用ください。
11:15
葦毛崎展望台あしげざきてんぼうだい
今日はどんな風景に出会える?
南の海岸線に、胸が高鳴る
鮫角灯台前の岬に要塞のような施設が見えたら、そこが葦毛崎展望台。ぐるり360度のパノラマから種差海岸の風景を一望。雄大な太平洋と四季折々の花が咲き乱れる景観を思いっきり満喫しましょう。ここから始まる種差海岸の遊歩道は、種差天然芝生地まで続きます。
11:20
ホロンバイルほろんばいる
ランチタイムは、私たちだけの特等席で
そろそろお腹がすく頃。本日の昼食スポットは、葦毛崎展望台の駐車場に面したレストハウス「ホロンバイル」。窓が大きくとられたカウンター席で、海岸線を見ながら食べるごはんは何よりのごちそう。軽食も購入できるので、ちょっとした休憩ポイントとして利用するのもおすすめ。
12:05
中須賀なかすか
海浜植物と高山植物が隣り合わせる、
めずらしいお花畑
色とりどりの花が見えたら、種差海岸随一のお花畑スポット・中須賀です。海のそばながら、海浜植物と高山植物の両方が咲き誇り、その種類は600〜650種類におよぶほど。岩に止まる、ウミウやウミネコの様子も観察できます。
12:25
大須賀海岸おおすかかいがん
キュッ、キュ…聞こえるかな?
鳴き砂の音
岩場の海岸風景が白砂に変わると、そこは大須賀海岸。全長約2.3kmにわたる広く白い砂浜では、思いっきり伸びをした後、ゆっくり散策。上手に歩けば、キュッキュッと鳴砂の音が聞けるかもしれません。
14:00
淀の松原よどのまつばら
大きな岩も珍しい岩も、松原でかくれんぼ
ウミウの糞で白くなったと言われる白岩(明神岩)を横目に進めば、淀の松原がお目見え。遊歩道から海をのぞむと、松林の間から奇岩や大小の岩石が続く風景が楽しめます。途中、ベンチがあるので、地図を確認しつつ、しっかりと水分補給をしましょう。
14:20
種差天然芝生地たねさしてんねんしばふち
潮騒を聞きながら、芝生の布団でひと眠り
松林を抜ければ、波打ち際まで天然の芝生が広がる種差天然芝生地に到着。八戸ルート随一の見所でもあり、かつては馬も放牧されていた広大な芝生地は、まるで外国の風景のよう。ウミネコが歩き回る様子を眺めつつ、寝っころがると、疲れが心地よく癒えます。夏季は隣接のキャンプ場で宿泊も可能です。
チェックポイント
【種差キャンプ場】種差天然芝生地に隣接した広々としたキャンプサイト。敷地内には、炊事棟とトイレがあります。種差海岸駅(JR八戸線)からは、徒歩約5分のアクセスです。
14:55
種差海岸
インフォメーションセンターたねさしかいがんいんふぉめーしょんせんたー
ますます不思議。
海・里・山の生き物の生態を知る
種差天然芝生地前にあるのは、三陸復興国立公園やこの地域の自然や生活・文化情報を発信する環境省の施設(無料)です。詳しく知りたいことは、スタッフに聞いてもOK。この日は、鳴き砂の鳴かせ方やウニの生態などを聞きました。トイレもあるので休憩スポットにも利用できます。
15:25
高岩展望台たかいわてんぼうだい
真下の海と遠くの海。
どっちの景色も忘れない
芝生で疲れを吹き飛ばしたら、高岩展望台までひと登り。鳥居をくぐり、ちょっとした山道を登ると目の前に景色が開けます。海に突き出した展望台は、種差海岸の中で最も高所にあるため、眼下に雄大な太平洋とユニークな海岸線が一望できます。付近にトイレや駐車場はありません。
15:50
大久喜駅(JR八戸線)おおくきえき(じぇいあーるはちのへせん)
のどかな駅、今日の景色をふりかえる
展望台を降りるといつの間にか陽も陰ってきました。住宅街を抜けた先にあるのが、この旅の終着点である大久喜駅。今日1日でどれだけの美しい海岸風景に出会ったことでしょう。そのひとつひとつを胸に焼き付けながら、帰宅の途につきます。
鮫角灯台さめかどとうだい
1938年に建造された鮫角灯台は、日本の灯台50選にも選ばれた美しい白亜円形が特徴です。タイヘイ牧場に隣接しているため、一般開放時には草原と青い海を一望できます。種差海岸の四季折々に変化する風景を楽しみましょう。
寺下観音てらしたかんのん
奥州南部糠部三十三ヶ所巡礼一番札所として、鎌倉時代に建立。観音堂の中には高僧行基(ぎょうき)が伝えたという観音像が安置されています。境内にある近畿三十三観音の石像や、周辺の寺下の滝、灯明堂、五重塔跡など見どころも多数。素朴な建物と鳥居の脇を流れる川にも風情が感じられます。
トチの巨木(茨島のトチノキ)とちのきょぼく(ばらじまのとちのき)
青森県内の巨木の中でも最大級であるこちらのトチノキは、県の天然記念物に指定されています。その大きさは、樹高約24m・目通り幹囲約6mと圧巻。推定樹齢は850年。春には白い花を咲かせ、秋にはたくさんの実がすずなりに。巨木が里山を見守り続けた年月に、思いを馳せてみてはいかが?
階上岳(臥牛山)登山はしかみだけ(がぎゅうさん)とざん
階上岳 登山ルート
- 階上岳登山口(鳥屋部:とやべ)
- 大開平
- 階上岳
- 龍神水
1.階上岳登山口(鳥屋部)
登山口までは交通量のある車道を横断するため、注意して歩きましょう。登山口の看板を見つけたら、登山スタート。標高約740mの山頂までは、約2時間の行程。初心者にもおすすめですが、登山用の装備をお忘れなく!
2.大開平
階上岳8合目にあたる大開平には、駐車場やトイレ、休憩所が整備されています。車で登った場合の最終地点になっています。休憩所は通年利用できるので、冬季登山にも便利。ヤマツツジの見ごろである6月上旬には、約2万本が咲き誇り、登山客を魅了します。
3.階上岳(はしかみだけ)
岩手県と青森県の境にある階上岳(はしかみだけ)は、寝ている牛に見立てて、臥牛山(がぎゅうさん)とも種市岳とも呼ばれ、親しまれています。頂上からは八戸市街地や太平洋だけでなく、下北半島や八甲田山まで展望が楽しめます。ベンチもあるため、山頂でお昼ごはんを食べるプランもおすすめです。
4.龍神水
階上岳の山頂付近に湧き出る名水。山頂から鳥居をくぐって、5分ほど歩くと見つけられます。青森県の「私たちの名水」にも認定。「岳大明神」は、山形県鶴岡市の善宝寺にある龍神の分身といわれ、雨と水の神様として、雨乞いや豊作加護などを願う人に信仰されてきました。
- 高潮で海面や波が高いとき、海岸沿いのルートは危険です。無理をせず、迂回路を利用してください。事前に潮位表や天気予報で確認しましょう。
- 一部のルートには、車の交通量が多い場所もあります。周りに注意して、一列になって進みましょう。
- 漁港の入口のゲートが閉まっていることもありますが、ハイカーの通行は可能です。
- しっかりとした服装・装備を身に着け、クマ除けの鈴を携行しましょう。