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東北地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]

歩くことで生まれるもの

2024年01月26日
中園 顕三
こんにちは。アクティブ・レンジャーの中園です。
今回は前回、前々回に引き続き、八戸十和田トレイル(仮称)モデルツアー3日目(最終日)のご紹介をします。この日は十和田神社からのグループと八戸駅からのグループが、トレイルの中間地点でお互いに出会うという展開で終わることになっています。
はたして無事に合流することができるのでしょうか。そんな楽しみもありました。
奥州街道
奥州街道の古道
今日は五戸町浅水から出発、いにしえの奥州街道を歩きます。
このトレイルの魅力の1つは、歴史を肌で感じることができる点です。
平安時代から人やものが行き交っていた場所に今立っている、その感覚は実際に歩いてみて感じることです。歩きやすいことから、この道が地域から大切にされていることが分かります。街道沿いにある一里塚や道祖神を見て、なぜか安心するのは今も昔も変わらない気がします。
菓子屋
五戸町の菓子屋
煎餅屋
五戸町の煎餅屋
五戸町の中心街に入ると、朝の時間にもかかわらず甘味処に足が向きます。
ロングトレイルには欠かせない行動食をここで手に入れます。
(すでに食べ始めた人もいましたが)
奥州街道の時代、宿場町として栄えていた往年を感じさせてくれる町並み。
歴史みらいパークには代官所が残されており、町の家々の構えにも風格のようなものが見て取れます。
町中を散策したい気持ちに駆られましたが、先があるので歩を進めます。
カモシカ
カモシカとの遭遇
奥州街道を離れ、十和田市の山間地に向かいます。
今までと異なり人の存在をあまり感じることなく開放的な気分で歩いていたところ、人ではないものと出会いました。カモシカです。
先頭を歩いていたハイカーが道の先を渡っているのに気づき、ゆっくりと近づきますが慌てて逃げるような挙動をしません。何か見慣れない人たちがいるな、そんな顔つきにも見えます。その後、カモシカは悠々と林の奥に見えなくなりました。

☆野生動物との関わり方について☆
野生動物に著しく接近すること、餌やりやつきまといは動物の行動や生態系に悪影響を与える危険性があります。また、国立公園内でのそのような行為は法律により規制されています。
地域の方
地域の方と談笑
興奮冷めやらぬまま歩いていると、久しぶりに?人と出会いました。(失礼ながら)
わたしたちが見ているのを感じ取ってくれたのか、先方も重機を止めました。
「さっき、カモシカを見たんですよ~」
「ああ~、いくらでもおるおる。」
と、めずらしいことでもないかのように返してくれます。
話を続けるとクマもいるとの事、仕方ないという話しぶりに人柄がにじみ出ます。
最後まで気遣ってくれた地域の方との出会いも、かけがいのない時間となりました。
歩くという行為は、風景だけでなく人や生物との出会い、ささやかな交流を生み出すものなのかもしれません。
ラストスパート
合流に向けてラストスパート
この後、予定していた場所でグループの合流を果たすことができました。
トレイルコースの半分をそれぞれ歩き終えた訳ですが、大きな達成感を仲間と味わうことができたことは貴重な体験でした。全コースを歩き通せばもっと大きな感動が生まれるのではないか、そんな予感もしました。
 
翌日は一人ひとりが感じたトレイルの魅力、それをどのように言葉・ストーリーにまとめ発信・利用を進めていくのか、意見交換会が行われました。
それをここで紹介することはできませんが、時に熱い議論が交わされ参加者のトレイルに対する思いが凝縮された時間でした。改めて参加・協力頂いた方々に感謝申し上げます。今後も折に触れ、このトレイルの魅力を発信していきたいと思います。