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東北地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]

長い道:ロングトレイルの魅力

2024年01月04日
中園 顕三
新年いかがおすごしでしょうか。
本年もアクティブレンジャー日記をよろしくお願いします。
(元旦に十和田八幡平国立公園内にある十和田神社にお参りしたところ、たくさんの人が訪れていましたので、その様子をご紹介します。)
十和田神社
元旦の十和田神社
さて、前回に引き続き、昨年11/16~11/18に行われた八戸十和田トレイル(仮称)モニターツアーのご紹介をします。※本ツアーの趣旨は前回記事を参照
今回は2日目に歩いた奥入瀬渓流を含む区間。十和田湖遊覧船の発着場でもある子ノ口から石合堂大明神神社までの約20kmを歩きました。
この時期の奥入瀬渓流は紅葉が終わり、遊歩道を歩く人もまばらで閑散とした雰囲気です。
遊歩道
渓流の遊歩道
葉がすっかり落ちた渓谷沿いの風景は、樹形がよく分かり樹木の存在がより際立っています。個性豊かな木々を楽しむにはいい季節でした。
そんな時、一緒に歩いていたハイカーがこんなことを言いました。
「クワガタみたいな木がある!」
しばらく見渡して納得。自然のただなかに居ると、普段考えない発想が出てきます。
クワガタ
クワガタの木?
途中から雨が降り出し、各自雨具を身につけたり傘を差したりしてひたすら歩きます。
同行したハイカーが持っていた銀色の傘が気になったので尋ねてみると、軽くて紫外線を防いでくれる優れものだとのこと。ロングトレイルを歩くハイカーにとって強い日差しは脅威であるという話を聞きながら、アパラチアントレイル※を歩く姿を想像しました。
※アメリカ三大トレイルのひとつ
傘ひとつにも様々な機能や用途があることを改めて実感します。
トクサ
トクサの繁茂群
トクサ
奥入瀬渓流でよく目にする、つくしのような節のあるまっすぐ上に伸びた植物。
シダ植物ツクシ科のトクサ(砥草)です。
以前から気になりながら知らなかったのですが、茎がザラついていてものを研ぐのに使われていたことが名前の由来であるとのこと。
歩くことで身の回りのものに疑問が湧き、そこから気づきや発見が生まれます。
車や乗り物で移動することは、いかに多くの事を見過ごしているかが分かります。
川霧
川霧と田園風景
奥入瀬渓流を抜けると、まだ紅葉が残る里山風景が広がっていました。
不思議と低く横長に伸びる雲、美しいという感慨とともに「なぜ、あんなところに雲があるのだろうか。」と思わず口を衝いて出てきます。
雲の下は、今しがた歩いてきた奥入瀬川がとうとうと流れているのに気づきました。
川がもたらす自然現象や恵み、そんなことに思いを馳せるのも長く歩いているからこそではないでしょうか。
 
ロングトレイルの意義と効果には数多くのことが述べられていますが、それらは実際に歩いてみることで初めて腑に落ちるものです。
次回は、モニターツアー3日目の様子をお伝えする予定です。