北部の野田村区間は万葉集にも詠まれた長大な砂浜・十府ヶ浦の優しい風景、
南部の普代村区間は急峻な崖の海岸線を望む迫力ある風景が見どころです。
ルート上には、伝統的な製法での塩づくりを体験できる工房、
バラ色に輝く宝石ロードナイト「愛称:マリンローズ」を産出した鉱山、
東日本大震災の津波から村人を守った水門など、人と自然がともに生活してきたことを学べるスポットもあります。
「塩の道」の歴史をもつ、陸中野田からスタート!
旅の出発地点は陸中野田駅。道の駅を併設した全国でも数少ない駅です。野田村は、江戸時代から塩作りが盛んな地域。野田塩は、海のない盛岡や雫石まで牛の背に積んで運ばれていました。駅前には、その様子を再現した牛方とベコの像があるので、チェックしてみましょう。※道の駅のだ 同施設内
山海の幸がざくざく!豊かな自然への期待が高まる
歩き始める前に「道の駅のだ」で地元産の食べ物をチェック。ほうれん草などの新鮮な野菜や干し椎茸などの加工品、手作り惣菜、名物しだみ団子などが目白押し。のだ塩ソフトクリームの販売所もあります。おいしそうなものがたくさんあるのは、豊かな自然がある証拠。期待が高まります。約850m (徒歩約11分)
村人に親しまれる愛宕神社で村の風景を一望
駅から少し歩き、村の中心地にある愛宕神社へ。平成13年に建てられた大鳥居をくぐって参道を歩きます。この大鳥居は、高さ13.4mと東北有数の大きさを誇る村のシンボル。82段の階段を上り、愛宕神社へお参りしたあと、見晴らしのよい場所で村の中心部を見渡してみましょう。約110m (徒歩約2分)
海のうまみをたくわえた人気メニューをいただきます!
お待ちかねのランチは、仮設商店街の暖簾をくぐっていただきます。今回入った食堂は、かつて景勝地・十府ヶ浦を一望する場所にありましたが、東日本大震災の津波で店舗を流され、ここで営業を再開。名物の「海鮮ラーメン」をはじめ、三陸海岸でとれた海の幸が堪能できます。約4.3km (徒歩約60分)
マリンローズが眠る地下鉱山を探検
風光明媚な十府ヶ浦の海岸線を南下し、山あいの道を行くと到着。かつてのマンガン鉱山が観光坑道として公開され、採掘の様子が人形で再現されています。ここで産出されるバラ輝石は、日本では野田村でしか産出されないロードナイトの原石。キラリと光る原石にふれる地下の旅を楽しみます。約2.4km (徒歩約30分)
海の眺めと潮騒が爽快な、芝生のキャンプ場
再び海岸線に戻り、南下すると玉川海岸を見下ろすロケーションにあるのが、玉川野営場。芝生が広がるテントサイトには、水洗トイレや炊事場、木のテーブルなどの設備が整っています。こちらをキャンプ泊で利用すると、潮騒で目覚める爽やかな朝が迎えられます。約5.1km (徒歩約84分)
海が見える宿で1日の疲れを癒す
海岸線からやや傾斜のある山道を経て、「国民宿舎えぼし荘」に到着したら、1日目のトレイルは終了。客室から見える漁火と日の出の美しさが自慢の宿です。敷地内には、母屋と馬屋が一体となったL字型の「南部曲り家」があり、季節限定ながら宿泊もできます。国民宿舎えぼし荘では、のだ塩づくり体験ができます。野田村に伝わる「直煮製塩法」をプチ体験。約10倍に濃縮された野田沖の海水を使います。海水が塩へと結晶する瞬間はなんとも感動的。自分でつくった塩は持ち帰りOKです。(国民宿舎えぼし荘へ電話での事前予約が必要)北三陸の宿 国民宿舎 えぼし荘
国民宿舎えぼし荘の敷地内には、野田塩を生産している「のだ塩工房」があり、見学が可能です。かつては野田港内にありましたが東日本大震災の津波により破壊・流出され、2012年にこちらの新工房がオープン。燃料を重油から薪に変更し、さらにうまみとまろやかさが増しています。
国民宿舎えぼし荘は客室からも海が眺められますが、露天風呂からの景色が最高。さえぎるものなく目の前に水平線が広がります。なかでも日の出は絶景です。風呂はマンガン鉱泉で、内風呂とサウナもあります。日帰り入浴のみの利用も可能です。(12:00~21:00、水曜のみ16:00~)
堀内駅は、国道45号線沿いにある写真のスロープ入口の真下付近にありますので、スロープをつたって降りて見学しに行きます。
約2.3km (徒歩約46分)
ドラマの舞台にもなった高台にある小さな駅
宿を出て海岸線を南下し、安家川を越えて堀内駅へ。堀内駅は、三陸鉄道北リアス線の小さな駅ですが、NHKのドラマ「あまちゃん」でヒロインが住む家の最寄り駅として登場。「袖が浜」という駅名でロケ地に使われたことで、一躍有名になりました。高台のホームからは海の眺望が広がります。【みさきの巨人】堀内駅のホームから左手を見ると、太平洋にせりだす平らな地形の三崎半島が眺められます。この三崎半島をよく見ると、海に向かって人が歩いているような岩肌のシルエットが浮かび上がります。ホームに立ったら、海の眺望と共に通称「みさきの巨人」を探してみてください。
堀内駅を見たあとは、スロープで国道45号線まで戻ります。再び南下すると、カーブミラーのある分岐道があるのでそこを左に。さらに進むと左手に細い林道の坂道があるので、そこに入ります。すると、みちのく潮風トレイルの杭が見えるのでそこを左に。その先にある急な避難階段を降りると、まついそ公園に辿り着きます。
約500m (徒歩約10分)
夫婦岩の風景と磯遊びが楽しめる海浜公園
堀内駅からほどなく、堀内漁港の南側にあるのが、まついそ公園。海岸を整備した海浜公園で、貝やカニ、小魚捕りなどの磯遊びやバーベーキューが楽しるスポット。岩礁の荒々しい海岸風景が広がり、長さ424mのしめ縄でつながれた夫婦岩の風情ある景色も眺められます。約4.0km (徒歩約70分)
トンネルがホームに接しためずらしい駅
さらに南下すると、白井海岸駅に到着。白井海岸駅は、白井海岸の最寄駅ながら海は見えず、周りは森になっています。そして、ホームがトンネルに接している、なんとも不思議な構造。こうした様子から、さながら"秘境駅"の風情があるとして、鉄道ファンに人気があります。約750m (徒歩約12分)
透明な海やウミネコと一緒にのんびりランチ
白井海岸駅を下ると、白井漁港に到着します。天気に恵まれれば、遠目からでもウニが海中にいるのがわかるほど透明な海。本日のランチスポットはここで決まり。小島のように浮かぶ岩礁やウミネコを眺めながら、のんびりとごはんがいただけます。約4.3km (徒歩約80分)
村を津波から守った水門
普代川に差し掛かると普代水門が目に入ります。水門は、高さ15.5m、長さ約200mもの巨大さゆえ、計画時は反対の声もありましたが、当時の村長が津波被害に備え、譲らなかったそう。実際に、2011年の東日本大震災発生時は、水門と防潮堤により被害を抑えることができました。約1.7km (徒歩約21分)
旅の終着駅で、思い出をもうひとつ
普代川を遡るとほどなく普代駅に到着。ここが今回の旅の終着点です。駅には、売店や普代村アンテナショップ「あいで」があり、特産品の昆布や海産物、朝採れ野菜、昔ながらのかりんとうや味噌パンなどが販売されています。帰路のおやつに、旅の思い出に、お店をのぞいてみましょう。【ゆるキャラの紹介】
普代村の特産品をモデルにした、塩蔵昆布の「えんぞー」とすき昆布の「すっきぃ」。駅に隣接したアンテナショップ「あいで」のPRキャラクターとして誕生しましたが、今では村公認のキャラクター。村の顔として、イベントに登場したり、グッズがつくられたりしています。運がよければ出会えることも?!