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東北地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]

行き合いの空 2019

2019年09月13日
鎌田 和子

こんにちは、仙台自然保護官事務所の鎌田です。

9月になると、この季語が私の心に響いてきます。「行き合いの空」です。

夏と秋と ゆきかふ空のかよいぢは かたえ涼しき風やふくらむ (古今集)

夏の終わり、秋の気配を感じる和歌です。

昨日、宮城県北部にある国指定鳥獣保護区を巡視してきました。陽射しは強いのですが、心地よい風の吹くカラッとした一日でした。

 

爽やかな風がハスの葉を裏返しながら、伊豆沼を通り抜けていく。ハスの花はもうわずか、蜂の巣の形をした実が目立ち、ハスの葉が沼を埋め尽くしています。カモたちが沼を利用していても、葉隠れの術、カモフラージュで見つかりにくいことでしょう。ハスの葉の上で獲物を待つチュウサギ、上空を飛び交うツバメは夏鳥、いつ帰るのかな、あと少し観察できそうな気配です。

 

こちらは、伊豆沼の南側に広がる田んぼ、稲穂は頭が垂れ、黄金色に変化しています。毎年このエリアで「初雁」、マガンの初見が確認されるところです。稲刈準備の農家さんが、ヒエなどの雑草を一本一本抜く手作業や農機を入れるための草刈りが行われていました。不思議とマガンは、その稲刈情報をいち早く察知し渡ってきます。私は、ここが鳥獣保護区であることを知らせる制札の周辺の草刈りをして、渡り鳥の季節を待ちます。当然ですが、鳥に向けてではなく、私たち人間に向けてのことです。

 

9月になり、鳥獣保護区やラムサール条約湿地に関わる人々が、現地で顔を合わせるたびに、「そろそろだよね。」、「来たの?」、「まだだよ。」そんな会話で、ガン類の渡りを心待ちしているように感じます。

数年前の10月上旬の写真ですが、毎年9月下旬から11月上旬、沼に近い田んぼは、日中、数千~数万のマガンが落穂を食べたり、群れで移動する光景が見られます。秋から冬にかけて、どうぞ、伊豆沼・内沼、蕪栗沼・周辺水田、化女沼にお出かけしてみてはいかがでしょうか。間もなくですよ。