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東北地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]

バス・バスターズ 始動

2019年05月20日
鎌田 和子

こんにちは、仙台自然保護官事務所の鎌田です。

新緑が目に優しく、野鳥たちも子育てに青虫をせっせと巣に運んでいる姿を観察するようになりました。

今年も、国指定伊豆沼鳥獣保護区では、バス・バスターズの活動がはじまりましたのでその様子をお伝えします。

バス・バスターズの取り組みでは、5月から6月にかけて毎週日曜日に、沼の中にオオクチバスの習性を利用した人工産卵床150基を1基ごと産卵確認をして、産卵していたら産卵床を交換する作業、三角網で稚魚すくい、定置網で成魚や稚魚を捕獲、アイカゴでブルーギルの捕獲、この4つの作業を行っています。

まずは、昨年の成果と、これまでの取り組みを開会式で説明がありました。その中での駆除数を紹介します。

・2005年のオオクチバスの駆除数

 人工産卵床での駆除数 252基  稚魚の駆除数 515万9千匹

・2018年のオオクチバスの駆除数

 人工産卵床での駆除数 14基  稚魚の駆除数 37匹(2017年は4万8000匹を駆除)

在来生物が増えていく様子を見守りながら、これからも外来魚の管理を低密度に抑えていきたい。オオクチバスの繁殖はほぼ完ぺきに抑えることができたのではないかという報告がありました。

 

 

 

 伊豆沼での駆除活動の様子です。

  

  三角網で稚魚がいないか確認したり、人工産卵床を持ち上げ確認作業をしながら、設置区間およそ1㎞の範囲を歩きました。

 

 150基の中に1基だけ、オオクチバスの産卵を確認しました。産卵床の石が払い除けられ、中央部分のメッシュ面にパラパラと卵が確認できます。中を覗くと二重になっている下の部分にも沢山の卵がみえました。まずは、みんなで観察、これからの作業のためにも、オオクチバスの卵を見分けるための確認です。

 

 3基設置していた定置網の1基には、成魚30㎝大のオオクチバス。こちらも、折角とらえたものを逃がさないための魚の持ち方を学び、獲物を逃がさないオオクチバスの口の上下にはおろし金のようなザラザラした歯があることを触って観察です。

この日の成果は、オオクチバスの成魚1匹、人工産卵床の産卵確認1基、ブルーギルの幼魚3匹でした。在来種で確認されたのは、ゲンゴロウブナ、オイカワ、ヌマチチブ、メダカ、テナガエビ、スジエビ、モクズガニ等、参加者からは、「うまそう!」、「エビはかき揚げが美味しいよ!」、「持ち帰りますか?」楽しそうな声が飛び交ってました。在来種が本当にごくわずかしか確認できなかった時代は、「仮死状態にならないうちにリリースしましょう。」そんな言葉が出ていた記憶があるので、「食べる」ことのできるくらい復活してきたことを実感できたうれしいひと時でした。

 

今回の参加者30名は、初参加の宮城県立岩ケ崎高校科学部、常連の宮城県立築館高校自然科学部、はじめての人も、バス・バスターズのはじまりからの参加者も、和気あいあいと駆除活動が行われました。

バス・バスターズに参加してみたい方は、公益財団法人宮城県伊豆沼・内沼環境保全財団までお問い合わせください。

http://izunuma.org/2_3.html

昔から伊豆沼では、漁業がおこなわれていましたが、オオクチバスの増加で沼の魚やエビが食べられてしまい、漁業ができなくなってしまいました。バス・バスターズの活動や伊豆沼・内沼自然再生事業の取り組みで、オオクチバスが増える前の沼に一歩づつ近づくことを願っています。いつか、伊豆沼の畔で、伊豆沼産の魚やエビを活かした郷土料理がいつでも食べられる日がくるかもしれない、そんな期待をしています。