ACTIVE RANGER

アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]

東北地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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2021年3月12日

2件の記事があります。

2021年03月12日10年目の3.11

三陸復興国立公園 坂本麻由子

みなさまこんにちは。大船渡自然保護官事務所の坂本です。

抜けるような青空、春の匂いを感じる暖かさで迎えた10回目の3.11。

10回目の3.11は気仙沼市で手を合わせました。

三陸沿岸道路の一部である気仙沼湾横断橋(愛称:かなえおおはし)が2021年3月6日に開通しました。

かつて気仙沼が「鼎浦」と呼ばれていたこと、夢・希望を「叶える」ことなどをかけあわせ名付けられた『かなえおおはし』。復興のシンボルであり、未来への架け橋です。

あの日はとてもとても寒い日でした。

10年後の今を作り上げてきたのは間違いなく、あの日から積み上げてきた涙や努力、葛藤や決断、交流や支援の優しさや温かさ、とにかくたくさんの力・パワーです。

10年だろうと100年だろうと変わらぬ思いを胸に、交わる出会いを大切に、一歩一歩進んで未来を繋いでいけたらと願います。

10年目の2021年3月11日、「追悼・伝承・再生」の場所として気仙沼市復興祈念公園が開園されました。

この公園は、安波山の麓、史跡陣山館跡に作られ、戦国時代に陣を張ったと言われている高台にあります。眼下には震災当時、大津波や津波火災により壊滅的な被害を受けた地域が見下ろせるのですが、気仙沼湾横断橋をはじめ、気仙沼大島大橋など復興の歩みを進める気仙沼内湾の今の姿が一目にできます。

  1. 開園のこの日は市内の小学生が書いた未来へのメッセージが、黄色いかざぐるまになって風で踊っていました。40~50年で一度は津波が来る、そう言われて小さい頃から私たちは育ってきました。大きな地震が来たら高いところに逃げろにはじまる、自分の身を、地域を守る教訓を次世代へ伝えること、本当に大切にしなくてはなりません。

  1. 2021年3月11日14時46分 黙祷。

海へ向かって、当時自宅のあった方向を向いて、愛する人がいた場所を向いて、思い思いに目を閉じ深く祈ります。

上の写真で奥に見えていた白いモニュメントは「祈りの帆-セイル-」で、高さ10メートル、船体の素材と同じ材料で、復興祈念の象徴として作られました。内部には祈り台が設置されていて、気仙沼湾に向かって静かに祈りを捧げることができます。

園内には、震災の記憶を想起させ、語り継ぐための伝承彫刻がいくつか置かれています。こちらの作品名は「海へ」。

内陸側の俯瞰です。こちらは鹿折(ししおり)地区といい、震災直後は打ちあげられた大型漁船が街に残っていた映像で取り上げられていた場所です。きれいに造成され、災害住宅が完成、商業施設も増えてきました。

かなえおおはしの完成と東日本大震災への追悼の意を込めて3/1に横断橋から花火が打ちあげられました。

この写真は安波山から撮影しましたが、かなえおおはしとその奥に大島大橋、二重のベイブリッジが見ら

れます。そして気仙沼のキラキラした街の光は復興の証、夜景スポットでも盛り上がりそうな気仙沼です。

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2021年03月12日伊豆沼に春を感じた日

仙台 鎌田 和子

こんにちは、仙台自然保護官事務所の鎌田です。

東日本大震災から10年、あの日と同じ伊豆沼を巡視してきました。

あの日は雪がちらつきとても寒い日でしたが、今回は快晴、遠くの山々や白銀の栗駒山を望める日となりました。ついこの前までマガンやカモ類がににぎやかな声が響き渡る沼は静かに、湖面も穏やかです。

 3月6日に行われた野火でヨシがきれいに焼け、その向こうに栗駒山がみえます。この野火は毎年行われてましたが昨年は新型コロナのため中止されてましたので2年ぶり、スッキリしたところで、春の農作業がはじまります。(野火:伊豆沼・内沼では渡り鳥が少なった3月に沼の周りの環境維持のために行っています。)

オオハクチョウの群れが鳴き交わしながら、青空を高く、高く高度を上げながら、北へ向かって旅立つ場面に遭遇しました。

 

出会う人出会う人と10年前のあの時の話になり、誰もが忘れられない、何年経っても忘れない大切な日なのだと。午後2時46分には、私も巡視の車を止めて、黙とういたしました。

静まり返った伊豆沼、野火、北へ向かう冬の渡り鳥、大切な3月11日に春を感じた日となりました。

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