ACTIVE RANGER

アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]

東北地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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2020年10月

15件の記事があります。

2020年10月19日神無月の十和田湖畔より

十和田八幡平国立公園 伊藤 あけみ

あっという間に日照時間が短くなってしまい、

通勤時も退勤時も暗くなってしまう季節がやってきました。

八甲田に雪の便りを聞き、十和田湖畔も氷点下に近い気温の朝です。

昨日の八幡平は吹雪だったと山の友人から聞きました。

〈朝靄の桂浜とナナカマド〉

〈桂浜の朝:湖畔を黄色に彩るカツラの紅葉〉

通勤時に通る道すがら、

黄金色の稲穂が刈り取られた田んぼがパッチワークのように広がり、

その先に見慣れた山容の南八甲田の山々が見渡せました。

100キロ近く離れた南八甲田の山々が目に飛びこんできて、嬉しくなりました。

〈鹿角盆地から南八甲田をのぞむ:中央に櫛ヶ峰〉

〈赤丸内がうっすらと見える櫛ヶ峰〉

10月後半は、十和田八甲田奥入瀬周辺の紅葉が美しい季節になります。

その時期に合わせて、昨年までも渋滞対策の様々な取組が行われてきました。

今年度は新しい取組として、蔦沼の期間限定事前予約制および入場有料化が行われます。

期間限定の募集は終了し、期間外については予約は必要ありませんが、

蔦温泉駐車場は混み合うので、いつ行っても駐車できると限りません。

HPなどで十分な情報収集のうえ、おこしくださるようお願いいたします。

http://tohoku.env.go.jp/to_2020/post_261.html

その、蔦沼の歩道を定期的に整備して下さっている

十和田八甲田地区パークボランティの

歩道整備活動が14日に行われました。

〈歩道を塞いでいた朽ちたブナの倒木を移動させるパークボランティアの皆さん〉

歩道上の倒木やかかり木を手際良く処理してくださり、

快適に歩ける歩道になりました。

いつもありがとうございます。

朝日が昇り始めるわずかな時間に赤く染まって見える、

紅葉の様子があまりにも有名になってしまいましたが、

蔦沼周辺には巨樹も多く、近くで眺めると圧倒されます。

環境省の生物多様センターのホームページにも紹介されていますので、ぜひご覧になってください。

https://kyoju.biodic.go.jp/?_action=gtcontents&_command=modelCourse005

〈樹齢約300年、幹周り592mのトチノキ〉

樹洞が大きく開いていますが、まだまだ元気な木です。

〈樹齢約400年、幹周り457mの栗の木〉

栗の木は鉄道の枕木に使用されるため伐採され、全国的に巨樹は少ないそうです。

〈紅葉は始まったばかりの蔦沼:10/14〉

染まり行く山々の木々の彩りを眺め元気になったり、

やがてやって来る冬に思いをはせ、もの悲しくなったり、

秋の空のように心も揺れる季節です。

冬は寒いばかりではなく、雪が織りなす特別な風景が見られたり、

ウインタースポーツが楽しめたり、わくわくすることがたくさんあります。

十和田湖冬物語も今年は新たな試みが企画されているようです。

https://www.towada.travel/ja/news-events/towadako-festa-luce

美しく、楽しい冬を思い浮かべ、日々を過ごしてまいりましょう。

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2020年10月16日「10月前半の裏磐梯PV活動報告」

磐梯朝日国立公園 裏磐梯 田中謙行

「10月前半の裏磐梯PV活動報告」

こんにちは。裏磐梯自然保護官事務所の田中です。

10月上旬の裏磐梯は、秋晴れとは程遠いあいにくの天気が続いていましたが、PV活動で11日に秋元・中津川渓谷探勝路と吾妻川渓流探勝路の巡視に行ってきたので写真と共に報告です。

まず11日の小雨のなかでの秋元・中津川渓谷探勝路の様子。

期待した紅葉にはまだ1~2週間ほど早かった模様で少し残念。

空気がとてもおいしい。

あいにくの小雨の中で小さな小さな紅葉。

続いて、吾妻川渓流探勝路。この探勝路はすぐ横に渓流が流れマイナスイオンに包まれながらトレッキングできるコースで、一風変わった樹木と岩の上で成長した樹木が沢山あります。

「熊さん、人間に注意」の看板からスタート。

渓流のすぐ横にある落ち葉でフワフワの探勝路を歩きます。

「宿りの木」と勝手に名付けた。

盆栽のように巨岩に咲いている樹木がたくさんあり、さながら盆栽の展覧会の様。

県知事賞ものでしょうか。題名は「渓流の便り」。

これは国風賞を送りたい。題名は「吾妻園」。

みなさんなら、題名は「・・・」

かえる ちゃんの見送りで終了。

秋元・中津川渓谷探勝路は、特に破損場所はなかったが急な坂なので注意が必要。

吾妻川渓流探勝路においては、一か所小川をまたぐ橋がずれていて注意が必要であつた。

両探勝路とも、マイナスイオンに包まれながら歩けるコース。今月末にかけては紅葉が見頃と思われるので、ぜひ脚を運ばれてはいかがでしょう。

吾妻川渓流探勝路は、コロナ禍の影響もあってかあまり人が入っていないようであったが、静かな時間がしっぽり流れるおすすめ探勝路の一つ。

次回は、巨岩の上で成長している樹木の種類を調べることと、野草、山花が咲き初めには、またこの探勝路の報告をしたいと思っています。

今回はここまで。

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2020年10月12日秋の御箱崎千畳敷(おはこざきせんじょうじき)*釜石市

三陸復興国立公園 大船渡 坂本麻由子

こんにちは。大船渡自然保護官事務所の坂本です。

秋深まりつつある三陸、秋の味覚の代表「サンマ」は近年不漁つづきで

海水温の上昇、温暖化の影響について考えさせられています。

とはいえ木々は色づきはじめ、山の幸が楽しみな時期になってきました。

先日、パークボランティア活動で公園巡視へ行ってきたのでその時の様子をご報告します。

舞台である箱崎半島は北側に大槌湾から船越湾を、南側は三貫島を眺望でき、

半島先端の南側には花こう岩の巨大な奇岩が敷きつめられたような「千畳敷」があります。

陸中海岸を代表する景勝地といえます。

風のない日は潮だまりが空を映す鏡となります。

南側を望むと遠くに三貫島が見えます。

この千畳敷、およそ300メートルもの長さに渡り一面花崗岩の巨石がごろごろ。

まるで自分が小人(コビト)になってしまったかのような錯覚が起こります。

この千畳敷に降りるためには、ロープを使って岩の壁と闘います。

岩肌には今が真っ盛りのハマギクが。

こんなに素晴らしい環境が楽しめる千畳敷ですが、

ここに至るまで最寄りの駐車場から約4㎞の徒歩が必要です。

さらに近くの集落から駐車場を結ぶ林道に危険箇所が有り、車両は通行できず、

現在は林道と合わせて片道8㎞、往復16㎞もの道のりなのです。

簡単にアクセスできないからこそ絶景に会えた喜びはひとしお、
忘れられない風景となるでしょう。

遊歩道から岩場に降りる階段周辺をさっぱりと刈り上げてきました。

半島の先端には御箱埼灯台や神社があります。

一人でも多くの方と訪れて絶景と出会えた感動を共有できたらうれしいです。

三陸復興国立公園、どうぞ隅々までお楽しみください。

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2020年10月06日「磐梯朝日国立公園指定70周年」

磐梯朝日国立公園 裏磐梯 田中謙行

「磐梯朝日国立公園指定70周年」

こんにちは。裏磐梯自然保護官事務所の田中です。

今年、磐梯朝日国立公園は、指定70周年を迎え、環境省、福島県、北塩原村の主催による記念式典・シンポジウムが9月5日(土)に執り行われた。

磐梯朝日国立公園は、出羽三山、朝日連峰、飯豊連峰、吾妻連峰、磐梯山、猪苗代湖を含み、福島、山形、新潟の3県にまたがり、国立公園陸域で大雪山国立公園につぐ2番目の広さがあり、山々と森、川、湖沼など豊かな自然と美しい景観がたくさんあるのが特徴といえる自然公園です。

式典及びシンポジウムの様子を写真で紹介していきたいと思う。

小泉 進次郎 環境大臣の挨拶。

「ふくしまグリーン復興構想に基づく県との協定やワーケーションを推進

し、公園の魅力に触れられる機会を増やせるよう努める」と挨拶。

子供の頃、家族旅行で裏磐梯の五色沼や会津に訪れた話もされた。

裏磐梯小学児童たちと普天間かおりさん(裏磐梯観光大使)の合唱コラボ。

和やかな雰囲気の式典になった。

裏磐梯小学児童たちとの記念撮影。

内堀福島県知事、小泉大臣、普天間かおりさん

午前中の式典は、来賓の方々、関わった皆さん、そして特に次の世代を担っていく裏磐梯小学校の子供たちにとって、地元の国立公園の自然の豊かさ、大事に考えなければいけないんだということ、そこで生活している誇りみたいな気持ちを改めてそれぞれが感じてもらえる機会になってくれたのなら良かったと思う。

午後からのシンポジウムでは、タレントのなすびさんが「私の山との関わりについて」と題した基調講演を行った。その後、7人のパネリストによる「祈りと恵みの山々」と題したパネルディスカッションを行い、最後は普天間かおりさんの歌で締めくくった。

シンポジウムでのなすびさんの基調講演。

後日、相馬市から青森県八戸市を結ぶ自然歩道「みちのく潮風トレイル」を踏破した

こともあるなすびさんが環境省の「福島環境・未来アンバサダー」に任命された。

パネルディスカッション

パネリストの皆さん

パネリストの皆さん

パネリストの皆さん

シンポジウムのパネルディスカッションでは、たくさんの学びがあった。

パネリストの大和川酒造店会長の佐藤氏は日本酒造りの経験から「自然の恵みを頂いて生きてきた」「山は豊かさの象徴。山に降った雨や雪が流れて、町や村の個性的な文化ができる」と述べ、マタギとしても活躍する慶応大学先端生命科学研究所研究員の鵜野氏は鳥獣対策で山に入り、クマを捕獲して遺伝子分析を行っていることに触れながら、自然保護に携わる人材を育てるには子供の頃から自然の中で遊ぶ体験を積ませることが重要だと指摘した。また飯豊連峰保全連絡会・朝日連峰保全協議会アドバイザーの川端氏は山をより多くの人に楽しんでもらうために植生回復の取り組みが必要と語り、少人数で小まめに登山道を手入れすることを提案した。NPO法人日本ジオパークネットワークの斉藤氏は保全活動は「なぜ」がないと続けられない。理由をしっかり学ぶプロセスなどが絶対必要だ。実際活動する地元でも利害関係があるだけに、しっかり理解しあう対話と努力が不可欠と述べた。東北森林管理局の香月氏は戦時中の過剰な森林伐採で山が荒廃したが、現在は手入れが行き届いていない状況にあるのでよりよい姿を残す取り組みが求められていると述べた。エベレストを登頂したなすびさんは登山を楽しむと同時に自然を守らなければならなと強調。次世代につなげるためにも、大量消費や大量生産を見直すべきだと訴えた。

私自身、70周年を迎えた式典・シンポジウムを通して、改めて認識できたこととして、この公園には火山活動によって造り出された地形や、大小の湖沼など変化に富んだ景観が広がること。貴重な植物が自生し、野鳥の種類も多く、登山やスキー、キャンプ、温泉などの多様なレジャーが四季を通じて楽しめること。

この貴重な自然をきちんと五十年、百年後に渡せるのかいま問われていること。よりよい姿を残すための取り組み、継続できる仕組みをみんなで考えてかなければならいこと。を改めて考えさせられた。

まずは村との共同事業や地域のNPO団体との連携、地域の人たちとの横のつながりを活発にする取り組みを、平たく言えばもっと多くの所に顔を出し対話することを積極的に行いたいと思った。

最後に、なすびさんが話された話の中で、感銘をうけた言葉をもって今回の報告日記を終わろうと思う。

「地球は先祖から受け継ぐものでなく子孫から借りているというネイティブ・アメリカンの言葉のように、未来に大切に残し、つなげなければならない。今を生きる一人一人が考え行動する必要がある。」

以上です。

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2020年10月06日「てんこ盛りです。安達太良山!」

磐梯朝日国立公園 裏磐梯 小野寺浩詩

裏磐梯自然保護官事務所の小野寺です。

今回は9月の4連休中、安達太良山へ登ってきた時の様子です。

ルートは、沼尻登山口から船明神山を通り安達太良山山頂へ。帰りは鉄山を通り沼尻登山口に戻るというものでした。

磐梯朝日国立公園内にある安達太良山は、日本百名山や花の百名山などに選定されている人気の山ですが、過去には大きな噴火を起こし災害をもたらしました。今年はその噴火(1900年)からちょうど120年の節目の年でもあり、ぜひ登りたいと考えていました。

登山口に着いてまず驚いたのは、駐車場がほとんど埋まっていたことです。連休中なのである程度覚悟はしていましたが、コロナ禍の中、やはりアウトドアに人が集まってきているのかなと感じました。

準備を整え出発。

沼尻登山口から出発

5分程歩くと早速白糸の滝が出迎えてくれました。

早速滝(白糸の滝)と遭遇です

いきなりメインディッシュをいただいた感じで、この先の展開が少々不安になりました。

しかしそんな心配をよそに、次々と山の恵みや絶景が出迎えてくれました。

リンドウに導かれ

写真等でよく見ていた沼ノ平火口を目にした瞬間は、一瞬息をのむほどでした。火山活動のすさまじさとともに、その荒涼とした景色に美しさを感じていました。

沼ノ平火口

小さなお釜もありました

稜線に出た途端、突然の濃霧と強い風に悩まされましたが、どうやらそれは龍神様の挨拶だったのかもしれません。

突然霧と強風が

よく見ると目、鼻、口、耳が。龍神様(ラクダに見えなくもないが)!?

安達太良山の山頂が見えてきました

無事に安達太良山の山頂に立ち(ロープウェイ方面からの登山者が多かったです)、山に御挨拶した後は、先ほど歩いた稜線を向こうに見ながら鉄山に向かいました。

到着です(人が多い!)

間違いなく安達太良山です

今度は反対側から沼ノ平を望みます

鉄山山頂で昼食をとり、後は帰るだけと思っていましたが、ここからがフルコースの始まりでした。

箕輪山とお近づきになり、紅白ならぬ黒白のかわいい実と出会い、海外を思わせるような景観、胎内岩(知らずに胎内ではなく外側を通ってしまいました)、そして数々の奇岩との出会い。

箕輪山にも御挨拶

黒(ガンコウラン)との出会い

白(シラタマノキ)との出会い

欲張りすぎの絶景

ここは日本ですよね!?

さらには、至る所から少しずつ水が集まり、川になっていく様子を歩きながら感じることができました。川の途中には源泉と湯の花採取場が見られ、活火山であることと、ここから人の生活と結びついていることが実感できました。

川ができていく様子もよく分かりました

湯の花採取場

最後にもう一度滝に御挨拶をし、大満足(おなか一杯)で登山口まで戻りました。

最後にもう一度白糸の滝に御挨拶

締めは、先ほどの源泉を引いた温泉にゆっくりとつかったことは言うまでもありません。(お見せすることはできませんが)

これからは木々が色付き山装う時期を迎えます。新しい発見を見つけに山に出かけてみませんか!

長文にお付き合いくださりありがとうございました。

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