十和田八幡平国立公園
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2021年02月12日ホワイトアウトの睦月から如月へ
十和田八幡平国立公園 伊藤 あけみ
全国的に悪天候だった睦月の月末、みなさんの地域に被害はありませんでしたでしょうか?
如月も2週目、月曜は小雪舞う底冷えする朝でした。
〈2021/2/8 出勤時の一度目の朝日:左はカツラの雄株 右はサワグルミ〉
※峠から外輪山の中に入ると太陽は沈んでしまい、湖畔ではまた登る朝日を見る事ができます。
コロナ禍で世界中の車の往来が減り、地球温暖化にブレーキがかかったのか、空気が澄んでネパールのカトマンズの町から以前は見えなかった世界最高峰のエベレストが眺められる日がある、というニュースを見ました。アルピニストの憧れの山エベレストを、コロナ禍が落ち着いたら眺めに行こうと思うこの頃です。(けして登ろうとは言いませんからご安心を)
初詣も遠くに行けない今、パワースポット十和田神社の様子をお伝えしようと思います。
こんなご時世ですから、写真に向かって祈る事で、御利益がありますように。
また、月末から2月始めにかけて、出勤時に何度かホワイトアウトに見舞われました。峠のカーブで突然前が見えなくなり、方向が全くわかりません。ハザードを点灯しながら止まるしかないのですが、後続車がいないのを祈るのみでした。
〈吹雪の日の湖畔のオオヤマザクラ:咲く日が待ち遠しい〉
降り続く雪の合間にのぞく青空がとても眩しいです。
以前、木々の冬芽を紹介しましたが、空を見上げて、葉の落ちてしまった樹木の枝ぶりを眺めるのも楽しみのひとつです。
〈春待つカツラの雄株〉
〈カツラの雌株には実が残って賑やかです〉
何が違うの?よく見れば違うのです。
〈オニグルミは遠くからでも冬芽がわかります〉
睦月とは正月に人が集まって睦まじくする月という意味があるそうです。
今年はコロナ事情で賑やかに集まってという状況ではなかったかと思います。
岩手出身の私自身も、帰省はおろか家族にももう一年近く会えていません。
実家では、医療従事者は自分の外出規制だけでなく、来訪者に関しても厳しく、秋田在住の自分が行くことで、二週間出勤出来なくなるということです。大変な世の中ではありますが、十和田湖畔に勤務し、八幡平の懐に住まい、日々移り変わる風景に包まれていることが、心のよりどころになっております。
しかし美しさと隣あわせの厳しさも時折牙をむき、様々な試練を与えてくれるものです。
それでも、厳しさがあるからこそ美しさがより際立つのでしょう。
日々の風景はけして同じものはなく、毎日でも飽きることなく、毎朝、毎夕、湖畔に佇みしんみり自問自答するのが日課となっています。
※アイスバブル:湖底からわき上がるガスなどが湖面近くで凍り何層にも閉じ込められて出来る現象。
目には見えなくとも確実に春の兆しが隠れていますね。鳥達のさえずりや木々の芽の様子にそれを感じる瞬間があります。
〈キハダの実をついばむヒヨドリ〉
〈かわいらしい声が春を思わせるカワガラス、シャッター音で逃げてしまいました〉
こんな時だからこそ、少しでも現地の風景をお届けできたらいいと思っています。
時折、「日記を楽しみにしています」とメールに添えてくださる方がいらっしゃり、とても励みになります。そんな方のためだけでなく、今日も伊藤は、吹雪であろうと湖畔に長靴で切り込んでいこうと決意しました。
ど ん と は れ
(故郷の岩手で民話の最後に使われる おしまい めでたしめでたし などという意味です)
それにしても、冬がどんどん加速して日にちが足りない、春は待ち遠しいものの、もっと冬が長かったらとジレンマの最近の伊藤です。
2021年01月28日ホワイトアウトの大寒前日
十和田八幡平国立公園 伊藤 あけみ
今週の十和田湖の風景です。
〈2021/01/26 早朝 湖畔より南八甲田櫛ヶ峯をのぞむ〉
〈2021/1/26夕景〉
寒さが続いたり、雪が降り続いたりした後に晴れた朝は、凍り付いた湖面や木々のしぶき氷
がきらきら輝いて、ガラス細工の芸術品が並べられた中を通勤しているようで、幸せな気持ちになります。
〈2021/大寒前後〉 〈髭の生えたイルカ?〉 〈クリスタルのランプシェード〉
1月20日は大寒でしたね。19日の通勤時、大荒れの朝、ホワイトアウトの中、車のハザードを点灯しながら
止まったり走ったりして、やっと事務所に着きました。帰宅後の除雪が手間取ることを想定し、午後から次の日にかけて休暇をいただきました。しかし大寒当日は気温も高めで、穏やかな一日でした。
その日昼過ぎにはたと大寒であることに気が付き、早速以前に話題にした「大寒味噌仕込み」を決行したのは
言うまでもありません。
今年の秋の出来具合が楽しみです。
さて、昨年のクリスマスの日の事になりますが、酸ヶ湯温泉でイグルー(圧雪ブロックを使って作ったシェルター)を作る講習会があり、受講してきました。青森大学観光文化研究センターの佐々木豊志先生直伝イグルー製作体験講座です。世界初の講習会ということで、一日だけ参加した私はブロックを切り取るところまでのカッターの認定証をいただいてきました。世界初の認定証とのことです。たくさんのブロックを切り出し、
更に積み上げるには技術と人手が必要ですが、犬小屋くらいの大きさなら一人で作れるかもしれませんね。
また冬の楽しみが増えました。
〈踏み固めて切り出し積み上げます〉
一月も残すところあと僅か、冬本番はこれからですが、先週末は日差しも春のような陽気でした。湖畔を歩くと気の早いマンサクの花が今にも笑い出しそうな勢いです。
〈2021/1/26 御前ヶ浜の春待つマンサク〉
〈2021/1/26 厳しい環境に負けず枝に残るツリバナの実〉
冬を楽しむ予定満載の、充実したウインターシーズンを過ごしたいと思います。まずは八甲田の樹氷、
国立公園ではありませんが日本三大樹氷の一つと言われる森吉の樹氷、そして日本一の密度と言われる八幡平の樹氷が待っています。ちなみに樹氷は過冷却された霧や水滴が木に付着したもので風上に向かって大きくなります。日本で樹氷が見られる場所は他には蔵王や西吾妻などがありますが、ロープウエーで気軽に行ける
八甲田、登山者の聖地と呼ばれ簡単には人を寄せ付けない八幡平、ぜひ冬しか会えない十和田八幡平国立公園の絶景をご自身の目でみてほしいものです。
今シーズンのまだかわいい年末の八幡平の樹氷をご覧ください。
〈2020/12/29 口から炎を吹き出しているようなスノーモンスター〉
〈2020/12/29 大好きな場所 八幡沼付近より岩手山の夕景〉
ただいまどんどん成長していることと思います。
遠出をせずとも、身近な十和田八幡平国立公園を満喫しましょう。
2021年01月14日十和田ビジターセンター企画展「鉱山から始まった十和田湖のくらし」
十和田八幡平国立公園 村田 野人
こんにちは、十和田八幡平国立公園管理事務所の村田です。
今回は十和田ビジターセンターで開催中の企画展の紹介です。
現在、十和田ビジターセンターでは、令和3年1月12日から2月21日(日)まで、企画展「鉱山から始まった十和田湖のくらし」を開催中です。
江戸時代に十和田湖は、最盛期から衰退しつつも信仰の山であり人跡まれな奥山でした。そのわずか30から40年後大正の初め、湖畔にはホテルが立ち、自動車が走り、郵便局があり、観光地として注目を集め始めていました。この信仰の時代と観光の時代をつなぐ、ミッシング・リンクこそ鉱山の時代でした。
十和田湖に人が住み始め、集落ができていく、その過程には湖畔の鉱山開発と深い関係がありました。企画展では歴史資料を基に明治時代の十輪田銀山・鉛山の発展と生活の様子、後世に鉱山が遺したものについて紹介します。
<企画展「鉱山から始まった十和田湖のくらし」
※企画展の詳細はこちら
タイトル:企画展「鉱山から始まった十和田湖のくらし」
期 間:令和3年1月12日(火)から令和3年2月21日(日)9:00ー16:30
(毎週水曜日は休館)
会 場:十和田ビジターセンター
(〒018-5501青森県十和田市奥瀬十和田湖畔休屋486)
主 催:十和田ビジターセンター運営協議会
資料提供・協力:小坂町総合博物館「郷土館」、小坂町町史編さん室
協 力:環境省東北地方環境事務所十和田八幡平国立公園管理事務所、(一財)自然公園財団十和田支部
2021年01月05日初春の慶び
十和田八幡平国立公園 伊藤 あけみ
謹んで初春のお慶びを申し上げます。
周辺の木々に多く見られる宿り木が、青空に映えてとても美しい季節です。
〈冬も元気なアカミノヤドリギ〉
「あしひきの 山の木末(こぬれ)の 寄木(ほよ)とりて
挿頭(かざし)しつらくは 千年(ちとせ)寿(ほ)くとぞ 大友家持」
「山の木の梢の寄木を取って
挿頭(かざし=髪に挿す草花や枝)にしたのは、
千年(の世)を祝ってのことです。」
昨年の今頃は、こんな世情になるとは思いもせず、冬の間は何処の山に行こうかと
新しい年のわくわくすることばかりを考えていた伊藤です。
出かけたい山は、国内はおろか県外にさえも気軽に出かけられない状況が続いています。
そんな中で、少しでも十和田八甲田奥入瀬の美しい風景をお届けしようと思ってきましたが、
拙い写真ゆえ素晴らしさが伝わったかはわかりません。
昨年も温かく見守っていただき、たいへんありがとうございました。
新しい年も、すぐには平穏無事にとはいかないと思いますが、心穏やかに、楽しんで、
人の役にたてるような人間でいたいと思っています。
本年もどうぞよろしくお願い申しあげます。
さて、宿り木を良く観察すると、黄色や橙色の実の色の違いだけでなく、枝にも違いがあり
種類の違う宿り木であることを教わりました。
冬枯れの樹木に、花が咲いたように見える宿り木は、古くから神聖なパワーを持つとされる
縁起の良い植物と知ると、わくわくしてきますね。
〈ホザキヤドリギ:枯れ木に花の咲いたよう〉
〈ホザキヤドリギの実:葉が落ちても頑張っている〉
仕事始めの4日は、年末年始に降り続いた雪を一度に除雪しなければならなく、
事務所全員で作業しました。
〈4日の朝の積雪状況〉
〈除雪機では難しい部分は手作業です:十和田事務所長奮闘中〉
また、12月24日~1月31日まで、イオン下田ショッピングセンタースターバックス前にて、
「十和田八幡平国立公園写真展」を開催しております。
お近くにお越しの際は、どうぞお立ち寄りくださるようお願いいたします。
また今後、管内でも数カ所予定されていますので、下記スケジュールを参照のうえ、
ご来場よろしくお願いいたします。
○青森県
おいらせ町 イオンモール下田 12/24~1/31
○秋田県
鹿角市 文化の杜交流館 コモッセ 2/17~3/10
○岩手県
八幡平市 結いの広場(市役所ホール)1/15~2/4
最後に伊藤個人の恒例年始歌始め
ひさかたの まばゆき空に 寄木(ほよ)映えて
よろづのわざわい 去りゆかん
2021年01月05日第二弾 網張ビジターセンターリニューアルのお知らせ
十和田八幡平国立公園 工藤紀恵
盛岡管理官事務所の工藤です。寒い日が続きますね。岩手県は本州で最も年平均気温が低い県です。年末年始は強い冬型の気圧配置の影響で我が家のサッシも凍り付き、窓が開かないため換気が難しい日もあったほどです。
さて、先日網張ビジターセンターのリニューアルについてお知らせいたしましたが、本日の第二弾では館内のいたるところに使用されているイラストデザインについて紹介します。
地元のイラストレーターの方のデザインで、網張ビジターセンターが明るく軽やかな雰囲気となりました。
お越しいただいた皆さんに「ここはどんなところ(施設)なんだろう?」とワクワクしてもらえるのを想像してワクワクしています。
よく見ると岩手山のイラストの麓にはきのこや動物が描かれています。
本日紹介していない箇所にもイラストが沢山ありますので、どこにイラストが描かれているかを是非ご来館の上、探してみてください。
網張ビジターセンターHPはコチラ
※網張ビジターセンターでは、新型コロナ感染症対策として館内数カ所に消毒液を設置していますのでご利用下さい。またマスクの着用もお願いいたします。
国立公園でお会いしましょう
2020年12月22日寒さを楽しむ
十和田八幡平国立公園 伊藤 あけみ
全国的な寒波で大雪の様子が報道されていますが、
雪の被害に遭われた方々には、心からお見舞い申しあげます。
雪に慣れている地域なので、公園内では特段の混乱はありませんでした。
酸ヶ湯温泉の積雪量は2メートル以上になり、友人知人や家族から、大変ねと言われますが、
本人は美しいこの時期を楽しむ気満々ですので、ご安心ください。
そんな寒い季節の楽しみを挙げてみたいと思います。
雪が降るとまず目につくのが、雪原に残された足跡ですよね。
アニマルトラッキング(動物の歩いた足跡、羽跡、爪痕、食痕、糞などから動物の行動や生活、
生態を読み取ること)は、冬の自然観察の楽しみの一つで、探偵気分が味わえます。
〈冬も青々としたツルマサキの枝とリスの足跡でしょうか?〉
春を待ちわびる樹木の冬芽の観察も欠かせません。
〈寒さに耐えるムラサキシキブの実と冬芽〉
〈マンサクの丸い花芽と尖った葉芽と虫こぶ〉
〈芽鱗が剥がれかけ、陣笠を被った顔のように見えるリョウブの冬芽〉
〈不思議な模様のコブシの冬芽〉
〈←葉芽に毛があるのがコブシ、無いのはタムシバ〉
〈王冠を被り微笑んでいる王子様のようなオニグルミ〉
厳冬期の十和田湖周辺では、蓮氷(割れた氷が波でぶつかり合い丸くなって蓮の葉のように見える)や
しぶき氷(風が強く気温の低い日に、波が木などに凍り付いたもの)が出来て、
寒ければ寒いほど素晴らしい芸術作品が出来上がります。
また奥入瀬渓流の多くの滝は凍り付き、車に特別なライトを積んで滝を照らし、
鑑賞するためのツアーも開催されています。
この寒波で一気に成長しました。
https://www.towada.travel/ja/oirase-ice-falls
そして何と言っても冬の醍醐味を味わえるのは、八甲田や八幡平の樹氷ではないでしょうか。
何度見ても圧倒されてしまいます。
日本三大樹氷の一つである八甲田、日本一のオオシラビソの密度と言われる八幡平と、
十和田八幡平国立公園内では、この二つの広大な樹氷原が存在しています。
〈2018/1/中旬 八甲田の樹氷〉
〈2019/2/下旬 陵雲荘付近から岩手山を望む〉
そんな恵まれた環境で仕事をさせていただいて幸せなことです。
遠くに出かけなくても、湖畔にやってくる野鳥をのんびり観察するのも楽しいものです。
〈車に驚いて飛び立つオオバン〉
さらに、忘れてはいけないのが、「食」ですね。寒さゆえの食文化は地域によって様々ありますが、
私が個人的に心待ちにしているのは、味噌仕込みと干し餅作りです。
母の教えは、「味噌は大寒に仕込むこと」でした。雑菌が少なく失敗が少ないということです。
十和田湖に来た年の冬に仕込んだものが、良い味になっています。
また登山の際の行動食にしている干し餅(独自のレシピで、お粥に塩や砂糖などで味付けし
成形して低温下で乾かすもの)はマイナス10度以下にならないと上手くできないので、
気温が低くなる日を待って、作業をします。
今年は、北陸や信州の郷土料理である、柚子釜という茶菓を作ってみました。
寒風に2~3ヶ月吊して干し、春が来る頃に食べることができるそうです。
とても楽しみです。
「寒酒」「大寒卵」「寒の水」という言葉があるように、冬は豊かな食を提供してくれる有り難い季節です。
スノーランブリング(雪の上をぶらぶら歩く)や、冬景色の中を漕ぐカヌーも楽しそうですし、
めいっぱい楽しんでいるうちに、あっという間に春になっていそうです。
〈天気が良ければ一年中楽しめるカヌー〉
更なる楽しみは、昨年たった一度しか運転しなかった除雪車を(業務ではありませんでしたが)
今年は運転する機会があるのか、わくわくしています。
伊藤の楽しみばかり挙げてしまいましたが、皆さんもご自身の冬の楽しみ見つけてみませんか?
2020年12月17日網張ビジターセンターリニューアルのお知らせ
十和田八幡平国立公園 盛岡 工藤紀恵
盛岡管理官事務所の工藤です。寒い日が続きますね。冬用のブーツを履き始めました。
この度、「国立公園満喫プロジェクト」の一環として、十和田八幡平国立公園網張ビジターセンターを
リニューアルしました!
火山としての岩手山の「恵み」「利用」そして「畏怖」をキーワードにして既存展示の再構成を行い、
岩手山の見所や成り立ちを紹介しています。
リニューアル後の館内の様子については今後数回に分けてこの日記で皆様にお伝えできればと考えています。
館内はくつろぎのスペースが以前より増えました。網張ビジターセンターの新しい姿を是非ご覧下さい。
※網張ビジターセンターでは、新型コロナ感染症対策として館内数カ所に消毒液を設置していますのでご利用下さい。またマスクの着用もお願いいたします。
国立公園でお会いしましょう
2020年12月02日十和田八甲田地区パークボランティア研修会が行われました。
十和田八幡平国立公園 伊藤 あけみ
2020年もあっという間に師走になってしまいました。
十和田湖畔に来る前は、師走に突入したとたんに走り回り、31日の夜まで慌ただしくしていたのを、
ふと思い出してしまいました。
ここ十和田湖畔はゆるやかに時が流れているように感じますが、
きっと誰にも平等に、時間は過ぎていっているのでしょう。
各地の積雪情報や、最低気温とともに、スキー場のオープン時期についても気になる季節になりました。
さて、11月15日、十和田八甲田地区パークボランティア会員対象の研修会が行われました。
毎年、秋の研修会は環境省主催で行われ、春から研修会のテーマや講師の選定を始めます。
環境省パークボランティアの皆さんの活動は時折この場を借りて紹介させていただいていますが、
そんな皆さんがいつまでも元気で活動していくために、「山でのセルフレスキューおよびバテない歩き方」
というテーマで、登山ガイド、山岳看護士でもある熊谷久美子さんに
研修会をお願いしました。
研修に先立ち、環境省認定パークボランティアとして認定され、活動が15年にあたる方に対して
感謝状の贈呈が行われました。
十和田八甲田地区では12名の方が表彰対象となっており、
当日参加された9名に感謝状が授与されました。
15年の長きにわたり、十和田八甲田地区の自然保護や施設の維持管理等にご尽力いただき、
本当に感謝の気持ちでいっぱいです。
〈十和田八幡平国立公園管理事務所長より代表者に感謝状が贈呈されました〉
続いて、いよいよ研修会が始まります。
熊谷さんは最近講演依頼も増えており講話の内容を楽しみにしていましたが、数年来の友人で
知っている人であるがゆえに、自分も同じようにドキドキしてしまいました。
〈当日の資料より抜粋〉
令和2年度十和田八甲田地区パークボランティア
秋季研修会
日時:令和2年11月15日(日)13:00~15:00
場所:十和田ビジターセンター レクチャールーム
講師プロフィール
熊谷久美子(くまがいくみこ)氏
●日本山岳ガイド協会
東北マウンテンガイドネットワーク所属
●日本登山医学界 山岳看護師
●日本看護協会
●看護師歴30年
●秋田県総合保険事業団
メディカルコンシェルジュ
●ウィルダネスメディカルアソシエイツジャパン
野外救急法 国際資格 WFR
24年間、看護師として中通り総合病院で、救急、整形、がん医療に意欲的に関わっていたが、
一昨年の1月、突然「北アルプスの山小屋で働きたい」といった意欲が降って涌き、転職を決意。
春には退職し、山小屋で働く「山ナース」となる。
「山岳医学」や「野外救急法」を学び、実践するうちに、
がんばらない「山歩き」「山徘徊」が一番だ、と気がつく。
翌年には、日本山岳ガイド資格を取得。「バテない、転ばない楽しい山歩き」の伝導ガイドとして
活動の場を広げている。
現在は、登山ガイドのほか、介護ナース、ツアーナース、救護ナースなど多様な「働き方改革」を実践中。
今年度9月、山岳看護師認定
現 秋田県高総体登山部ファーストエイド講師
〈以上 当日の資料より〉
昨今、あちこちの山で山岳事故も多発しており、上半期はパークボランティアの方の急逝
(山岳事故ではありませんが)などもあり、パークボランティアの皆さんに安全に山などでの
活動を行っていただくために、何かできることは無いかと、考えての企画でした。
熊谷さんの研修内容は、登山ガイドと看護士の両方の立場からみた具体的なことが多く、
すぐに実践に役立つことばかりでした。
〈講話の後に行われた上半身の怪我と腰の痛みに対する処置と経口補水液(※)の試飲〉
※経口補水液:スポーツドリンクよりも身体に吸収されやすい、塩分と糖分が濃い飲み物
山やスポーツの場面で良く使用される漢方薬(私自身の周りでも良く服用するのを見かけ、
自身は飲まないが誰かのためにと持ち歩いている)ものがあります。
それをすぐに飲んでしまうことで、いったん症状は良くなるものの、本当の原因を
分かりにくくしてしまうことがあるということです。
症状が出てすぐに服薬したことが、結果として別の怪我を引き起こすといった実例も聞くことができました。
山では、何かあっても誰かがすぐには助けに来てくれませんし、普段の生活でも事故や災害の場面に
遭遇することもあるでしょう。そんな時、自分が良かれと思ってしたことが
別の災害を引き起こす可能性があることを念頭に入れて行動しなければなりません。
救急法などの知識もどんどん新しくなりますので、常に勉強をしていくことが必要だと感じました。
〈ツエルトを使用したレスキュー方法〉
しかし山のレスキューでは間違いを恐れて行動しないことよりも、助けたいと思う気持ちが大切だと、
自分自身が日本赤十字救急員養成講習を受講した際に教わりました。
助けたいという気持ちを優先すべきで、山中においての事故の救護に際して、その結果を
後日とやかく言う状況では無いと教わった記憶があります。
研修会は実技も交えて行われ、質問も活発に出され、時間が足りないほどでした。
私自身が山に行く際に参考にしたい事も多くあり、パークボランティアの皆さんにとっても
有意義な研修会だったようです。
今回の講師の熊谷さん始め、私の周りには、あらゆるジャンルのプロのような方々がたくさんいて、
何かあるとすぐに頼りになる人ばかりです。
たくさんの方に支えられ生かされていると感じる今日この頃です。
そんな思いで見る十和田湖は今日も美しかったです。
〈おもいおもいに波間にただようオオバン〉
〈12/1 雪にけむる中山半島と毎朝挨拶する生出キャンプ場前の倒木〉
今年初めての試みの「光の冬物語」も始まり、先日少しだけ見てきました。
〈初めて見るライトアップされた十和田神社〉
十和田湖の冬の始まり、コロナウイルスの影響で新しい時代がやってくるように感じました。
寒さも厳しくなりますが、わくわくすることを探しながら、春の訪れを待ちましょう。
2020年11月24日冬への準備2(高病原性鳥インフルエンザへの備え)
十和田八幡平国立公園 村田 野人
こんにちは、十和田八幡平国立公園管理事務所の村田です。
冬に向かって、十和田湖と八甲田山ではスキーやスノーボード、樹氷、しぶき氷、氷瀑など魅力的なモノがたくさんあります。
でも、冬にはあまり発生してほしくないこともあります。いわゆる高病原性鳥インフルエンザです。今回はそれに対しての準備業務の話です。
高病原性鳥インフルエンザは鶏など(家きん)で被害がでやすく、専門家から渡り鳥等の野鳥が関与している可能性があると指摘されていることから養鶏場における対策では野鳥が重視されています。また、海外では野鳥においても高病原性鳥インフルエンザの感染により数千羽に及ぶ大量死が報告されている種もあります。国内では20種類以上の野鳥において感染が確認されていることから、生物多様性の面でも重要です。
当事務所では、十和田、小湊、下北西部の3つの国指定鳥獣保護区の鳥類の生息状況調査※1と死亡野鳥等調査※2を担っています。
2つの調査のうち特に死亡野鳥等調査は、高病原性鳥インフルエンザウィルスの簡易検査を行う必要があり、普段触れることのない道具を使うため日頃から様々な準備が必要です。先日、改めて「野鳥における高病原性鳥インフルエンザに係る対応技術マニュアル」※3を読み込み、調査の流れ、死亡野鳥の安全な取り扱い方法、適切な検体の採取方法、簡易検査キットの正しい使い方について復習しました。また、発生※4に備え調査用の資材(使用期限切れ、出動体制)についても確認しました。
今シーズン、家きんを除く野鳥では3件の高病原性鳥インフルエンザウィルス確定検査陽性の結果が出ており※5、例年以上に緊張感をもって準備しています。
※1 通常時の鳥類相を把握し、異常行動を示す野鳥や死亡個体の発見に努める。
※2 異常行動を示す野鳥や死亡個体を発見した場合に高病原性鳥インフルエンザウィルスの保有状況を調べる。
※3 http://www.env.go.jp/nature/dobutsu/bird_flu/manual/pref_0809.html
※4 野鳥での高病原性鳥インフルエンザウィルスの感染または環境資料からの同ウィルスの検出を高病原性鳥インフルエンザウィルスの発生と呼ぶ(野鳥における高病原性鳥インフルエンザに係る対応技術マニュアル3ページ「本マニュアルの目的」より)。
※5 2020年11月17日時点
<調査用資材>
初めまして。
鹿角管理官事務所アクティブ・レンジャーの谷川です。
出身は新潟市です。4月に鹿角市に引っ越してまいりました。
担当するエリアは十和田八幡平国立公園の八幡平地域です。
八幡平の冬は新潟市と比べるととても寒いです。
しかし八幡平の自然の美しさはこの寒さあってこそなのだろうなと感じています。
冬の八幡平といえば樹氷が有名ですが、私はまだ樹氷を生で見たことがないのでこれから楽しみです。
さて、私は2月4日に八幡平の南側に位置する乳頭温泉郷の湯めぐりコース付近の
ブナ林を巡視してまいりました。
地元の方に案内していただきました。
スノーシューは少し歩きづらいですが、雪に沈む事なくスムーズに歩けますし、
雪を纏ったブナ林はとても綺麗で、ウキウキズンズンと進んでしまいます。
雪の積もったブナ林はなんともいえない静かさで、神秘的な雰囲気に包まれています。
寒さを忘れてずっと居たくなってしまいます。
来た道を振り返って。
自分たちの歩いてきた足跡を見るのもなにか楽しいですよね。
このブナ林ではキツネなどの動物の足跡を発見できます。
今回は残念ながら発見できなかったので次は必ず見つけたいです。
乳頭温泉郷にお越しの際は是非スノーシューでの散策をお楽しみください。