ACTIVE RANGER

アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]

東北地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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十和田八幡平国立公園 十和田

398件の記事があります。

2011年04月15日開花

十和田八幡平国立公園 十和田 種村 由貴

 頬にあたる風が柔らかく暖かくなり、暖房器具を付ける時間が短くなってきました。雪もあっという間に無くなっていきます。雪の間から見える地面の面積が増えてくるにつれ、フキノトウの次に顔を出す植物が気になり出します。
 春、他の木々が芽吹き出す前に花を咲かせ結実までを終わらせ、次の春まで土の中で眠ってしまう植物、通称「スプリングエフェメラル(春の儚い妖精)」。十和田湖の場合その中で一番に花を咲かせるのはキクザキイチゲ(キクザキイチリンソウ)になります。
 ついに咲いたという情報を入手したので、見に行ってきました。



 相変わらず美しいですねぇ。花が咲いているのを見るだけで心が躍ります。生命の色だからでしょうか。無条件で喜びが湧いてきます。事務所の横でもつぼみを見つけたので、来週にはお花畑が広がっているかもしれません。
 この花に会いに行く途中、おなじみの植物も見つけました。



つくしんぼ(ツクシ)。

 正式名称はスギナ(トクサ科)で、更に専門的に言えば胞子茎(ほうしけい)という部分になります。予期していなかったのでこれも嬉しい出会いでした。「久しぶり!」とつい声をかけてしまいます。


 他にもオシドリやニュウナイスズメを見かける機会も増え、「これから宜しく。」と心の中でこっそり呟いてみるのでした。

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2011年04月07日蔦野鳥の森巡視

十和田八幡平国立公園 十和田 種村 由貴

 今日は蔦野鳥の森へ行ってきました。
 この「蔦(つた)」という地域は、南八甲田東側の山麓に位置し、赤倉岳東側山頂下で起きた火山活動の崩壊によってできた地形となっております。崩壊したあとのくぼ地には水がたまり、いくつかの湖沼群が形成されました。約1時間半でまわれる自然散策路「沼めぐりの小路」では、蔦七沼と称される沼の内6つの沼を巡ることができます。周囲はブナをはじめとした自然森が広がり、沢やくぼ地にはサワグルミやトチノキなどの落葉広葉樹、林床にはハイイヌガヤなどの低木やシダ植物が生息しています。
 ここは私の大好きな場所の一つでもあります。というわけで、今日も沼めぐりの小路を歩いて来ました。



 沼めぐりの小路の蔦沼側から入ってすぐ右手。毎年ミズバショウが見られる場所です。まだ開いてはいませんが、トレードマークの白い仏炎苞(ぶつえんほう)が覗いていました。




 蔦沼 7つの沼の中で一番大きな沼。
 左に見える白い山が赤倉岳。赤倉岳が見える稜線が凹んでいますが、ここが火山活動で崩れた箇所です。



 ムササビがブナの冬芽を食べ散らかした跡がいくつかありました。木の上で枝ごと折って冬芽を食べ、そのまま落とすため、ムササビが食事をした跡は細かい枝などが散乱します。と、そこにヤドリギまで落ちていました。実を食べたのでしょうか?それにしても大胆に折るものですね。そばにムササビの糞も落ちていたので拡大してみました。

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2011年04月06日十和田湖も春!

十和田八幡平国立公園 十和田 種村 由貴

 十和田自然保護官事務所、種村です。今年度も宜しくお願いいたします。元気のあるところが元気を出して、東北をがっちり支えていきましょう!
 自分ができること、ほんの些細なことしか浮かびませんが少しでも気分がほっこりすればいいなと思い、十和田湖の春の便りをお届けいたします。

 昨日今日と十和田湖では最高気温が10℃に迫る勢いでどんどん暖かくなっています。湖の色も春めいて、水色、碧(みどり)、青と優しい印象を受けます。その陽気で溶け出した雪の隙間からはフキノトウが一斉に顔を出し、小鳥はさえずり、マルバマンサクが咲き出し、スギの花粉も舞っているようです。冬芽は今にも葉がこぼれ出そうなほど膨らみ、それを見ていると命の強さを感じました。








 十和田湖の変わらない営みに元気をもらいながら、自分ができることを頑張りたいです。

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2011年01月06日生出キャンプ場施設点検で

十和田八幡平国立公園 十和田 種村 由貴

 冬真只中の十和田湖は、大晦日にどか雪が降り一気に積雪100cmを超えてしまいました。昨年のピーク時よりあります。倒木やら除雪やらで当日は皆さんとても大変だったようです。

 今日はそんな大雪の影響で施設の屋根などが壊れていないか、生出キャンプ場へ点検に行ってきました。冬期閉鎖されていて中には入れないので、外だけ見て回ります。



 スノーシュー(西洋かんじき)を履いて、生出キャンプ場の中をぐるっと一周り。幸いどの施設も壊れてはいませんでした。
 ふかふかの雪を楽しみつつ歩いていると、キャンプ場最奥のトイレに何やら足跡が。




 誰のものだろうと思い確かめてみると、2つのひづめの跡。偶蹄目(ぐうていもく)のニホンカモシカです。男子トイレの扉の前で立ち止まっていた様子。どれくらいの時間いたのかは分かりませんが、風雪をしのいでいたのでしょうか。ひづめの向きが扉の方を向いているので、中に入れるか匂いを嗅いでいたかもしれませんね。想像(妄想)が膨らみます^^


 私の足跡で写真が見づらくなっていますが、このカモシカは写真左下方向から来て右側に歩いて行ったようです。
 野生動物たちの行動が目に見えるこの季節。推理をしながら歩くのも中々楽しいものですよ。ただ下ばかり見て歩くと、不意に頭上から枝や雪が落ちてくることもありますのでご注意下さい。

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2010年12月13日雛岳

十和田八幡平国立公園 十和田 嶋村 道

12月8日に箒場岱から雛岳(1240m)にかけての巡視を行いました。


八甲田を訪れる登山者の多くは酸ヶ湯温泉やロープウェーのある田茂萢岳(たもやちだけ)から入山しますが、北八甲田を挟んで酸ヶ湯の反対側に位置する雛岳コースは比較的歩く人が少なく、ひっそりとしたブナ林をのんびり散策することができます。
登山シーズンも終わり、さらに静けさを増したこの日の気温は-6℃。鳥のさえずりも聞こえず、刻一刻と本格的な冬が近づいている気配を漂わせています。
そのような中で、登山道にはウサギの足跡が点々と続いており、大自然の中で息づく野生動物たちのたくましさを感じさせます。


高田大岳方面との分岐点から上は積雪により登山道が消失している箇所も多く、標高1100m以上は厚いヤブに阻まれ山頂まではたどり着けませんでした。
       
数日前には強風が吹き、その際に落ちたと思われる木の枝が一面に散乱している箇所もありました。
枯れた木々が土に還り、森が更新されていく様子をうかがうことができました。

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2010年11月26日初冬の八甲田大岳

十和田八幡平国立公園 十和田 嶋村 道

11月25日に酸ヶ湯から大岳を経由して仙人岱コースと毛無岱コースの巡視を行いました。

ここ最近の暖かさで積雪はかなり減りましたが、登山道は踏み固めたれた雪や氷で覆われている区間も多く、滑らないように慎重に歩く必要がありました。
地獄湯沢では表土の凍結と融解によって落石が起こりやすい状態になっています。


積雪こそ少なかったのですが、標高の高い場所では樹氷も徐々に形成されてきており、冬の姿に着々と変化していました。


仙人岱付近には早くもスキーで滑った跡がついていました。
この辺は貴重な湿原植生のある地帯になります。積雪も多いところでまだ10㎝足らずでした。踏圧による植生への影響が心配されますので、積雪量の少ない時期のスキー等の利用は控えていただきますようご協力をお願いします。


田茂萢岳の山頂と青森市

※11月25日に酸ヶ湯~谷地温泉間の国道103号線は冬期閉鎖されました。酸ヶ湯へは黒石側の国道394号線と青森側の国道103号線でのアクセスとなります。

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2010年11月12日八甲田に冬到来

十和田八幡平国立公園 十和田 嶋村 道

11月10日に酸ヶ湯から地獄湯沢にかけての登山道状況などを確認してきました。

酸ヶ湯公共駐車場の気温は午前11時の時点で0℃。天候は曇で薄く霧がかかった状態でした。
つい一ヶ月前には大混雑していた駐車場もこの日はわずか5台程しか車が無く、登山者の姿も全くありません。公衆トイレとインフォメーションセンターも閉鎖作業が行われている最中で、冬支度が急ピッチで進められていました。



登山道上には雪が10~15㎝くらい積もっており、視界を遮っていたササや背の低い木が雪の重みで倒れはじめています。木の葉も落ちているので夏場よりも登山道はすっきりしていました。何度も巡視で歩いた道なのに、ここはどこだろう?と思うほど景色が一変している箇所もあり、とても新鮮でした。



ブナやダケカンバの枝の先は霧氷でコーティングされ、アオモリトドマツはうっすらと雪をまとい巨大なクリスマスツリーの様です。



地獄湯沢まで行くと沢の下から風速10m/sくらいの強い風が吹き付けていました。気温も-2℃くらいには下がっていたと思うので、じっとしているとかなり寒いです。
岩肌には吹き付けた雪が小さなエビの尻尾をたくさんつくっていました。

※酸ヶ湯~谷地温泉の区間の国道103号は現在夜間通行止めで、11月25日に閉鎖予定です。

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2010年11月09日酸ヶ湯インフォメーションセンター閉所のお知らせ

十和田八幡平国立公園 十和田 嶋村 道

10月26日に八甲田や十和田湖周辺では初雪が降り、真夏の猛暑の記憶も懐かしく感じる季節となりました。



標高約900mにある酸ヶ湯インフォメーションセンターも雪囲いが終わり、11月10日をもちまして閉所いたします。

インフォメーションセンターは春から秋にかけて八甲田のタイムリーな自然情報や登山情報の掲示、パークボランティアの方やアクティブレンジャーによる周辺案内の場として活用されています。

今後、冬の八甲田の最新情報はアクティブレンジャー日記を通して掲載して行くつもりです。
「冬の八甲田」は多くの方にとっては閉ざされた世界になってしまいますが、この時期にしか感じることのできない魅力もたくさんあります。
知られざる冬の世界を報告して行きますので、ご期待ください。


地獄沼

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2010年10月28日酸ヶ湯キャンプ場で楽しむ野外料理体験

十和田八幡平国立公園 十和田 嶋村 道

10月23日に酸ヶ湯キャンプ場において酸ヶ湯集団施設地区運営協議会主催の自然体験プログラム「秋の燻製づくり&温泉料理体験」が開催されました。
八甲田の自然を知り尽くしたプロガイドの方々に講師をしていただきながら、大自然に抱かれた酸ヶ湯キャンプ場周辺で素敵な一時を過ごす事できました。

燻製というと作るのが難しいイメージがありますが、食材の選び方を工夫すれば意外に簡単に作れます。今回のイベントでは廃材のダンボールを利用してスモーカーを自作するところから体験しました。


約5時間じっくりと燻し続け、各自が思い思いに持ち寄った食材は見事な燻製になりました。食材の水分を十分に抜くという鉄則を守れば、たいていの食材はちゃんと燻製になります。何を燻しても良いというところがまた燻製の魅力で、中には「きりたんぽ」やバナナを試した方もいました。


ちょっと手を加えただけでおなじみの食材が全く新しいキャラクターに生まれ変わる燻製に、みなさん大満足でした。

今回のテーマはどこにでもある材料を利用して、八甲田の自然の中で料理を楽しむというものでした。来年度はスモーク用のチップを自作するなど、さらに発展した内容のイベントをお届けしたいと思いますので、どうぞご期待ください。


<酸ヶ湯キャンプ場情報>
酸ヶ湯周辺は真夏でも最高気温が27℃くらいまでしか上がらず、避暑地にうってつけです。
キャンプ道具の貸し出しも充実しており、初心者の方にも安心です。キャンプだけでなく星空観察やバーベキューにもおすすめです。

アクセス:酸ヶ湯温泉から徒歩5分(公共駐車場から車で入場できます)
開設期間:6月中旬~10月下旬
オートサイト(電源有り):5張り
固定サイト(ウッドデッキ):9張り
フリーサイト(芝生):30~40張り
お問い合わせ(管理棟)017-738-6566

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2010年10月07日「酸ケ湯キャンプ体験&毛無岱ハイキング」の開催について

十和田八幡平国立公園 十和田 嶋村 道

国立公園の適正な利用を推進する酸ヶ湯集団施設地区運営協議会では、自然体験プログラム「酸ケ湯キャンプ体験&毛無岱ハイキング」を開催します。
1日目は酸ケ湯キャンプ場周辺の自然観察やダッチオーブンを使っての炊事体験、2日目は毛無岱のハイキングを行う予定です。ハイキングはアップダウンの少ない登山道をのんびりと散策し、湿原で八甲田の山並みを楽しむ気軽な内容となっております。みなさまの参加お待ちしております。
※イベントの詳細に関しては十和田自然保護官事務所0176-75-2728までお問い合わせください。




募集要項
開催日時 平成22年10月16日(土)13時から10月17日(日)12時まで
開催場所 酸ヶ湯キャンプ場周辺と毛無岱(集合場所:酸ヶ湯キャンプ場管理棟前)
募集人数 20名
参 加 費 大人1,000円  小学生800円(キャンプ場使用料、傷害保険料)
※テント借料等は参加者の負担になります。
参加資格 小学5年生以上で、4時間程度のハイキングができる体力があること。
※小中学生の場合は、保護者同伴での参加をお願いします。
持ち物  野外で活動しやすい服装、帽子、登山靴、軍手、雨具、リュックサック、テント(用意できる方)、寝袋、飲み物等(お湯は主催者用意あり)、
食料(16日夕食、17日朝食)、行動食(パンなど)
申込方法 電話又はFAXにて、住所、氏名、年齢及び電話番号を下記あてお申込み下さい。
【事務局】環境省十和田自然保護官事務所(担当:七目木・嶋村)
TEL:0176-75-2728 FAX:0176-75-2746
締め切り 10月13日(水)17:00 ※募集人員になり次第、締め切りとなります。


※酸ヶ湯集団施設地区運営協議会は、十和田八幡平国立公園酸ヶ湯集団施設地区内のインフォメーションセンターやキャンプ場を拠点として、周辺地域における自然ふれあい活動の推進及び適正な管理運営等を行うため、関係機関(東北地方環境事務所、青森県、青森市、(社)十和田湖国立公園協会、(財)自然公園財団十和田支部、酸ヶ湯温泉(株)、青森森林管理署、東北大学植物園)により構成されるものです。

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