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アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]

東北地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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十和田八幡平国立公園 十和田

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2012年01月13日冬です。

十和田八幡平国立公園 十和田 種村 由貴

 遅くなりましたが、2012年初日記でございます。本年もどうぞ宜しくお願い致します。


 さて、一年前の大晦日は積雪1mの大雪となった十和田湖ですが、今冬は今のところ例年並みのようです。とは言っても、すでに最高気温は連日マイナス、最低気温もこの2日間-10℃を記録しました。
 そんな休屋の巡視で桟橋に行ってみたら、小さな流氷が集まっていました。



 十和田湖の冬について、観光オフシーズンで寒いだけで何もない、というような印象をお持ちの方も多いのではないでしょうか?
 いえいえ、そんなことはありませんよ!冬の十和田湖では見事な氷の造形を見ることができるのです。

 これは先週の西岸の巡視で撮影したものですが

 岩にすっぽりと雪が被さって、その下にクローバーのマークを逆さにしたような氷が垂れ下がっています。波の穏やかな場所ではこういったかわいらしい氷ができますが、強烈な西風に吹かれる東岸では、しぶきを浴びた岩や木にそれはそれは見事なしぶき氷ができあがります。まだ少し時期が早いですが、見頃になりましたらお伝えしたいと思います。


 また冬の十和田湖と言えば忘れてはいけない、20日間以上に渡って開催されるお祭り「十和田湖冬物語」( http://www.towadakofuyumonogatari.com/ )があります。今年は2月3日から26日の開催です。会場予定地では11日から自衛隊の方々によるメインの雪像作りが始められました。

まだ骨格だけです。

昨年の会場の様子。

 冬はまだまだ始まったばかりです。冬物語の様子も含めて、十和田の冬の情報を皆様にお伝えしていきたいと思います。

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2011年12月27日奥入瀬~知られざる厳冬期の魅力~

十和田八幡平国立公園 十和田 嶋村 道

全国に先駆けて26日に酸ヶ湯温泉の積雪が2mを超え、八甲田にスノースポーツのシーズンが到来しました。雪深いこれからの季節は八甲田や十和田湖・奥入瀬方面へのアクセスがなかなか大変になるため、観光で来られる方も夏場に比べて減りますが、訪れた方はきっと冬の美しさに息をのむことと思います。

今回はそんな知られざる冬の奥入瀬渓流の様子を紹介したいと思います。
奥入瀬渓流は十和田湖から流れ出る唯一の河川「奥入瀬川」が作り上げた深い渓谷にかかる大小の滝が魅力の一つです。多くの滝は周囲の山から水を集め、時に豪快に時に繊細に岩壁を流れ落ちます。これらの滝は年間を通じて観ることができますが、これらに加えて冬になるともう一つの「滝」が現れます。それは夏場にはほとんどの人が気づかないような水の浸みだしが芸術的な氷の滝に変化した「氷瀑」です。
大きな滝は水量が多いため、しぶきが跳ねる周辺が凍りつく程度です。ところが「水の浸みだし」は少しずつ成長し、迫力ある自然の造形をつくり上げます。


写真は奥入瀬渓流の馬門岩付近にできる氷瀑です。まだ成長段階ですがおそらく2月中旬頃にピークを迎えて見事な氷柱となり、3月いっぱいまではその姿が見られるのではないでしょうか。この馬門岩付近から十和田湖にかけての道路脇にはこの他にも無数の氷瀑が現れます。冬に十和田湖を訪れる際には、この冬の幻とも言える滝の姿をぜひご覧いただきたいと思います。

なお、氷瀑は気温条件等で突然崩壊することもあります。観賞する場合は十分に距離を取るなどご注意ください。

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2011年12月26日水鳥糞便採取調査

十和田八幡平国立公園 十和田 種村 由貴

 12月に入ったと思ったら、気付けば今年ももう終わろうとしています。十和田湖は渡り鳥のピークを過ぎ、レギュラーメンバーの数も徐々に減っていっているところです。

 そんな十和田湖では鳥インフルエンザの早期発見のために、渡り鳥シーズンになると隔月で水鳥の糞便を採取しウイルス検査を行っています。

 水鳥の糞って見たことありますか?私はこの仕事に就く前まで見たことがありませんでした(探そうとも思いませんけどね)。彼らはわざわざ陸上でしなくても水に浮いたまましてしまえばいいのですから、糞を見かける機会すら少ないはずです。そういうわけで、十和田湖にちらほら見える水鳥の糞を探すのはそう簡単ではありません。鳥が安心して陸上で休み、かつ私たち人間も入りやすい場所でないと採取ができないのです。日々の巡視で水鳥が好む場所を把握し、当たりをつけて調査に向かいます。

 今回は候補地の一つにオオハクチョウが休憩していることが事前に確認できたので、高確率で新鮮な糞を手に入れることができると思いその場所へ。

 予想以上に多い16羽のオオハクチョウが陸上で休んでいました。



 そばに行かないと糞の確認も採取もできないので、休んでいるところ申し訳なかったのですがお邪魔して


 採取の様子(感染防止のため、マスクと手袋をしています)。

 竹串2本を箸のように使ってサンプル管へ入れていきます。1つの糞からひとかたまり、なるべく菌が生きていそうな内部を採ります。

 サンプル管1本につき糞を5個。場合によってはそれ以下ですが、サンプル管ごとに竹串を替えていきます。もちろん使用済みの竹串はしっかりアルコール消毒して廃棄用ジップロックへ。

 調査が終了したら長靴・手袋をアルコール消毒し、マスク・手袋は廃棄。さらに手指をアルコール消毒し靴を履き替えて外作業は終了です。事務所に戻ったら糞を研究機関へ送付し、どこで何の糞を何個採取したかを報告して終了となります。検査結果が出るまで少し時間がかかるのですが、陰性であることをいつも祈ります。次回は2月。今シーズン鳥インフルエンザ発生がないよう願います。

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2011年10月21日十和田湖の雲海

十和田八幡平国立公園 十和田 種村 由貴

 この時期の十和田湖の朝はかなりの頻度で曇りから始まります。8時頃には晴れ渡った秋空と暖かい太陽を浴びることができますが、なにせお鍋のような地形ですからね。朝晩の気温差が激しい時期になると、鍋の中に水蒸気がたまって、十和田湖の中だけ曇り・・・というのはよくある話です。

 今日もそんな天気だったのですがいつもより青空が出てくる時間が遅く、もしかして外輪山の上では絶景が広がっているのか?と思っていたら、やはり今年一番の雲海が広がっていたようです。展望台に行くまでには雲海が晴れてしまいそうだったので、雲海が晴れゆく十和田湖を見に行きました。




休屋桟橋の様子(10時16分)




桂ヶ浜から見る鉛山(10時26分)




 午後、あまりにいいお天気だったので午前と同じ場所に行ってみました。桂ヶ浜より和井内方面(13時44分)



 雲海の写真は撮れませんでしたが、見てみたいですよね?実は十和田湖の秋田県側の玄関口「発荷峠展望台」には定点 カメラが置いてあり、1時間おきに定点撮影をしております。それをインターネット上で見ることができるんです。気になる方は一度チェックしてみてください。十和田湖の四季や雲海、時には虹なども写していますよ。→http://www.sizenken.biodic.go.jp/live/view.php

 とりあえず10/21は6時6分~10時6分まで雲海、10/14にも雲海の写真があります。また10/15の7時6分の写真に黒い影があるのですが、この時期大量に飛んでいるカメムシではないかと推測されます。カメラのレンズに張り付いていた時に撮られてしまったんですね。こんな風に想像するのも楽しみの一つです。

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2011年06月20日蔦野鳥の森のモリアオガエル

十和田八幡平国立公園 十和田 種村 由貴

 6月に入って鳥たちの囀りすら遮るようにエゾハルゼミが鳴きだし、白い花たちが咲き始めるとカエルも賑やかになってきます。沼めぐりの小路を歩いていると、各スポットでアズマヒキガエルやヤマアカガエル、モリアオガエルと思われるカエルたちの声が聞こえてきます。

 特に蔦温泉売店横から入ってすぐの瓢箪沼はモリアオガエルの繁殖地となっており、沼に張り出した木々の枝先にはモリアオガエルの泡状の卵塊が鈴なりになっています。コココココ…というモリアオガエルの声も盛んに聞かれるのですが姿は見えず・・・。
 去年は日照りが続いて、雨の降った昼間に産卵する姿も見られたのですが今年はちゃんと夜に産卵しているようです。そのせいか去年より卵塊の数が多いようにも感じます。無事多くのカエルたちが産卵できたということですね。



モリアオガエルの卵塊



 それと「え、なんで?」と思うことがあったのでご紹介します。

 沼めぐりの小路のだいたい中間地点にある長沼は入り込む沢水等はなく、毎年雪解け水で水量が増えてその後徐々に減っていく大きな水たまりの沼です。

 ここ数日の雨で増えていた水かさが一気に減ったからなのか、陸の倒木の陰にナマズがいました。しかもまだ生きていて、いつ打ち上げられたのか、そもそもなんでこんなところにいるのか、びっくりです。



 一応水の中に戻して様子を見ていたら、徐々に元気になっていったようでした。最後まで見守ることはできませんでしたが、無事復活していたらいいなと思います。


 それにしてもそんなに水が減る時間が早かったのでしょうか?気になります。

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2011年06月08日新緑から深緑へ

十和田八幡平国立公園 十和田 種村 由貴

 休屋で一番遅く芽吹くイヌエンジュも先週ようやく葉を出し、山の緑色も鮮やかになってきました。
 早春の花たちも終わりを迎え、白い花シリーズが可愛らしく咲いています。
 クルマバソウ、ホウチャクソウ、マイヅルソウ、ユキザサなどが林床に揺らめき、樹木ではナナカマド、トチノキの白い花が目を引きます。



ナナカマド

 ホオノキも昨日咲き始めましたので、下を通ると芳潤な薫りを感じることができるかもしれません。
 またヒグラシに似た鳴き方をするエゾハルゼミも賑やかに鳴き交わしており、夏らしくなってきました。


エゾハルゼミ

 休屋は5月下旬から6月1日にかけて平均気温が10℃を下回る気温で寒かったのですが、昨日は夏日。休屋でも最高25℃を記録しました。暖かくなって目まぐるしく変わっていく景色に置いて行かれないよう、しっかりアンテナを張っていかないとと気を引き締める毎日です。

御前ヶ浜手前にある林

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2011年05月18日春満ちて

十和田八幡平国立公園 十和田 種村 由貴

 早春の気配だった十和田湖にも生気が充ち満ちてきました。先週辺りから樹木の葉が開き始め、サクラが開花、夏鳥もやってきて活気づいております。

 特に蔦、奥入瀬渓流、十和田湖は今新緑が見頃を迎えています。


蔦の瓢箪沼


奥入瀬渓流の新緑


十和田湖畔休平桂ヶ浜より秋田県側

 植物はキクザキイチゲ(キクザキイチリンソウ)が日陰でぽつぽつ見られる程度で終盤を迎え、ニリンソウ、スミレサイシンが見頃、樹木はオオカメノキ、キタコブシが白い花を咲かせています。
 休屋ではアナグマの目撃が増え始め、今日はモンシロチョウを見つけました。サクラはばらつきがあり、大体12日頃に咲き始め、現在は既に終盤のものから散り始めのもの、見頃のものと様々です。ただ休屋のサクラの名所である北駐車場では、冬場ウソに食べられてしまったのか花付きが良くないようです。
 夏鳥は5月3日にセンダイムシクイ、ウグイスの初鳴きを聞き、先週キビタキの少し下手なさえずりが聞かれるようになりました。

 続々と見られるもの聞かれるものが増えていき緑が増えていく様は、春という季節のど真ん中にいるのだと実感させられます。

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2011年04月27日冬期閉鎖解除

十和田八幡平国立公園 十和田 種村 由貴

 4/23(土)冬期閉鎖されていた道路が通行できるようになり、さっそく十和田湖一周巡視をしてきました。雪もほとんどなくなり、フキノトウの鮮やかな緑が目に眩しいです。


 滝ノ沢から御鼻部山へ102号線を通って行きます。八甲田のゴールドラインほどではないですが、雪壁に圧倒される気分は十分味わえます。

 御鼻部山展望台にはこの通りの雪壁に阻まれてまだ行けませんでした。もう少し雪が溶けないと、展望台に上がられないのはもちろん、階段など除雪がされる訳ではありませんので足下が大変危険です。無理して登らないようにしましょう。 


 最後に夕焼けの撮影スポット、瞰湖台へ。まだ日は高いですが、すでに夕焼け待ちの方がいらっしゃいました。

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2011年04月21日赤、緑、黄

十和田八幡平国立公園 十和田 種村 由貴

 19日の日記でお伝えした雪はその後も降り続け、積雪約20cmとなりました。水分を多く含んだしっとり弾力のある雪は、崩してしまえばあっという間に溶けていきます。先日の昼頃には道路の雪はほぼ無くなっていました。しかしその分くっつきやすく重い雪は、木々にくっついて枝ごと落ちたり、または幹ごと倒してしまうこともあります。春先の雪は落雪・落枝・倒木に、より一層の注意が必要となります。

 蔦にもそれくらい降ったと思われますが、果たしてどんな状況なのか見てきました。
 頭上の雪はある程度溶けて落ちていましたが、高いところから雪が落ちる音や一緒に枝が折れるような音はあちらこちらから聞こえていたので、常に上空に怪しい枝や雪の塊がないか確認しながら歩いていきます。

 さて、雪が降ったとはいえ暖かくなってきているこの時期。冬芽も徐々にほころび始めていました。



 ハウチワカエデの冬芽から、新芽が伸びてきています。新芽がほのかに赤く色づいていて、遠目からサクラのように見えました。
 冬芽が付いている枝も赤っぽいですが、これは去年の春の芽吹き以降に出てきた一番若い枝(一年枝・本年枝・当年枝)です。またハウチワカエデは花も赤く、秋には葉も赤くなります。分かりやすいですね。



 次にオオカメノキ(ムシカリ)。花芽が膨らんで、つぼみのようなものが顔をのぞかせつつあります。と、その下に緑色のアシナガグモ(ウロコアシナガグモ?)もいました。



 森の中で黄色を発見。マンサクかと思ったら、ヤマネコヤナギの雄花でした。

 来週には雪も溶けていることと思います。
 次行く時にはどんな発見・出会いがあるのでしょう。楽しみです。

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2011年04月19日今日は冬

十和田八幡平国立公園 十和田 種村 由貴

 この時期、日に日に暖かくなっていく気候とにぎやかになっていく動植物・昆虫に春らしさを感じますが、まだもう一寒さくるのがここの特徴でもあります。
 という訳で、今日は朝から12月のような匂いと共に少しピリッとする寒さ、そして午後には一面真っ白になりました。



 気温が高いので、湿気を含んだくっつく雪、積もる雪です。数分で足跡が消えてしまいます。

車もあっという間に雪に包まれてしまいました。



デスクからふと視線を上げて窓を見ると

吹雪。
 こちらではGWが開けるまで油断できません。お越しになる際は雪道になった時の準備(スタッドレスタイヤかチェーン、スノーブラシ等)もしておくと、いざという時安心です。

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