ACTIVE RANGER

アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]

東北地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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十和田八幡平国立公園 十和田

398件の記事があります。

2012年04月18日ボランティア活動が始まりました

十和田八幡平国立公園 十和田 嶋村 道

4月15日に酸ヶ湯温泉にてH24年度十和田八甲田地区パークボランティア連絡会の総会が開かれました。


現在パークボランティアには全国で約1500人の方が登録されています。
環境省が各地の国立公園で開催する研修を受けていただいた上で登録され、国立公園での自然解説、美化清掃、利用案内などを主な活動としています。

これまでは八甲田地区パークボランティアとして主に八甲田を中心に自然観察会や植生保護活動を行ってきましたが、今年度からは十和田湖エリアでの活動も増やしていく目的で組織が拡大されました。新たに会員も18名増えて総勢67名となり、今後の活躍がより一層期待されます。

井戸岳植生復元作業の様子

緑の帽子とワッペンがパークボランティアの目印です。山歩きや自然解説のベテランが勢揃いですので、山で見かけましたらぜひいろいろと話しかけてみてください。きっと自然にまつわる楽しいお話が聞けるはずです。


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2012年04月13日春の始め

十和田八幡平国立公園 十和田 種村 由貴

  2月下旬に始まった24年ぶりという十和田湖の大規模結氷。予想に反してずいぶん長く居座り遊覧船を閉じ込めていましたが、今月4日の爆弾低気圧による暴風をきっかけに割れ始め、その後は一気に溶けていきました。それにより解放された遊覧船は、例年より2週間以上遅れての16日から運行再開のようです。

(上)4/10 休屋桟橋より
(下)4/13 御前ヶ浜より

 めまぐるしく変わる天気も落ち着き始め、晴天続きで気温上昇中!マルバマンサクが咲いたという情報も入手したので、春めいてきた休屋の巡視を行いました。

 まずは例年一番に開花するマルバマンサクの様子を確認。


 久しぶりに見る黄色です。胸がキュッとします。


 もう一カ所、いつもこの時期確認に行く杉林へ。


 ありました。鮮やかな黄緑色のフキノトウ。このつぼみを見て一番始めに思うことが「おいしそう」なのは、東北人の性でしょうか。


 近くにはカモシカの糞もありました。それを撮っている私の頭の上ではカワラヒワが「キリリコロロ ビーン」と鳴き交わし、カラスが草の束を咥えながら飛んでいき、キジバトの「デーデー ボッボー」が響き渡ります。

 さらに溶け始めた雪の中からは折れた標柱やら大きな枝やら…。忙しい季節の始まりです。

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2012年04月04日ゴールドライン開通

十和田八幡平国立公園 十和田 嶋村 道

4月1日に雪のため冬期間閉鎖されていた八甲田十和田ゴールドライン(酸ヶ湯温泉~谷地温泉間の国道103号線)が開通しました。


今年は例年に無い大雪で、約8㎞に渡って軒並み5mを超える見事な雪の回廊を見ることができます。
南北八甲田を一望できる睡蓮沼はまだ完全に雪に埋もれている状態です。見晴らしの良い所へ行くには高い雪の壁を上る必要がありますが、大変滑りやすいので十分ご注意ください。

ゴールドライン開通に併せて、酸ヶ湯インフォメーションセンターもオープンしました。
まだ施設の4分の3が雪に埋もれた状態で、展示物も十分ではありませんが、これからどんどん増やしていきたいと思います。


睡蓮沼入り口


傘松峠

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2012年03月07日八甲田での植生復元の取り組み

十和田八幡平国立公園 十和田 嶋村 道

先月の2月16日(木)に八甲田大岳・井戸岳植生復元協議会の打合せが青森市内で行われました。
この植生復元協議会は、八甲田大岳や井戸岳の登山道周辺で人間の立ち入りなどが原因で失われた植物を回復させる目的で、環境省や青森県を始め、八甲田地区パークボランティアや自然保護団体などにより組織されています。
この日の打合せでは平成23年度の活動についての報告や、今後の取り組みの方法について活発に意見が交換されました。



北八甲田山系の大岳や井戸岳では昭和40年代から登山者が急増しましたが、当時ははっきりした登山道が無く、登山者は好きなところをどこでも歩ける状態だったと言います。その結果として、広い範囲で植物が踏み荒らされてしまいました。

この植生破壊の問題を解決するため、昭和59年~平成11年まで青森県が環境庁(当時)の補助を受けて歩道の整備、土留め柵の設置、ムシロ張り、ミヤマヤナギの植栽などを行いました。
この大規模事業によって裸地の拡大はくい止められ、植物も少しずつ回復を始めましたが、条件によってはほとんど回復の見られない場所も多くあります。

八甲田大岳・井戸岳植生復元協議会は、この青森県が整備した植生復元施設のうち、主に回復が進んでいない井戸岳エリアでの復元作業の継続や植生調査(※)を行うため平成17年度から植物の回復を助けるための麻製マットや土留めのための柵などを設置しています。
雪の無い時期に北八甲田を訪れた方はこれらの施設に気がついた方も多いのではないでしょうか。

平成23年の活動の様子

植生復元地帯は砂礫地で土壌が貧弱な上、地形的に強風にさらされるため乾燥化も激しく、植物が発芽するには非常に厳しい環境です。さらに、冬場に土壌が凍る「凍上」という地面が盛り上がる現象によって、植物はなかなか根を張れず、土留めの杭なども一冬で浮き上がってしまいます。
施設を定期的にメンテナンスすることが重要なのは言うまでもありませんが、現場は標高約1500mの山頂付近にあるため、このメンテナンス作業自体が非常に困難です。
また、周辺の植生に与える影響も考えなくてはいけないため、安易に肥料を入れたりすることもできません。

このように、井戸岳のような自然条件が厳しい場所では効果的な復元方法を探すことは非常に難しい問題です。
植物の回復具合も1年や2年で急激に変化するものでは無いので、根気よく植生調査を続ける必要があります。
井戸岳で植生復元を軌道に乗せるには非常に時間がかかると思いますが、これまでの活動で得られた経験をもとに課題をクリアし、自然の回復力を活かしながら少しでも早く元の姿に近づけられるよう八甲田大岳・井戸岳協議会の取り組みは続けられています。

※平成23年の植生調査では、調査区(面積約8㎡)において平成21年からの2年間で植物の分布面積が3.1%から7.5%に増加していることが確認されました。

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2012年03月01日結氷2

十和田八幡平国立公園 十和田 種村 由貴

 すごいことになっています。

 先月24日にお伝えした十和田湖結氷はその後も続き、薄い氷も入れると湖の半分以上は結氷したのではないでしょうか。地元の方によると20数年ぶりの出来事だそうです。地元新聞にも見事な写真が掲載され、カメラマンさん達が急増中です。

 結氷の様子はインターネット研究所のライブカメラ「発荷峠から見た十和田湖」から見ることができます。過去の画像も一覧で表示でき、24日から徐々に面積を増やしていく様子は中々おもしろいですよ。特に雲一つない快晴になった2月29日と3月1日の映像はオススメです!
http://www.sizenken.biodic.go.jp/live/index.php

下記は、十和田湖周辺巡視を行った際に撮影した各地区の様子です。

 発荷峠から見た休屋(2/29)
 下の写真は上の写真の赤丸の部分を拡大したものです。
 遊覧船がすっかり氷に閉じ込められてしまっています。


 神田川から見た十和田湖(2/29)
 すっかり大雪原です。が、陸地ではありません。氷を踏み抜くと危険ですので立ち入らないようにお願いします。


 大雪原をバックに乙女の像(2/28)
 乙女の像までの道のりは休屋から少し離れており、雪の降った直後だと踏み跡が十分ではないことがありますのでご注意下さい。

 また、十和田ビジターセンターにてスノーシューなどの貸し出し(有料)を行っておりますので、立ち寄ってみてはいかがでしょうか。

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2012年02月24日結氷

十和田八幡平国立公園 十和田 種村 由貴

 暖かくなったり寒くなったり。厳冬の終わりが見え隠れしているようです。
 今日は十和田鳥獣保護区の巡視に行ってきました。
 今年は十和田湖でもよく流氷を見るなぁと思っていたのですが、湖に出てびっくり。こんなに結氷していました。

 波で崩れて流氷になり、すぐ消えるものだとばかり思っていたのですが、今年は順調に広がったようです。


休屋 恵比寿大黒島の様子(上:2012.2.24 下:2011.5.16)

 他にも秋田県の玄関口である和井内桟橋や宇樽部、子ノ口など、十和田湖の広い範囲で結氷が見られました。さらに現在はその上に雪が積もり、一部では陸地と湖の境がわからなくなっています。氷が薄いところも多いので、湖に落ちる危険があることからくれぐれも樹木の生えているところより先へは足を踏み出さないようお願いします。

奥入瀬渓流への流れ出し、子ノ口の様子。

子ノ口桟橋の湖岸には砕けた氷が打ち上がっていました。すっかり小さく薄くなった破片が波に押されてぶつかり合い、シャラシャラとシャンデリアの揺れているような音をたてています。



宇樽部の様子。
いつもであればここの湖畔にはカモやオオハクチョウたちが集まっているのですが、今日は遠くまで氷が張っており、その向こう側にいるカモたちのカウントがとても難しかったです。

 
 【おまけ】十和田湖畔休屋で24日間に渡って開催されている冬のイベント「十和田湖冬物語2012」が、いよいよこの週末クライマックスを迎えます。昼にもイベントが用意されているようですので、まだ週末の予定の決まっていない方はこの機会に是非十和田湖においで下さい。詳細はこちらでご確認下さい。
→ http://www.towadakofuyumonogatari.com/

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2012年02月09日流氷としぶき氷と

十和田八幡平国立公園 十和田 種村 由貴

 先日の寒の緩みによって、十和田湖では2週間ぶりに最高気温がプラスを記録しました。春が近づいているような気がしてウキウキしたのもつかの間。現在-7~8℃あたりをキープしております。厳しい冬はそう簡単には終わりません。

 今日は十和田湖半周巡視をしてきました。夏期であればぐるっと一周するのですが、現在は積雪のため国道454号、102号が冬期閉鎖されております。青森県の冬期閉鎖道路の詳細はこちらをご参照下さい
→ http://www.koutsu-aomori.com/Road/yukimitimap.html

 十和田湖巡視では、湖岸に出られる12カ所の定点観察ポイントからフィールドスコープ(野外で持ち運べる望遠鏡)を覗いて水鳥をはじめとした野生鳥獣の生息状況調査や自然環境の変化の確認などを行っています。今回定点観察ポイント数カ所で流氷が観察できました。
 

 じっくり観察するのに苦労しない、休屋の御前ヶ浜手前と、休屋桟橋の流氷です。湖に流氷?と思われるかもしれませんが、十和田湖の一部で結氷した氷が波によって砕かれ、何カ所かの湖岸に流れ着くのです。さらに氷同士でぶつかり合って端がめくれハスの葉のような形となります。


 今回の休屋の桟橋で見られたのがそのハスの葉氷です。ここは除雪も行き届いていますので、アクセスは簡単です。が、この時期風が強く吹き付ける場所でもあります。しっかり防寒をしないととても寒いです。


 水鳥の生息状況として目立つものでは、和井内桟橋からアカエリカイツブリ1羽を確認。1シーズンに数回確認されますが、湖の西側で見られることが多いです。前回確認されたミコアイサは確認できませんでした。


 次に湖の東側、奥入瀬渓流の入り口である子ノ口です。この時期の東岸には、湖岸にある樹木や岩に強風で飛ばされた湖のしぶきがかかって凍る、『しぶき氷』ができあがります。そろそろ見頃かと思い見てきました。

 一度暖かくなったので、青みが薄まり白っぽくなったり、大きさも今一かもしれませんが、その迫力と造形美には相変わらず圧倒されます。

 ここは除雪された車道からも離れていて歩道のようなものはなく、カメラマンさん達がつけた踏み跡があるだけです。踏み外すと冷たい湖に落ちる危険性もありますので、ご覧になる際は足下など十分にお気をつけください。また、一帯は十和田八幡平国立公園の特別地域に指定されていますので、自然保護へのご協力を宜しくお願いします。

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2012年02月03日蔦野鳥の森冬期巡視

十和田八幡平国立公園 十和田 種村 由貴

 凄まじい低気圧の襲来により、全国的に大雪になり大変な被害がでています。ここ十和田八甲田周辺も大雪となりました。十和田湖にいると除雪が行き届いているのであまり実感がなかったのですが、麓の十和田市街などでは道路の除雪・事故等の影響で一時交通に支障がでていたようです。
 今日は天候も落ち着いたので、そんな大雪に見舞われた蔦野鳥の森に、公園施設の影響を確認しに行ってきました。

 移動途中の奥入瀬渓流にて。あまりに青空が眩しかったので撮影。ここ2日悪天候で事務所にいたので、こんな晴天で巡視ができて嬉しい限りです。


 1月から緩むことなく降り続いた雪によって、ビジターセンターの屋根雪は一度も落ちること無くこんな状態に・・・。傾斜も急なため雪下ろしもままならず、落雪で利用者に当たる危険性のあるひさしの部分だけは危なそうな部分の雪を27日に削り取っています。



 菅沼の東屋。
 27日に雪下ろし済みなのですが、それでもその後降った雪でこんなに積もっています。東屋を囲んでいる雪壁は雪下ろしの時に屋根から落としたものです。

 幸いどの施設にも破損等の影響は見受けられませんでした。

 グリーンシーズンは蔦野鳥の森における巡視を毎週行っていましたが、冬期は月2回となっております。雪の上には踏み跡があるかもしれませんが、無雪期のように管理された道がある訳ではありませんので、入山する際は冬山であることを念頭に置いて、十分注意して下さい。

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2012年01月24日休屋巡視

十和田八幡平国立公園 十和田 種村 由貴

 先週末にようやく緩んだ寒さも、今週から再び厳しい冷え込みが続くようです。そんな今日の十和田湖畔はとってもお天気が良く、太陽の光が暖かかったのですが、日中の気温は-5~6℃。踏みしめる雪がキシキシと鳴いています。
 またしばらく見られないであろう晴天に誘われ、十和田八幡平国立公園内にある休屋集団施設地区の巡視を行いました。1月上旬頃からツグミの群れが確認されており、現在休屋内では約50~60羽がいるようです。公園内の動植物調査もアクティブレンジャーとしての業務の一つです。

 事務所周辺を始めとしたナナカマドにツグミが押し寄せて、赤い実を啄んでいきます。せっかくなので格好よく撮りたいと思っていたのですが、やはり難しいものです。

 彼らが食事をしていった後は、真っ白な雪面に真っ赤なナナカマドの実が散らばります。休屋にあるナナカマドの下の大半は、概ねこんな感じです。



 休屋にある桟橋の辺りではホシハジロの群れに、パンダガモことミコアイサが3ペアいました。青い湖にオスの白い姿はよく目立ちます。

 現在の十和田湖周辺の鳥類の飛来状況として、冬鳥のレギュラーメンバーは徐々に数を減らし、ピーク時約400羽いたキンクロハジロは10羽以下に、ピーク時約200羽いたホシハジロは100羽前後に落ち着いています。
 例年通りの推移となっており、カモたちの北帰行が始まる頃には南から戻ってきたカモたちが一時休憩をし、また北へと帰る中継地として賑わいます。



 

おまけに十和田湖で開催される冬物語メイン雪像の様子です。ここまで進みました。
開催まで残り10日!

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2012年01月18日雪に埋もれる酸ヶ湯

十和田八幡平国立公園 十和田 嶋村 道

酸ヶ湯の積雪量が4mに迫ろうとしています。酸ヶ湯は八甲田山の標高約900mに位置する温泉地で、古くから湯治場として栄え、現在では温泉以外にも登山やスキーの重要な拠点として一年中多くの人が訪れています。


環境省の管理する酸ヶ湯キャンプ場(冬期間は閉鎖)の管理棟は一階部分の窓は雪囲いがされていますが、それよりも高い位置にある窓はむき出しになっています。積雪が3mを超えるとこの窓まで雪で埋まってしまうため人力で除雪してきました。

昨年も同じくらいの大雪に見舞われましたが、今年は雪の状態が違うようです。寒さの緩む日が無いためか、管理棟の屋根の雪庇が異常なまでに大きくなっていました。


地面の雪はとてもふかふかでスキーを履いていても簡単に膝上まで潜ってしまいます。平地なのにスキーを滑らせて歩くことが全くできず、50m程の幅のキャンプサイトを横断するだけで一苦労しました。

試しに板を外して雪面に立ってみました。


普通に立っただけでこれくらい埋まりました。歩こうとすると胸まで沈んでいきます。スキーかスノーシューが無いと歩くのはほぼ無理です。ちなみに後ろに見えているのが酸ヶ湯キャンプ場の管理棟です。

酸ヶ湯の積雪がこれくらいの量になると、おもしろいものが現れます。


細長いかまくらの様に見えますが、これは国道から酸ヶ湯温泉の南口に続く通路です。総距離で20~30m程あります。雪に横穴を掘って作ったのではなく、雪が降る度に通路の除雪を続けていくとやがて人の背丈程の溝になります。その溝のてっぺんが、地吹雪によってつながり、さらに雪が積もることで立派なトンネルになるのです。
通り抜けるのはちょっと怖い気もしますが、入り口をのぞいてみるだけでも不思議な気分を味わえます。

酸ヶ湯に行く途中に奥入瀬渓流を通過したところ、12月27日のAR日記で紹介した馬門岩の氷瀑がまた成長していました。つららが太くなって柱の様になっている所もあります。実はこの写真の左側にも見事な氷瀑がありますが、高さがありすぎて道路からではカメラに収まりませんでした。岩の凹みを流れる水が一本の大きな滝を作り上げています。
写真では伝えきれない迫力ある姿をぜひ多くの方に直接目でご覧いただけたらと思います。


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