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アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]

東北地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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仙台

257件の記事があります。

2009年07月13日蒲生干潟のいきもの

仙台 鎌田 和子

蒲生干潟のいきものは前回は6月17日に紹介いたしましたがその後をお知らせいたします。

蒲生干潟を取り巻く環境をまずはお話ししておきますね。
干潟と砂浜を見下ろすことができる小高い山「日和山」は干潟に集まるシギ、サギ類を観察するには恰好な場所、しかも地元の人たちが天気の良い時にはベンチでくつろいでいますので、いろいろな情報がいただけます。

砂浜には海浜植物が生育し、その中ではヒバリが春には繁殖しています。かつては砂浜でコアジサシの繁殖も確認されていました。残念ですが現在は確認されていません。そして波打ち際は釣りやサーフィンを楽しむ人々がいます。

干潟の周りのヨシ原には初夏から夏オオヨシキリが賑やかに囀っています。このヨシはオールシーズン、水鳥たちの生活の目隠し(スクリーン)の役割を果たしています。

干潟では、季節によっては潮干狩りを楽しむ人も見られます。ちょっと心配なのは人が干潟に入っていると、シギ、サギ類は餌採りに入りたくても遠慮しているかもしれません。

松林と竹林も少しあります。アオジやカワラヒワ、オナガも観察できます。そこはサギの休み場でもあります。その林の足元ではびっくりなのが前回よりも増えていたカニたちです。

クロベンケイガニです。林の中ではワサワサというかウジャウジャというかとにかくいっぱいいて踏んでしまうのではないかと思うくらいです。そのカニの餌はなんだろうか?疑問です。当然、ヨシ原と泥の部分もカニで埋め尽くされています。春にはこんなにカニと出会えるとは・・・・・思ってもみませんでした。


テリハノイバラは前にも紹介しましたが砂浜のハマナス群落の花の終盤から入れ替わりに満開になりました。林の中では6月中旬から咲いていましたから次々と咲き花期が長い花のようです。


ちょっと湿った草地では、イヌゴマが見られます。よく見ると茎には下向きの刺があり不用意に触ると痛い思いをするかもしれません。

この夏場が蒲生干潟の一番鳥の少ないシーズンのようですが、それを補うかのように別のいきものが私たちを迎えてくれています。しかもいろんな環境、顔を見せてくれます。

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2009年07月09日特別鳥獣保護区の中の田んぼ

仙台 鎌田 和子

梅雨らしい天気、雨のお陰で特に瑞々しく田んぼが見えます。
今日は、蕪栗沼の周辺の田んぼ、田園に注目してみます。

ここは多分、国指定特別鳥獣保護区としては珍しい区域だと思います。
なぜならば、湿地や干潟だけではなく、水田や町の一部も鳥獣保護区
になっているからです。でも、田んぼのまわりを見てみると、どこにでも
ある水田、畑、休耕田なのです。それがなぜと、普通は思うかもしれません。
それが大切なのです。普通に田んぼでサギの仲間が採餌していたり、休耕田
には、オモダカ、コナギ、ガマなど水田の環境に合わせた植物やいきものが生活していることです。それが冬場のマガン、ヒシクイの餌場や塒(ねぐら)として安心して越冬地としての条件ともなっているのではないでしょうか?
飛躍しすぎかな?

だからこそ、「国指定蕪栗沼・周辺水田特別鳥獣保護区」なのですね!


どこにでも見られる田んぼの光景ですが、ここも特別鳥獣保護区です。


ごく普通にニホンアカガエルがいました。ニホンアカガエルは所によっては絶滅危惧種にされている場合もあります。環境が産卵場所や生活場所がちゃんとしているからだと思います。いきものにとって安心な場所広がっているのでしょう。特別鳥獣保護区のラインは人が引いたものですから、いきものには見えません。ですから、保護区以外もかなりいい環境なのでしょうね!

これはきっと、おいしいお米ができるぞと思います。(まだ食べていないので秋が楽しみです。)


ちょっと心配なこともあります。この頃目立ってきたのが、この花オオハンゴンソウです。アップで見るときれいですが、特定外来生物です。ほかにも蕪栗沼ではウシガエルの合唱が響いています。在来生物への影響を考えると要注意です。これからの課題でしょうか。

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2009年06月29日ブラックバス駆除作戦第3弾

仙台 鎌田 和子

伊豆沼ではニイニイゼミが暑苦しそうに鳴きはじめました。
ブラックバス駆除用人工産卵床を使用した駆除が今季終了することとなり、28日お手伝いに行ってきました。

今回は設置していた産卵床を回収・分解し、来年のために洗ったりする作業でした。最初に産卵床を設置した時も思いましたが、ボランティアの皆さんの作業がスムーズに進むのも、それまでの準備がしっかりなされていたからでしょう。


沈めてあった産卵床を船に上げ、船の上で重りになっていた砂利をはずし、船が産卵床いっぱいになったら岸まで戻りトラックへ。これを3往復、水の中も船の上も、そして陸の上も作業は大変です。


400基の人工産卵床を解体中です。皆さん、黙々と手が動いていました。

分解した産卵床は、部品ごとに分別、来年これをまた組み立ててブラックバスに産卵してもらうのです。

駆除事業が始まった当初よりは減ってきているらしいのですが、この日もヨシの周りで3~4㎝の稚魚の魚影を沢山確認しています。あの稚魚はどうなるの?
と心配していましたが、これからも毎日、成魚、稚魚を網で捕る作業は続けられるそうです。

ブラックバスの産卵の時季はひとまず終了!皆様お疲れ様でした。

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2009年06月26日トンボの季節

仙台 鎌田 和子

水辺では、いろんなトンボが飛び交う姿が目に付くようになりました。
ここ伊豆沼でも、ヤンマの仲間がパトロールしています。
足元に目を向けると、イトトンボの仲間がいっぱいいることに気が付きます。動作がスローモーションでまったりと過ごしているように見えるのですが、写真を撮ろうとすると中々草にとまらず四苦八苦します。

真夏日だった昨日も、暑さを紛らしてくれる涼しげな色のイトトンボに
出会うことができましたので紹介します。



クロとブルーのコントラストが美しい、セシジイトトンボです。

伊豆沼に来たら見たいなと願っていたトンボはオオセスジイトトンボです。大型のイトトンボで、写真はメスで、グリーンの優しい色が素敵、オスはブルーどちらも涼しげな色をしていますから観察していて癒される気がします。

沼や水路では、水草の成長が目立ってきてアサザが咲きだし、冬鳥の賑わいとは違う華やかな季節がやってきました。

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2009年06月24日井土浦のいきもの

仙台 鎌田 和子

井土浦の巡視、今回は自転車道にある制札を点検するのが目的でしたので、自転車で回りました。自動車と違い、直接に暑さ涼しさ、風、音を感じながら今回もいろいろな出会いがありました。

午前中からどんどん気温が上昇、風がいつもより強いのか、常に海からはゴォーゴォーと波の音が耳鳴りのように聞こえ、もう片側の耳にはセッカ・オオヨシキリ・ホトトギス・ウグイスの囀りを聞きながらとなりました。

水鳥の姿は見えず、その代りに私のアンテナが動いたのは前回もちょっとお話しましたカニでした。蒲生干潟・井土浦ではヨシ原、潮の満ち引きで現れる泥分の多い所、砂の多い所と少し環境が違うところがあります。そんな違いを上手く棲み分けしているカニ達いるのです。




名前に葦原が付いているアシハラガニです。特徴は甲羅の前側縁の部分にギザギザの歯があります。見ていてビックリしたのは行動が素早くカニ爪は泥に埋まらないことでした。

泥の多い部分では、いっぱい大小の穴が開いていて、それらに穴のサイズに合ったカニが出入りしていました。写真中央はヤマトオサガニ、泥の多い所がお気に入り、規則正しいハサミの上げ下げがダンスのようにも見える行動や、両手(ハサミ)を交互に口に持ち運びお食事は見ていて飽きない光景でした。

ほかに、蒲生干潟の砂が多い所では砂団子を作る小さなカニ甲羅も砂そっくりの模様のコメツキガニもとってもチャーミングです。まだまだ他の種類のカニにも会えそうで干潟の楽しみの一つになりそうです。



制札の写真を撮っていたら、サッサッと近づいてきてオッとびっくり、目と目が合ったのはイタチでした。こんな出会いが暑さを紛らしてくれました。

干潟は水鳥という印象でいたのですが、その周りにはいろいろないきものや植物が生活していることを実感!次はどんな出会いがあるか楽しみ!

久々に自転車に乗ったら、風を感じた巡視日でしたが、次の日はお尻と腕が筋肉痛・・・。日ごろ歩いているのですが使う筋肉が違ったようです。

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2009年06月17日蒲生干潟の花

仙台 鎌田 和子

晴れた日、蒲生干潟の制札の点検に出かけました。
制札を探しながら、砂浜や松林を歩いていたら、花の誘いに
足を止めてみました。




海浜植物は高山植物同様に過酷な自然環境で生育しています。
ハマボウフウは強風や強い陽射しから身を守るため、草丈を低くして
葉も厚くしています。

テリハノイバラです。これも名前にある通り、照り葉で陽射しから身を守っているようです。ハマナスもそういえば、細かい棘で守っています。

花にも足を止めましたが、穴にも気になって足を止めてみました。


松林やヨシ原の足元にこのような穴が開いているのです。カニの姿がチラッと見えたので、穴はカニの巣穴と分かりました。カニの残骸があちこちにあったので、甲羅の形から判断すると、クロベンケイガニかもしれません。カニは私の得意分野ではありませんが、このフィールドにいるのであれば少しは勉強して広く浅くですが蒲生の動植物を紹介したいと思います。

この日、確認した野鳥はウミウ、ササゴイ、ウミネコ、ダイサギ、コサギ
などでした。

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2009年06月15日ブラックバス駆除作戦第2弾

仙台 鎌田 和子

前回5月7日に掲載しました作戦のその後を報告します。
あれから1ヵ月以上経ちましたが、毎週日曜日と水曜日に
地道な作業が進められていました。人工産卵床に卵が産みつ
けられていたピークは5月24日、段々少なくなり6月14日には
産卵の確認がかなり少なくなりそろそろ産卵の時期の終了が近
いようです。

次の段階に作戦は移ってきました。稚魚をサデ網で1匹づつ探して
駆除するのです。と同時に刺し網で成魚も捕るものです。
もうひとつは「ブルーギル」も籠網におとりでおびき寄せ作戦も
行われていました。




設置してある人工産卵床を一つひとつ確認して見回ります。産卵されてあれば
回収し、卵の数を数えます。

サデ網で稚魚の群れ(モツゴやタモロコ、ワカサギ、ハゼの仲間の稚魚)を掬い、その中からブラックバスの稚魚だけを回収しそれも数えます。

14日の成果、刺し網にかかった成魚3匹、釣り上げた1匹合計4匹、この日の一番大きいのは全長49㎝、体重1.5kg、胃の内容物にはザリガニが入っていました。稚魚の口の中にもさらに小さな魚が見え、魚のサイズに合わせて食べ物が・・・。やはり卵、稚魚、成魚全てを駆除しなければ、伊豆沼の本来の姿にはならないことを改めて実感しました。これは伊豆沼だけの問題のではないのです。

「継続は力也」力を抜くことなく頑張らなければならないのです。

皆さんお疲れ様です。

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2009年06月05日鳰(にお)の沼

仙台 鎌田 和子

今日はカイツブリについて報告します。

カイツブリは、観察しているとよく潜水(餌採り)します。
20秒前後しかも、潜った地点より離れた所にプカッと出てきますの
で写真を撮影時はどこに出てくるかと先を読みながらシャッターチャ
ンスを狙います。大きさがハト位の大きさカイツブリの仲間の中では
最小、見る限りではのどかに居心地よさそうに感じます。

伊豆沼ではカイツブリが少なくなってきているという話を
聞いています。どうしてなんだろう?そういえば、ここ数回巡視
にいっても、1羽のカイツブリしか私は見ていませんでした。

なぜ?と思っていたところ、先日衝撃的な報告を受けたのです。伊豆沼のオオクチバスの駆除をしている方から、オオクチバスのお腹の中に「オオジュリン」が入っていたということを聞きました。以前、秋田での報告に「アオジ」が入っていたという事例もあることから、野鳥がボヤっとしていたのではなく、オオクチバスが狙って食べたのではないかとういうことです。

もしかして、オオクチバスにとってカイツブリの雛も丁度いい餌にしか見えないのでは・・・・これでは、伊豆沼では繁殖するには危険すぎると判断して、他の沼へ避難しているのではないか、そんな話を聞きました。
もしかしたら、カイツブリがなかなか見られない原因もそれかもしれません。


鳰とは昔のカイツブリの呼び名、地名に鳰が使われているところにはカイツブリが棲んでいたところの証かもしれません。
早く、ブラックバスが居なくなり、野鳥たちが安心して子育てができる環境を取り戻したいものです。



草陰から水面を観察していましたが、足元に目を向けたら金平糖のような実がいっぱいなので気になり調べてみました。ヤガミスゲのようです。この季節は湿地や沼の縁にはカヤツリグサ科の植物が目立ちます。


そして、イトトンボも飛んでいます。写真はセスジイトトンボのカップル、水面ではヤンマの仲間もパトロール、あれもこれもと気になることばかりです。見たいと思っているオオセスジイトトンボにもそのうち会えることでしょう。

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2009年05月29日蕪栗沼の中では・・・

仙台 鎌田 和子

蕪栗沼の報告です。
今回は沼の中心付近について、どんな所なのか少しだけ紹介します。

この時期はすでに背丈を超えたヨシ原の迷路になっています。

オオオヨシキリの生活圏を邪魔しないように2時間たっぷり沼の中を見てきました。


写真は蕪栗沼の中心部です。手前に小さな川となって沼の水が流れ出して
います。それは、回りの川と沼の水位(高さ)の違いを物語り、陸地化の
原因のひとつかもしれません。
手前に咲いている白っぽい花は、ハマダイコン、なぜ沼にと不思議でした。




伊豆沼・内沼でも以前紹介しましたが、ところどころにこんな穴が開いています。これは、冬場、オオヒシクイやオオハクチョウがマコモの芽や根の部分を嘴で掘って食べた採餌痕なのです。深さは10~30㎝くらいです。このほかには、ネズミのような小動物やキツネなどの足跡が湿地には縦横無尽にあり、まさに鳥獣の楽園か、こんな跡は今でなければみられないかも?



今回、マイヅルテンナンショウ、タガラシ、オオアブノメ(写真)などが見られましたが、蕪栗沼の環境はこれまでの私の生活環境と違うので、名前は聞いたことがあるけど、実際に見るのは初めてのものが沢山、現在も検索中の植物があります。
これからも新たな出会いを楽しみに、巡視はなおつづく!

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2009年05月21日夏と冬を繋ぐ静かな楽園?

仙台 鎌田 和子

蒲生干潟・井土浦に行ってきました。
砂浜は今、ハマエンドウの花は青紫の絨毯のように満開です。
ハマナスも気持ちよさそうに咲いています。
この中でちょっと気になったのが、見慣れない黄色い花が咲いて
いるので調べました。
コマツヨイグサ(北米原産)
花期:5月から11月、
環境:海岸、岩場・礫地
草丈:足首位の高さ、直立せず、這う
明治末期に日本に帰化した植物でした。本来の砂浜には無かった植物が
入り込んできて、気づいた時にはコアジサシの営巣地だった場所が環境
劣化してしまう一因です。コマツヨイグサを悪者とは思いませんが砂浜が
草地にと変化しているのは間違いありません。

干潟に目を向けると、白黒模様に見える水鳥がいます。スズガモ(写真)でした。北へ帰る途中、東北の新緑を楽しんでいる冬鳥です。一方では、カッコウが鳴きはじめました。オオヨシキリの巣に卵を託す為の作戦が繰り広げられるのでしょう。

井土浦では、キアシシギが15羽水面に顔を出してる枯れ枝で休んでました。皆夏羽に変身、脇腹の波状紋、そして黄色い足が特徴を観察しました。広いフィールドですのでどうしてもはっきりした写真が撮れないのが残念です。(本当は腕の問題かもしれません)

井土浦の周辺は、蒲生干潟より人があまり近付けない為か、砂浜の前線にはオカヒジキも生育しています。人が多く入るところは帰化植物も増える傾向があるのか?これからも目が離せない場所です。

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