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アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]

東北地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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三陸復興国立公園 宮古

150件の記事があります。

2012年12月17日グリーン復興プロジェクト ~東北海岸トレイル路線検討の話し合い~

三陸復興国立公園 宮古 高屋敷 七恵

みなさん、こんにちは。
今回は前回意見交換会の様子を紹介した東北海岸トレイル(仮称)の動きについて具体的な検討状況を紹介します。

東北海岸トレイルとは、グリーン復興往路ジェクトの大きな柱の中のひとつで、青森県八戸市から福島県相馬市までを1本の歩道としてつなげようとするものです。これには、三陸の壮大なスケールの自然や豊かな文化を伝えることの他に、三陸沿岸同士の結びつきを強めること、利用促進をして観光につなげること、そしてそれを市町村の復興に役立てる目的があります。

12月14日(金)トレイルの宮古市部分の路線について話し合いを行いました。
事業をサポートしてくれる業者と、宮古市役所、そして宮古自然保護官事務所、パークボランティアの代表者が参加しました。

 


まずは、地図を机いっぱいに広げ、みなさんが持っている情報を共有し合います。「ここは是非みてもらいたい」「海があるなら、ここは船を使うのはどうだろう」など様々な案が出てきます。出された意見を聞いているだけでも、興味が広がります。




今回の話し合いで、おおよそのルートに見当をつけ、1月から本格的な歩道の調査に入ります。実際に歩いてみてトレイルのルートとして使うための課題は何か、検討した他に良い道はないだろうか、周辺にどのような施設があるか等を調べます。


今後も、地元の方々から情報をいただいて、ご意見を伺いながら魅力的なルートを目指します。

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2012年12月14日グリーン復興プロジェクト ~東北海岸トレイル意見交換会~

三陸復興国立公園 宮古 高屋敷 七恵

 12月7日(金)、グリーン復興プロジェクトの大きな取り組みの1つである、東北海岸トレイルについての意見交換会を行いました。
自然体験プログラムを実施している人や自然歩道を歩いている人、行政関係など、この地域で生活を営んでいる方が主です。久慈市から山田町まで広く声がけをして約35人が集まりました。

まず、環境省から東北海岸トレイル(仮称)東北ロングトレイルの目的を説明しました。

○震災の脅威と三陸の自然に触れる場となる。
○三陸地域を南北につなぎハイカーと地元だけでなく、地域間の交流を深める道となる。
○三陸に多くのハイカーが訪れることにより地域活性化につながる。

集まった方々にはロングトレイルの魅力と意義についても紹介しました。

○検討中のルートは青森県八戸市から福島県相馬市まで約700㎞で、全てがつながれば日本で最大のロングトレイルになること。
○ロングトレイルは、歩くだけでなく地域の食や文化などそこに住む人達の暮らし、そして人との出会いが重なることにより魅力が増すということ。
○ハイカーだけでなく三陸地域の人達にとっても、地元の宝、魅力を再発掘、再認識する機会となること。
○それには、地域に住む方々の力が必要で一緒に取り組んでいきたいということ。

ロングトレイル本場のアメリカや、全国で取り組んでいる事例を交え紹介していくと、イメージが沸いた方もいたようでした。

 次にワークショップです。8人~10人のグループを5つ作って地図を広げたテーブルの周りに座ります。2つのテーマに沿って自由に発言をし、付箋に書き込み地図に貼っていきます。

テーマ①
「たくさんのハイカーに、地域の魅力を味わってもらううえで、課題となること」

テーマ②
「たくさんのハイカーに、地域の魅力を味わってもらううえで、この地域でできそうなこと」

※ハイカー
自然の風景、景観を楽しむため一定のコースを歩く人。見知らぬ土地を訪れることも多い。

私が座ったグループには、年齢層が広く地元で自然ガイドを務めている方や、役所の方、鉄道会社の方など、いろんな視点から意見が交わされました。一部を紹介します。

テーマ①
「地域の魅力を味わってもらううえで、課題となること」
・アップダウンが激しい場所なので、若者向きになってしまうのではないか。
・トイレが少ない。
・公共交通機関を利用する際、自然歩道への移動が困難。
・被災して壊れてしまった箇所がある。

テーマ②
「地域の魅力を味わってもらううえで、この地域でできそうなこと」
・アップダウンの厳しさを敢えて、ウリにすれば人は来る。
・地域全体で受け入れ体制を整え、駅やガソリンスタンド、商店などにトイレの使用などお願いする。
・(地元の公共機関や)宿泊施設などに協力してもらったり、タクシーを活用していただく。
・事前の情報を提供する。

この他にも、「スタンプラリーなどの実施もおもしろそうだ!」「ルート設定には、地域の遺産など見せたいスポットも入れてもらえればうれしい。」「トイレ、宿泊施設、食事などの情報を入れたロングトレイル用マップの作成」など前向きな意見が交わされました。今後いただいた意見を参考に、路線の決定や運営の仕組みづくりを検討していきます。意見交換会は、場所を変えて沿岸地域で今後も実施していきます。

利用者にはもちろんのこと、地域の人々にとっても活用され、地位の宝として受け継がれていくものになるようなロングトレイルが出来たら、本当にいいなぁと思います。




取り組みについて紹介しています。




みなさんが、真剣に考えて意見を出し合っています。




付箋に書いて、貼り付りました。



☆お知らせ☆ 

現在、東京の大学生が、今回検討しているルート(青森県八戸市から福島県相馬市まで)を、モニターとして歩いています。12月1日(土)に八戸市を出発しました!3月までにおよそ700㎞を歩き、相馬市に到着する予定です。自然歩道だけでなく、街を歩く時もあるので、大きなザックを背負って蜜を歩いている青年を見かけたら、ご声援をお願いします。

この様子については、後日紹介する予定です。

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2012年12月10日景観を維持する

三陸復興国立公園 宮古 高屋敷 七恵

 12月6日(木)、景観をよくするための調査を行いました。場所は月山山頂です。
月山というと、山形にある出羽三山の月山(1984m)が頭に浮かぶ人も多いと思いますが、今回は宮古市重茂半島に位置する月山についてのお話です。
月山は455.9メートルの山で、宮古湾と宮古の町を一望出来る場所です。
標高はそんなに高くないと感じますが、急勾配で非常に歩きごたえのある山で、年に1度健脚者向けの登山イベントを開催しています。細い車道が通っているので、車でも行くことができますが、イベントではふもとの歩き口から、2時間から2時間30分かけて頂上を目指します。汗を流して登頂した後に見る景色は、格別なものになります。


近年、低い木や下草が伸びて眺望を遮りそうになってきたので、この日は頂上付近で景観支障木の選定と、併せて安全のために枯死木の選定を行いました。しゃがんでみたり、左右に動いたりなど色々な角度から見て選定します。切りすぎないように話し合いながら、作業を進めます。雪がちらつき、冷たい風が吹き渡っていましたが、慎重に何度も見直し、長い時間の選定を終了しました。今回選定したものは、後日地元の方に作業をお願いする予定です。
 来年の春、この月山からの眺めはどうなっているのだろうか、とても楽しみです。展望脇にあるサクラの木の花が咲き、風景に彩りが添えられることを期待しています。
見てもらいたい風景、それが宮古市の月山にできました(^-^)




 
 様々な視点から見ます。




雪が降り、街をすっぽり包んでいました。
冬の月山の頂上では、このような風景も見ることができるのです。

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2012年12月06日新巻鮭作りから考えること

三陸復興国立公園 宮古 高屋敷 七恵

 12月1日(土)『宮古づくし 目指せ!新巻マスター』が実施されました。市の魚に指定されている鮭について、知ってもらうということと、昔から鮭と関わり合ってきた三陸沿岸に伝わる風習に触れる機会を作ろうと企画した浄土ヶ浜ビジターセンターのイベントです。
参加者は、ほとんどが地元の方で、小さなお子さんから大人まで総勢20名でした。


≪紙芝居≫

 まずは、ビジターセンターのスタッフ手作りの『旅する鮭』の紙芝居を鑑賞して、鮭の一生について学びました。
鮭は生まれてから3~5年の間で、生まれた川から海へ移動し、日本の海から今度は海流にのって、世界(北洋)を旅します。その間、様々な経験をします。途中で、クマやアザラシなどの動物の餌となったり、様々な厳しい環境で力尽きてしまうなど、多くの鮭が命を落とす中、産卵のために沢山の試練を乗り越えた鮭が生まれた川へもどってきます。 戻ってくるのは(回帰率)、わずか数パーセント。1%にも満たない数値が報告される年もあります。戻った鮭は、最後の力を振り絞り、産卵をして一生を終えます。
今頃の時期になると食卓に並ぶ鮭、いつも何気なく食べていますが、貴重な命の恩恵を受けていることに気付きます。







 また、鮭は数ある川の中で迷わず自分の古里へ戻ってくるのは、「川の匂いを覚えているから」という説があります。川の周辺の植物や森林が長い年月をかけ腐植土化され川に流れ、それを母川の匂いとして覚えているのです。ですから森の自然が変わると戻ってこられなくなるかもしれません。森と川と海はつながり鮭が生きています。そして、里に住む人間は、その恩恵を受けています。


≪新巻鮭づくり≫

 紙芝居のあとは、水産科学館へ移動し、地域伝統の加工食品である新巻鮭づくりです。
水産科学館の伊藤館長から、鮭について説明をいただいたあとは外へ移動し、今朝水揚げされた新鮮な鮭から自分の運命の鮭を選ぶ所から始まります。新巻鮭にすると、小さく縮んでしまうため、なるべく大きな体がよいです。鮭を選ぶ皆さんの顔は、真剣です。比べて見定めてやっと決めたようです。





 写真上:大きな体の鮭を選んでいます。
 
 写真下:選んだら、自分の右側に鮭のお腹がくるように、置きます。






 写真上:鮭の、エラ、内臓を取り除きます。しっかりととらないと生臭くなってしまいます。
 
 写真下:鮭を洗いきれいにします。たわしでゴシゴシしすぎると、ぬめりがでてしまうので、優しく!







 写真上:洗った鮭に、塩をつけます。体、お腹・・・特に、エラ、目、頭の中にはしっかりとつけます。
     このとき、愛情も込めると、より一層おいしくなるのだそうです。

 写真下:慣れた方は素手です。

 伊藤館長がおっしゃっていました。「自分で作った新巻鮭が一番美味しいんだ!」と・・・。
仕上がりまでは、約1週間漬けてから水で洗ったり、干したり、まだ手間がかかります。参加された方々にはお家に帰ってじっくりと丹精込めて美味しい新巻鮭を仕上げて欲しいと思います。







 写真上:みんなで、鮭を高々と上げ完成を喜びました!

 写真下:発泡スチロールに入れて持ち帰ります。ここからは、家での作業となります。


 岩手県の沿岸は、本州一の鮭の漁獲高を誇ります。
三陸では秋になると、鮭が少しずつ上がってきて、食卓に並び始めます。11月11日は鮭の日とされ、給食では鮭の料理が出るなど、小さな頃から鮭に親しんできました。近年では鮭の中骨を使ったお菓子や缶詰なども販売されています。食べるだけでなく、商店や市場、家の軒先では新巻鮭がつるされているのが、秋から冬にかけての風物詩といえます。 
是非、三陸を訪れ、美味しい鮭料理を食べて昔から引き継がれてきた三陸の味を堪能していただきたいです。

 水産科学館さんでは、12月の7日、14日、21日新巻鮭作りのイベントを実施しています。
時間は、いずれも9:30から12:00までで、申し込み期限は各実施日の2日前までです。
→お問い合わせ 岩手県立水産科学館0193-63-5353

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2012年11月16日ただいま開催中!! 特別パネル展示『陸中海岸国立公園 復興の歩み』

三陸復興国立公園 宮古 高屋敷 七恵

みなさんこんにちは。宮古では、紅葉が見られる季節です。宮古自然保護官事務所のモミジは、てっぺんが少し赤く色づき始めました。もう少しすると、見事な紅葉を見ることが出来そうです。

さて、今回は写真展についてお知らせします。
11月15日より、浄土ヶ浜ビジターセンターにて、特別パネル展示『陸中海岸国立公園 復興の歩み』を開催しています。
東日本大震災で影響を受けた陸中海岸国立公園北部(久慈市~山田町)の被災前、被災直後、そして現在の様子を展示しています。

 昨年の夏は、『陸中海岸国立公園 震災の記憶』を開催し、被害のあった場所の被災前後の比較写真を展示しました。見てくださった方々からは、大きな反響をいただきました。

 そして、今回は被災直後から時間が経過してどのような変化があったのかに加えて、再び花を咲かせた植物や地域の方々の前向きな取り組みの様子も合わせてご覧いただけます。

 写真は、自然保護官事務所の業務を通じて撮影したものを使用し、それらをパネルに貼ったり解説をつけたり、全てが手作りの写真展です。少しでも多くの方々に見ていただき、自然の脅威や回復力について理解を深めていただきたいという思いで、制作をしました。前回の写真展をご覧になった方々からいただいた感想や環境省が進めるグリーン復興の取組みについても紹介しています。

<お知らせ>
浄土ヶ浜ビジターセンターは冬期間 (11月~3月)毎週水曜日が休館日となります。
開館時間は9:00~16:00となりますので、ご来館される場合はお気をつけください。




同じ場所の震災前、震災直後、そして現在の様子を展示しています。





2011年の夏に開催した時のアンケート結果と、いただいた感想やご意見を紹介しています。





これは、手作りのアルバムです。復興に向けて取り組む方々の姿や一生懸命に生きる植物の写真を納めました。

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2012年10月23日エコプロダクツ東北2012

三陸復興国立公園 宮古 高屋敷 七恵

こんにちは。
今日の宮古は、曇っていて弱い雨がパラパラと降っています。

 10月19日(金)~10月21日(日)、仙台市の夢メッセみやぎにてエコプロダクツ東北2012が開催され、参加しました。
エコプロダクツ東北2012とは、環境問題を考え環境に優しい商品や事業内容を一般の方々に紹介するために様々な企業が集まった場でした。来場者に関心をもっていただけるようにクイズやクラフト体験など参加型の紹介をしていて、とてもわかりやすいように皆さんが工夫をされていました。環境省東北地方環境事務所でも廃棄物や温暖化対策の担当がブースを設け3Rやウォームビズについての呼びかけや取り組み紹介をしました。

宮古自然保護官事務所では東北地方環境事務所の国立公園担当者とともに、今環境省で取り組みを始めている「グリーン復興プロジェクト」について展示と紹介を行いました。

グリーン復興プロジェクトとは、東日本大震災において甚大な被害をうけた三陸沿岸の復興に貢献し、三陸沿岸にひろがる大自然や、そこに生活する人や文化を後生に伝え、それらを活用しながら復興していく環境省の大きなプロジェクトです。

基本の方針は以下の3つです。
○自然の恵みを活用 
○自然の脅威を学ぶ
○森・里・川・海のつながりを強める

そのプロジェクトの1つとして、「三陸復興国立公園(仮称)」の創設があります。
青森県八戸市の蕪島から宮城県石巻市女川町の牡鹿半島までとその周辺をひとつの国立公園とし、自然、地域、人をつなぎそこで様々な復興につながる取り組みを展開していこうとするものです。

そこで、今回のエコプロダクツで三陸の自然と現在の取組状況を知ってもらいたいと、壁にプロジェクトの対象エリアである八戸市から女川町周辺までの大きな地図(横に20.7m)を展示し、各々の場所の写真を貼り、来場者に見ていただくことにしました。
展示をじっくり見て、熱心にお話を聞いてくれる来場者も多くいらっしゃいました。
来年の春に青森県の蕪島までを新しい国立公園に指定するために準備を進めています。

「グリーン復興プロジェクト」という言葉が浸透し、少しでも皆さんが関心を持ち、一緒にその進め方を考えていただければとてもうれしく思います。



小さな来館者も来ました!生物多様性の可愛いシールをプレゼント。大人気でした。

自分の実家や親戚も被災したので、こういう取り組みを進めてほしい。と言って真剣に取り組みを見ていらっしゃる方もいらっしゃいました。

アンケートにご協力くださった方々には、オリジナルポストカードを差し上げました。どれも、職員が撮った想いのこもったポストカードです。

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2012年10月18日浄土ヶ浜の復旧 -安全祈願祭-

三陸復興国立公園 宮古 高屋敷 七恵

 10月17日、浄土ヶ浜の海岸歩道等復旧工事の安全祈願祭が行われました。
安全祈願祭には、東北地方環境事務所の所長、浄土ヶ浜集団施設地区の方々や工事関係者等が出席しました。


式典で挨拶をする鳥居所長です。


 浄土ヶ浜の海岸歩道は3.11の大震災で法面が不安定になり、転落防止枠などの施設が一部流失するなどの被害を受けました。地盤沈下もしていて、満潮時や海が荒れた日には、完全に水に浸ってしまうほどです。


この日も、満潮時にはこのような状態でした。歩道が海水に浸っています。

 
 今年の夏は、奥浄土ヶ浜での海水浴場オープンに合わせ、仮復旧工事を行い、一部区間で通行可能としていましたが、現在は海岸線全ての区間を通行止めとしており、これから本格的に工事が始まります。


浄土ヶ浜の海岸歩道について

○浄土ヶ浜ビジターセンターから、遊覧船乗り場までは、高架式木製デッキとなります。これは、足腰の丈夫でない方や車いすの方にも利用していただけるようになります。海の上を歩くようなイメージで休憩スペースや展望所も出来る予定です。
○マリンハウスから奥浄土ヶ浜までは、満潮時や高潮の際にも冠水することがないよう、平均して50㎝のかさ上げをします。来年夏の利用シーズン前の完成が目標です。


完成予定の歩道について、説明する担当のレンジャーです。


震災によって大きな被害をうけた浄土ヶ浜ですが、完成した海岸歩道を多くの人に訪れてもらい、変わらなく美しい自然を目にしてほしいと思います。

※工事期間中、奥浄土ヶ浜へは車道を利用していただくようお願いします。

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2012年10月16日秋を感じながら三陸の宝さがし

三陸復興国立公園 宮古 高屋敷 七恵

みなさん、こんにちは。
10月14日(日)「三陸の宝・陸中海岸国立公園から田老へ~復興する宮古と生業を訪ねる」と題して、「宮古エコウォーク」が行われました。
→ http://ecowalk.jp/index.php

 今回のイベントは、復興の源を探しそれを地域の宝として観光につなげ、再び三陸に多くの人に訪れてもらうために実施された復興支援事業の一環です。

田老漁港を出発し、3.11の大津波でもその姿を変えることのなかった三王岩をみんなで見ました。快晴だったこの日、くっきりとした海と空の青がそこに力強く立つ三王岩をより一層輝かせていました。

三王岩を見たあとは、沢尻海岸を経由し真崎原下まで歩きます。沢尻海岸では、車道が流失し寸断されている様子や、柱のみ残った四阿を見て、参加者は津波の威力を感じているようでした。津波の爪痕が残る陸地とは対照的に海と奇岩の成す三陸の造形美には、心を打たれるものがあり、感動されている方が多かったです。


三王岩に向かいます


沢尻海岸から、真崎までは樹木の中の道を歩きます。紅葉はまだですが道沿いには、赤く色づいたガマズミの実、ドングリやキノコ、秋を感じさせるアキノキリンソウ、海をのぞけば岩場にはハマギクやコハマギクなど、たっぷりと秋の自然を見ることができました。


津波で土が流れた場所にも、ハマギクやコハマギクが根を張り花を咲かせていました。

真崎の原下に到着し、待ちに待った昼食です!
田老の魚市場でホタテとウニの乗ったご飯に、サンマの甘露煮などがついた「復興弁当」と、田老漁業協同組合さんのご協力で温かいワカメの味噌汁をいただきました。自然とみなさんが素敵な笑顔になりました。ワカメを入れるかご(ヨゴダ)を椅子にして、海を間近で感じながらのご飯は、新鮮な体験でした。田老漁協の方が、震災から現在にいたるまでの、田老の漁業の貴重な話をしてくださいました。岩手県で最後に再開したのは田老の魚市場だそうです。その場所で、ここでしか味わえない風景と食事を堪能し、格別なものへと変わりました。


食べる場所が変わるだけで、とても特別なものに感じるのは、シチュエーションのマジックと、漁協の方の真心がこもっているからかもしれません。

その地域に住む人たちにとっては、「当たり前、いつものこと」だけれど、実は視点を変えるだけで、特別なものへと変わることがあります。また、ここを訪れた人にとっては、それが素敵で幸せなことだと感じることも多いと思います。食事だけでなく、暮らしもそうで、それこそまさに地域の「宝」なのだと思いました。


今回改めて、三陸にはたくさんの宝があることを実感しました。自然、ここで暮らす人、文化や風習、そして味。是非、三陸に足を運び、地元の人とお話をしてほしいです。そこでしか伝わらないものもあります。



お互いが、「ありがとう」の気持ちを込めて挨拶をしていました。人と人とのつながりも、宝のひとつです。


環境省は、前に向かって取り組む三陸の人々の一助とするべく、グリーン復興プロジェクトを進めています。平成25年の春には、陸中海岸国立公園に青森県の種差海岸・階上岳地域を加え、三陸復興国立公園(仮称)を創設する予定です。三陸の良さを発信し、多くの人に訪れてもらうことで、三陸の復興につながるよう、今回のエコウォークのような取り組みも通じ検討を続けていきます。

→ http://www.env.go.jp/jishin/park-sanriku/index.html


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2012年10月16日ダイモンジソウ

三陸復興国立公園 宮古 高屋敷 七恵

みなさん、こんにちは。

私が10月中旬、毎年楽しみにしていることがあります。それは、ダイモンジソウの花を見ることです。ダイモンジソウは、湿った岩場に咲き、その名は、花の形が、まさに「大」の字に似ていることに由来します。北海道から九州まで分布している花でも、陸中ではなかなか見ることが出来ませんでしたが、あるときやっと一カ所群生してる場所を見つけました。それ以来、毎年の楽しみとなり、この時期に自然歩道を歩く時はパークボランティアの方々とともに、ダイモンジソウを見て、心を和ませていました。


しかし、毎年ダイモンジソウが見られたその場所は、3.11の大津波で土が削られ大きく自然歩道も崩れてしまいました。昨年は、10月に足を運ぶことが出来なかったので、確認することが出来なかったのですが、歩道の状況からすると、今年も花を見るのは難しいかなぁと半分不安になりつつ、花を探していると・・・ありました!震災以前より大幅に株が減っているものの、しっかりとダイモンジソウを確認することができました。津波に負けず、岩場に根を張り、可愛らしい花を咲かせていました。
 
 再びここでたくさんのダイモンジソウの群生を見られることを願って、来年もまた見に来たいと思います。皆さんも見つけたらそっと見守ってくださいね。


ダイモンジソウの花【10月13日】

しっかりと根をつけています。

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2012年09月12日本州最東端の地 魹ヶ埼(トドガサキ)灯台

三陸復興国立公園 宮古 高屋敷 七恵

みなさん、こんにちは。
少しずつ暑さが和らぎ、夕暮れになると、なんとなく肌寒く感じられる日が出てきました。
そろそろ夏が終わり秋に移ります。秋は虫の鳴き音、紅葉、キノコに、海産物、自然の中でも、賑わいを見せる季節ですね。

さて、今回は宮古市にある本州最東端の地、魹ヶ埼灯台へ至る歩道の調査の様子を紹介します。
9月4日、植物専門の方々とともに、重茂半島姉吉から魹ヶ埼灯台までの歩道調査を行いました。姉吉から魹ヶ埼灯台までは、陸中海岸国立公園の自然歩道の中でも、利用者が多く比較的歩きやすいコースだと思います。
震災で自然歩道の入り口が崩れ、通行止めとしていましたが、現在は歩くことができるようになっています。(北側の与奈~魹ヶ埼灯台までは、現在も通行止め)歩き始め、少し急な登り坂が続きますがそれを過ぎると、なだらかな道になり、植物の調査をしながら歩いて約1時間30分で、灯台へ到着します。
今回は、植物に精通した方々に色々と教えていただいたおかげで、今まで分からなかった植物の名前やその由来、そして周辺の植生の特徴などを学ぶ事ができましたし、魹ヶ埼灯台周辺には思った以上に多くの植物が存在していることを知りました。リンドウ、ラセイタソウ、ハマギクの他に、ハイメドハギ、ナガボノシロワレモコウ、カラマツソウ、岩場の隙間からヤマブドウが実を付けていたのには驚きました。自然歩道には、ヤマジノホトトギスや、フシグロセンノウ、ハギ類が花を付けていました。中でも、ヌスビトハギの名前の由来には、驚きました。(よかったら、調べてみてください)

トイレは、姉吉キャンプ場跡地の駐車場に仮設であるのみです。灯台前のトイレは現在使用できませんので、ご注意ください。
先ほど、「歩きやすいコース」と言いましたが、それでも、しっかりとした装備は必要です。たまに、サンダル、そして何も持たずに来る方とすれ違うことがありますが、それだと非常に危険です。魹ヶ埼灯台までは、林道を歩くのですから、様々な生き物に出会うこともあります。それだけでなく、約4㎞の舗装されていない道を歩くのは、体力も必要です。トレッキング経験者で慣れている人こそ、装備をしっかりとしているように思います。これから来る方は、動きやすい服装、飲み物や軽食など持って、万全の準備をして灯台を訪れてほしいと思います。
汗を流して、たどり着いた先にある灯台を見るのは、格別なものだと思います。



太陽の日差しから、木の葉が守ってくれます。時々風が吹いて気持ちよい自然歩道でした。

本日の灯台!何度来ても、そのときそのときで灯台が違って見えます。この日は、青空と青い海で、白い灯台がより一層栄えて見えました。

こんな景色も見ることができます。
海と岩の織りなす造形美、見事です!ぜひみなさんにも見て、感じていただきたい場所のひとつです。


【お知らせ】
10月28日(日)は、魹ヶ埼灯台が一般公開されます。浄土ヶ浜ビジターセンターでもそれに合わせてトレッキングイベントを開催予定です。(近日参加募集開始)本州最東端の灯台から見る景色は最高です。その日だけの眺めを、味わいたい方、是非、一緒にあるきましょう!お待ちしています。

是非、HPを覗いてみてください。
こちら→→→ http://www.jodogahama-vc.bz-office.net/

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