ACTIVE RANGER

アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]

東北地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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2022年2月

15件の記事があります。

2022年02月08日マニア向け!?浄土ヶ浜の隠れたSNS映えスポット

三陸復興国立公園 宮古 古館 百合子

宮古自然保護官事務所の古館です。

浄土ヶ浜といえばこのアングルの写真を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。

【撮影:どちらも202167日】

 

ここからでも十分綺麗ですが、浄土ヶ浜のフォトスポットはここだけじゃないんです。

今回は、ちょっとマニア向け(!?)な浄土ヶ浜の隠れたSNS映えスポットをご紹介しちゃいます!

 

【穏やかな干潮の時限定!潮だまりに空を閉じ込めて】

【撮影:2022271337分(この日は小潮で1335分干潮(41cm))】

 

浄土ヶ浜の海岸歩道沿いには、3箇所浜辺があります。そのうち2つ目の浜・中の浜では、干潮になると、マグマが急激に冷え固まってできた流紋岩(りゅうもんがん)の岩のくぼみに潮だまりができます。

ぐぐーっと海面にカメラを近づけたらシャッターチャンス

ただし、足元は非常に滑りやすいので、転倒したりカメラを水没させないよう慎重に。

潮だまりにはイソギンチャク(左)や、運がよければアメフラシ(右)などの生きものも見られます。磯の生きものを観察してみるのも面白いですよ。

 

今回は中の浜をご紹介しましたが、中の浜のほかにも、数々の展望所やSNS映えするスポットがまだまだあります。いらした際は、想い出作りにカメラとともに浄土ヶ浜で遊び倒してみてください。

 

では、また!

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2022年02月07日オオヒシクイを観察してみよう

仙台 鎌田 和子

こんにちは、仙台自然保護官事務所の鎌田です。

1月下旬から2月になると国指定伊豆沼鳥獣保護区では、越冬しているマガンが日中、沼の周辺で見る数が減少しますが、まだ北帰行ではありあません。北帰行のための準備でねぐらの沼より遠くの田んぼにでかけて食事をしているからです。越冬の前半で沼周辺のエサを食べつくしてしまっているからです。ねぐらである沼にほとんどが帰ってきますが、中にはもっと食べたくて遠出しているマガンはそのまま、田んぼなどで夜を明かす群れも出てきます。

10万羽の中から別のガン類を探すのは難しいけれど、マガンが少なくなった時こそ、伊豆沼・内沼や周辺の田んぼで、ちょっと大きなガンの仲間で、マガンと同じく1971年に国の天然記念物に指定されているオオヒシクイが見やすくなるのでじっくり、観察してみましょう。

 

オオヒシクイの特徴:

日本に定期的に渡ってくるガン類(オオヒシクイ、亜種ヒシクイ、マガン、シジュウカラガン等)の中で最も大きい。(かぶくり図鑑を参照)

伊豆沼・内沼では、越冬する大型の水鳥の中でオオハクチョウに次いで2番目の大きさ、翼を広げると約2mになり、体重は5㎏位、マガンは2.5㎏位、オオハクチョウでは10kg位になります。

 

 

身体の色は、全体が暗褐色、胸はマガンのような斑模様は無く、お尻にかけて白い。

鳴声は太く低い声でガァガァー、ガァガァガァー、低音の声が響き、頭頂部からクチバシの先まではほぼ一直線、クチバシは黒く、先端付近は黄色、ラジオペンチ型、マコモなどの抽水植物の根茎部を掘り起こして食べるのに適している。

がっしりとした足は、鮮やかなオレンジ色、のっしのっしと歩く。泥の中や水中では見えない足も、氷上ではよく観察できる。

生息場所は、泥っぽい沼の岸辺や川岸など湿ったところが大好きで、一日の大半を沼で過ごしているように見える。寝ているか食べているか、たまに田んぼに出かけてもちょっと湿ったところそこでも寝ているか食べているかの生活、マガンほど神経質ではないので、雁首揃えて警戒はするが直ぐには飛び立たず、ある程度観察できます。

見分ける時には、胸からお尻にかけての白さやクチバシや声を頼りに探してみよう。

生息数は、日本に渡ってくる数は約1万羽(オオヒシクイ、亜種ヒシクイ合わせて)、おおよそですが、伊豆沼・内沼では、大型の水鳥の中では1番のマガンが5万から10万羽、2番のオオハクチョウ4千羽、3番がオオヒシクイ1000羽前後。今年の2月上旬の渡り鳥飛来状況調査では1185羽を確認されました。

内沼の西側で撮影した時の様子、2羽がマコモの根茎部に乗っているのですが、周りのオオヒシクイは、沼の中に頭を突っ込んでパクッ、何かを食事中です。

さて、ここで問題です。マコモ以外の何を食べているでしょう。

 ヒント:1.クチバシがラジオペンチみたい。 2.鳥の名前にあり。

 

 

答えは、ヒシの実を食べているのでした。ヒシの実を喰うのでヒシクイの名前になりました。ヒシの実が大好きのようです。

 夏の内沼の様子です。向こう岸に栗原市サンクチュアリセンターつきだて館が見える沼の西側、水面を覆いつくすヒシが広がっているこの場所で、冬、オオヒシクイが食事をしていたところです。

1月の日記で糞便調査を紹介した東側の砂浜の様子を確認してみましょう。

 砂浜には、オナガガモが観光客からエサをもらうため集まっている。沼の中央に浮かんでいる黒っぽい水鳥がオオヒシクイです。

 砂浜を側面から撮影してみました。砂というより黒い何かがいっぱい、水際から2m以上の幅です。

 大きなヒシの実が沢山、打ち上げられているのです。すごい数です。ではなぜ、この沢山のヒシの実にオオヒシクイは集まらないのでしょう。それは、打ちあがった実はシイナ(殻だけで中身が無いもの)で、軽いから風で東側の砂浜に集まっているのです。

オオヒシクイたちは、沼の底に沈んでいる、しっかり中身の詰まった実を食べていたのです。内沼は、ねぐらと食事に困らないところのようです。

 

マガンはお米や大豆などの田んぼや畑の残り物(人間に依存したもの)を食べ、オオヒシクイは沼や湿地の植物(自然由来のもの)を主に食べて越冬している違いが見えてくる。

北帰行をいつにするか思案中の水鳥たちを観察する際、オオヒシクイに注目して観察してみてはいかがですか。

※ちょっと気になったので、皆様にお願いです。1月の糞便調査で水鳥の糞を探していると、ヒシの実の写真に写っている食パンの袋のクリップが沢山落ちていました。折角、水鳥に優しい気持ちでエサを与えるのでしたら、間違って食べたりしないように、ゴミは持ち帰りをお願いいたします。 

 

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2022年02月04日立春

十和田八幡平国立公園 伊藤 あけみ

今日は立春です。

十和田湖が国立公園に指定されたのは、昭和11年(1936年)2月1日の事です。その時生まれた方は86歳ということになりますね。

如月(きさらぎ)は、厳しい寒さに備え重ね着をする「衣更着」、春に向けて陽気が来る「気更来」、春に向けて草木が更に生えてくる「生更木」という3つの説があるそうです。

氷点下10度を下回る日も多いですが、心は舞いおりる雪より軽く、白い大地を駆け回りたい伊藤です。

奥入瀬の氷瀑はどんどん成長しています。

〈姉妹の滝のお姉さん〉

乙女の像は、相変わらず力強い姿で立ち続けています。その後ろ足に注目してみてください。

人間は片足を前に出して体重をかけると、自然と後ろ足のかかとが上がります。像は両足ともしっかりついていますね。そういうデフォルメ(対象を変形や歪曲して表現すること)が、芸術では良く行われることがあります。大地にしっかりと根を張って生きろと言われているようですね。

そして、眼球が入れられていない目は、どこから見てもこちらを見ているように見えると言われています。

現在まで二度の解体修理を経て、平成六年には大規模な補修が行われ、現在の姿があります。

1月に巡視で行った蔦沼の様子をお伝えします。燃えるような紅葉で賑わっていた蔦沼は、今は訪れる人も無く、ひっそりと春を待っています。

カモシカが車道を渡った跡がありました。

静寂の菅沼:誰かが歩いた跡がありますね。

氷の上にうっすらと雪が積もっています。

残置コーンを見つけたので、スノーシューで踏まないように掘り出しました。

 

冬期の蔦沼の歩道は閉鎖されていますが、時折、訪れる人はいらっしゃるようです。(あくまでも自己責任でとお願いしています)

あちこちで大雪のニュースが聞かれます。除雪作業に従事される方々は十分に注意されてください。

十和田湖も自宅も例年より少ない雪にちょっと拍子抜けの伊藤です。

マンサクは吹雪の中まだまだ口を固く閉ざしています。

節分の日のマンサク。花開く日が待ち遠しいですね。

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2022年02月04日雪の大潟草原

秋田 成田苑子

こんにちは!秋田自然保護官事務所の成田です。

大潟草原鳥獣保護区から冬の景色をお届けします。

今年はどこも雪が多いですね...(秋田県内では1月に平年の3倍以上の積雪を記録した地点も。)

子どもの頃は雪が降るとスキーに雪合戦にと楽しみでしたが、

大人になると「雪かきが...雪道運転が...」となんだか大変なことばかりが目についてしまいます。

国指定大潟草原鳥獣保護区内はどれほどの積雪かというと...

 

(左:令和3年10月 右:令和42月)

この2枚はほぼ同じ場所・ほぼ同じ角度から撮影した写真です。

10月の写真で見えている、後ろの水辺はほとんど全面が凍結していて

鳥たちはあまり観察できません。

その代わりに、雪の上には動物の足跡をみつけました。

<小動物の通り道>

<賑やかな茂み>

<氷上の交差点>

Uターンと直進と>

<この小さな足跡は...>

<飛び跳ねながら移動したようです>

足跡の主に思いを馳せてみるのもこの季節ならではの楽しみ方。

まだまだ寒く雪が多い季節が続きますが、

動物の痕跡を探してみてはいかがでしょうか?

※国指定大潟草原鳥獣保護区 野鳥観察舎前の道路は積雪のため車両での進入が出来ません(令和3年22日現在)。ご注意ください。

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2022年02月03日冬の楽しみ

三陸復興国立公園 大船渡 坂本麻由子

こんにちは。大船渡自然保護官事務所の坂本です。

寒い寒いとできるだけ外に出ずお家でぬくぬくなんて方いらっしゃいませんか?

寒い季節は海の水がとっても綺麗です。

砂浜から、漁港から、桟橋から、船の上から

深さや海底の素材などによって変わる海の色の変化を楽しめます。

なぜ海は青いのか。

太陽光構成7色のうち青以外が海水に吸収されてしまうから

とざくっと認識していますが

プランクトンが少なく透明度の高い冬の海は

そんな光と水の関係性について頭を働かせるのに格好の現場です。

環境省選定快水浴場百選にも選ばれている

宮城県気仙沼大島の小田の浜(こだのはま)へ行ってきました。

穏やかで安全な遠浅の海水浴場として海水浴シーズンには毎年賑わう砂浜です。

そんな小田の浜ですが、実は冬期は貴重な水鳥を観察できるスポットなのです。

その貴重な鳥とは、首に白いネックレスを巻いたコクガンです。

海に漂う海藻をエサとしています。

1日の多くをこうして海の上で過ごすため、観察するためには双眼鏡が必携です。

国の天然記念物、絶滅危惧種Ⅱ類とされてるコクガンですが

ご興味ある方はコチラ(東北地方におけるガンカモ類の渡り経路および分布状況

をご覧になってみてください。

ある1月の午後3時頃です。いましたいました。

海での食事を一時中断し、陸に上がって羽繕いしている様子に遭遇できました。

みんな一生懸命お腹のあたりをつついています。

そろりそろりと私が近づくと1羽だけ首を長く伸ばしこちらを警戒している様子。

(横向きに見えますが、目が横に付いているので

この状態でこちらを凝視していると思われます)

この1羽は警備担当なのでしょうか。

驚かさぬよう、これ以上近づくのはやめました。

しばらくすると今度はこっちに一斉におしりを向けました。

なんとも可愛らしい。

左にいる4羽はオオバンです。

泳ぎも潜りも得意な彼らはせっかく自分で採った海藻を

いつもコクガンたちに横取りされてイラッとしているのかと思いきや

こうして一緒にいるところを見ると案外そうでもないのかな、

もはや一緒にいたいと思っているのかなと見えてきます。

小さいことは気にしない、おおらかなオオバンが私は大好きです。

しばらくするとエサ場へ移動するため一同は飛び立っていきました。

砂浜には別の団体様もいらっしゃいました。カモ類のようです。

海から上がってどこかへ急いで向かっている様子。

オナガガモですね。

首が長くスラッとしていてオスの尾羽が長いのが特徴です。

淡水を求めて砂浜を流れる沢に向かっていたんですね。

うがいと羽繕いに夢中でした。

越冬などで飛来している水鳥たちは、こうして海域で見ることもありますし

まちなかの川や池など淡水域でも見ることができます。

ついつい出不精になってしまう冬ですが、この時期だからこそ

見られる生き物たちの観察を楽しんでみてはいかがですか?

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