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東北地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]

国指定小湊鳥獣保護区の更新作業

2021年11月30日
十和田八幡平国立公園 村田 野人

ここ数日、十和田湖の湖畔は雪が積もりすっかり冬の気配がしてきました。道路には雪が残っているところもあります。いらっしゃる際、車のタイヤはスタッドレスタイヤでお越し下さい。

 さて、本日は国指定小湊鳥獣保護区の更新についてです。

鳥獣保護区の水鳥

<鳥獣保護区で羽を休める水鳥>

鳥獣保護区の看板<青森県平内町稲生から狩場沢までの海岸線を含む陸地と沖合1200mが国指定小湊鳥獣保護区です>

 まず、鳥獣保護区についてざっと説明します。日本では、そもそも野生鳥獣(鳥類とほ乳類)をつかまえたり殺したりすることは禁止されています(狩猟や一部のネズミ、海生ほ乳類などの例外あり)。鳥獣保護区は、特に守りたい野生動物種があるときに、その鳥獣を保護するために指定される区域です。鳥獣保護区内では狩猟も禁止されます。設定期間は最長20年とされており、少なくとも20年ごとに守りたい野生動物が減っていないか、今後も守っていく必要があるか判断する更新または解除の作業があります。

 国指定小湊鳥獣保護区は先日10月30日が指定期間の更新の時期でした。詳細は下記の東北地方環境事務所WEBページをご覧下さい。

http://tohoku.env.go.jp/to_2021/post_5.html

 更新のためには、様々な作業があり、私は地元の方との調整や情報の収集を担当しました。鳥獣の有識者の方や地元の自然観察者、鳥獣保護区内で生業を営んでいる農家、漁師、林業、観光業に関わる方など様々な方から国指定小湊鳥獣保護区に関する意見をお伺いするところから始まり、更新する鳥獣保護区の位置を明瞭に示すための図面や情報の収集・文言の確認、専門業者とやりとりしつつGISを用いての鳥獣保護区の様々な数値の計算なども実施しました。これらの仕事は主に令和元年度に行い、上局である東北地方環境事務所に情報を進達し、あとは会議等の重要なタイミングで上局からの質問に情報を整理して回答したり、地元の方へ意見照会する際の事前連絡したり等でした。

 これまで、クマやカモシカなどのための広大な森と山の鳥獣保護区、水鳥が休むため池の鳥獣保護区の更新に携わったことはありましたが、今回のように住宅地や農耕地を含んだ鳥獣保護区は初めてで、最初、関係者の多さに面食らっておりましたが、多くの方の協力を得てまとめ上げることができました。皆様ありがとうございました。

 国指定小湊鳥獣保護区は、オオハクチョウやコクガンなど冬の水鳥たちの生活の場として指定されています。ゴツゴツとした岩でできた磯、白砂青松の砂浜、とうとうと流れる川、いそがしく漁師さんが働く漁港などの様々な美しい景色があります。実はこれらの環境それぞれが水鳥の重要な生活場所になっています。特に平内町の中心部を流れる汐立川(小湊川)の河口は遠浅の海になっており、北東北ではやや珍しい干潟の景色が見られます。折々に訪れてみてください。

 冬は、水鳥たちが漁港の中でのんびりと休んでいて、比較的見やすい季節です。漁師さんの邪魔にならないよう気をつけてですが、バードウォッチングもお楽しみください。

小湊鳥獣保護区の集落<鳥獣保護区内の集落>

夏の小湊鳥獣保護区<1枚目の写真の場所の夏の様子>

夏の小湊鳥獣保護区(礫海岸)<鳥獣保護区内の礫海岸>