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東北地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]

干潟のカニたち

2021年07月26日
仙台 鎌田 和子

 こんにちは、仙台自然保護官事務所の鎌田です。

 国指定仙台海浜鳥獣保護区の干潟の生きものを紹介します。今日は鳥類ではなく、干潟の小さなカニを見てみましょう。

 国指定仙台海浜鳥獣保護区には、蒲生干潟、井土浦に干潟があります。2011年の東日本大震災で大きな被害があり干潟が消滅したと落胆した時もありました。干潟の生きものたちはたくましく生活しています。

 

 蒲生特別保護地区の蒲生干潟です。緑の芝生のように見えるのは、塩性湿地に生育するハママツナです。干潮時の干潟では水際までの砂地を歩くと、大小の砂団子と5㎜の穴から1㎝の穴がいたるところに観察できます。近づいてみましょう。

 

わかりますか?砂と一体化してますよ。ここですよ!ハサミを器用に動かして砂の中からエサを食べています。甲羅の大きさが1㎝位の小型のコメツキガニです。私たちが静かに歩いて近づいても、一歩、一歩の大きな振動に感じるので、しばらく、しゃがんで静かに待ちましょう。ひょこっ、ひょこっと顔を出し、巣穴から出たりひっこんだり、可愛い姿を観察できます。

 潮のひきはじめや、満ちていく時間帯には、こんなにいっぱいのコメツキガニがにぎやかに過ごしている様子も観察できます。

 次は、井土浦特別保護地区に隣接する東谷地の様子です。

 名取川河川堤防と県道仙台亘理自転車道に挟まれた干潟、通称「東谷地」と呼ばれているところでは、ヨシ、アイアシ、シオクグなどの植物が干潟の周囲に生育しています。こちらも静かに近づいてみましょう。

 

  ヨシ原に巣穴を掘って生活しているアシハラガニです。甲羅の大きさは3.5㎝位の中型のカニ、貝殻をお皿のように持って右往左往してました。落ち着いたら、貝殻の付着物をハサミで取り口に運んでました。

 小さな巣穴が沢山あるので近づいてみました。こちらでは、青白い小型のカニが巣穴の入り口で、ハサミを上下にふり、万歳、万歳、ダンスしています。

  こちらもコメツキガニと同じくらいの小さなカニ、チゴガニです。

3種類のカニを紹介しましたが、他のカニの仲間や貝、ゴカイなどの干潟の生きものを底生生物といいますが、夏休みに干潟のカニを通して、干潟の生きものや役割など調べてみませんか。小さな生き物のゆりかご、干潟で暮らす小さな魚のエサ、水鳥の休憩地になったり、私たちのリフレッシュの場になったり、水質浄化にもつながります。

 干潟の周辺には木陰がありませんので、熱中症等暑さ対策を忘れずに準備してお出かけください。