ACTIVE RANGER

アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]

東北地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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2021年7月

23件の記事があります。

2021年07月05日浜辺の植物しらべ

三陸復興国立公園 宮古 古館 百合子

宮古自然保護官事務所の古館です。

 

626日、パークボランティアの研修会にて、震災後の海浜植物の再生と環境教育などでご尽力されている

岩手県立大学准教授・島田先生をお招きし、自然災害による浜辺の植生の変化と現状について学びました。

 


【左:島田先生、右:研修会の様子】

 

10年前の東日本大震災津波をはじめ、津波常習地である三陸海岸。

被災しても砂がえぐられずに残っている場所では、葉が枯れても根茎が残っていて、ハマナスやハマヒルガオはその年の夏に咲いていたそうです。

 

強い風が吹いたり高潮があったりと、植物にとって浜辺は暮らしにくい環境。そのなかでも、草丈を低く地を這うように伸びたり、葉を厚くして海水の飛沫を浴びても枯れないで、砂浜という過酷な地でもたくましく暮らしていることを実感すると同時に、励まされるような気持ちになりました。

 

午前中は上記内容のほか、岩手県の海岸の特徴や海辺の植物の特性など内容の濃い講演をしていただき、午後はいざ実際に浜辺へ。宮古市田老地区で植物の観察です。

 


 

浜辺で観察できる植物をまとめた図鑑を片手に、島田先生の解説。

砂浜で見られる植物を中心に、岩場の植物や湿地の植物など、興味をそそられる先生のお話と多様な浜辺の植物を目の前に、ボランティアのみなさんも私も興奮気味で質問が飛び交いました。

 

確認できた植物の一部をご紹介↓↓




 

島田先生から、地元の方々が観察し続けることが大切との一言もいただいたので、今回の研修会を機に、今後パークボランティアのみなさまと一緒に浜辺の観察を定期的に実施する予定です。どんな浜辺でどんな植物に出会えるか今から楽しみです。

 

では、また!

 

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2021年07月02日虫の目で観察してみました

三陸復興国立公園 大船渡 坂本麻由子

みなさんこんにちは。大船渡自然保護官事務所の坂本です。

梅雨入りした三陸も天気予報は先の先まで傘マークが付いています。そんな中たまの晴れ間があるとカメラ

片手に公園へ足が勝手に向いてしまいます。

この日は虫の目(マクロレンズ)を相棒に碁石園地を巡回しました。夏へ向けて色とりどりの花が咲く道中、出会った植物たちの一部分にズームアップして撮影してみました。

ここで突然ですがクイズです!何の植物かお考えください。

 ★第一問★

どこの道ばたでも見つけられるお馴染みの植物です。

★第二問★

鼻炎だった私は子どもの頃この葉っぱを鼻に詰められました。

★第三問★

これもお馴染み、無毒ですが見た目に反して食べても美味しくありません。

★第四問★

夏に蔓延る紫色のあの子、こんなに涼しげなお花つけてたの?

★第五問★

こんな可愛いトラだったらお世話してみたいですね。

★第六問★

ベル型の花からフリフリリンリンって覚えていた人がいました。

★第七問★

海岸域岩場でよく見られる植物。ビロードのような葉っぱが特徴です。

★第八問★

花の部分を真上から撮影。本公園の指定植物のひとつです。

★第九問★

こちらも本公園の貴重な指定植物。花びらの色が名前の由来です。

いかがでしたでしょうか?

身近な植物でもこのような視点で見てみると新しい発見があります。自然とのふれあいイベントでネタとして使えそうです。みなさんも虫になった気持ちで植物観察してみてはいかがでしょうか。今まで気がつかなかったことを発見できるかも知れませんよ。

↓以下で答え合わせをどうぞ。↓

☆第一問☆

『ムラサキツメクサ』

アカツメクサとも呼びますね。この花の白花もたまに見かけますが、それは「シロバナアカツメクサ」だそうです。なんだか複雑ですね。

エストロゲンとイソフラボンを含み、女性に嬉しい薬効もあるためハーブとして多用されています。小花をじっくり見てみると繊細で美しく、びっくりしました。

☆第二問☆

『ドクダミ』

日本三大民間薬のひとつ、万能選手です。独特の匂いがその効能の高さを表しているのでしょうか。加熱すると匂いが和らぐそうで、天ぷらにして食べても美味しいそうですよ。ドクダミは実を付けず地下茎で増えます。なぜこんなにきれいな花(のように見える)を咲かせるのでしょう。

☆第三問☆

『ヘビイチゴ』

小さい頃食べられるかどうか実を割ってみた方いらっしゃいますか?真っ赤で美味しそうに見えるのに中身はフカフカで水分なし。ヘビも食べないそうですよ。緑の地面に赤い実がちりばめられている様子はとてもかわいらしいですよね。

☆第四問☆

『ウツボグサ』

名の由来は、花穂につく小花の形が弓矢を入れて背中に背負った道具である靫(うつぼ)に似ていることに由来するとのこと。この植物も薬効があり、漢方薬にも使われているそうです。ひとつひとつの小花があんなに美しいとは近づいて観察してみて初めて分かりました。

☆第五問☆

『オカトラノオ』

小さな星形の白花が房状に集合しています。この花が夏の訪れを知らせてくれます。群生している箇所では花房が同じ方向を向いていることに気がつきます。太陽の方向でしょうか?「○○トラノオ」っていろいろありますよね。ウミ、ヌマ、イワなど。空気清浄効果で人気のサンスベリアも別名「トラノオ」。虎のしっぽをよく見たことがないのでピンときません。

☆第六問☆

『ツリガネニンジン』

こちらも初夏を知らせる花です。ちいさなベル型の花が可愛いですね。名前の由来は花の形が釣鐘、根が朝鮮人参に似るというところからだそうですが、この植物も本公園の指定植物のため引っこ抜いて根の形を確認できていません。

☆第七問☆

『ラセイタソウ』

三陸をはじめ海の岩場や崖地ではよく見られる植物です。シワシワで分厚い葉っぱは一見作り物かと思うほど印象的です。花は地味で目立ちません、葉っぱが主役の植物です。見つけたら是非葉を触ってみてくださいね。

☆第八問☆

『ノハナショウブ』

花菖蒲の原種です。紫色の花弁に黄色い筋が入ってド派手な印象です。黄色い筋は蜜へ導く印なのだそう。この植物の受粉システムは非常に興味深いです。碁石海岸ではニッコウキスゲが終わるとこの花にバトンタッチ、場所によって一面のノハナショウブを楽しむことができます。

☆第九問☆

『カキラン』

小さな花でも面構えはしっかり蘭です。花の色が柿の実の色に似ているからこの名が付けられたそうです。オレンジで目立ちそうに思うのですが、上から眺めると緑がかった色で見つけにくいです。碁石海岸でも数が多くはないので大切に見守っていかなくてはならない植物です。

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2021年07月01日八幡平は花盛り

十和田八幡平国立公園 盛岡 工藤紀恵

皆様こんにちは。盛岡管理官事務所の工藤です。

梅雨の晴れ間を狙って、八幡沼周辺の散策路を巡視してきました。

盗採跡や踏み込みの跡もなく皆さんルールを守って散策を楽しんでおられました。

この八幡沼周辺散策路は非常に歩きやすく整備されており、高山植物をゆっくりと観察しながら散策が可能です。

駐車場に車を停めて散策路に入ると、なんと20歩でハクサンチドリがお出迎えをしてくれました。

その他にも、ヒナザクラ キヌガサソウ イワカガミ コバイケイソウ(蕾) ショウジョウバカマ ヒメシャクナゲ ベニバナイチヤクソウ ズダヤクシュ シラネアオイ ワタスゲ(綿毛) ベニバナイチゴ ミズバショウ ツマトリソウ チングルマ ニッコウキスゲ イワイチョウ ミヤマキンポウゲ サンカヨウ アオノツガザクラ マイヅルソウ モミジカラマツ ミツバオウレンなどが確認できました。

左上:ヒナザクラ  右上:ヒメシャクナゲ

左下:キヌガサソウ 右下:アオノツガザクラ

※人気の高い植物を抜粋しました。皆さんの推しは入っていますか?

散策路では多くの植物が雪解けを待ち構えていて雪解け後は一気に花を咲かせますので、春の花と初夏の花を同時に楽しむこともできます。

木歩道から外れて湿地を傷つけないよう腕を伸ばして、モウセンゴケを撮影していたご婦人方を激写しました。撮影した画像をお見せしてAR日記に載せていいですかと伺ったところ、「マァスクしてらし、顔もうづらねがら、だぁいじょぶ。だいじょぶ。」と快諾して下さいました。植物との出会いも楽しいですが、ハイカーの皆さんとの出会いも散策の楽しみの一つです。注:カッコ内は東北弁の雰囲気で読んでみて下さい。

八幡平はなんと言っても、手軽に散策を楽しめるのが魅力ですが、風の強い日や気温の低い日もありますので、本格的な登山装備とまではいかなくても防寒具や風よけのジャケット、カッパなどがあると安心です。

八幡平ドラゴンアイの人気が高まり、初めて八幡平を訪れる方も増えていますが、是非何度も足を運んでいただき、八幡平の奥深い魅力を楽しんでいただきたいです。

国立公園でお会いしましょう。

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