2021年1月
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2021年01月20日地吹雪の伊豆沼で
仙台 鎌田 和子
こんにちは、仙台自然保護官事務所の鎌田です。
地吹雪の伊豆沼で寒さをこらえているオオハクチョウ、オオヒシクイを紹介します。
晴れ時折地吹雪、身体の芯まで冷える一日、伊豆沼の中央部は凍りその表面を強風とともに雪が吹いています。手前で休んでいるオオハクチョウの1枚1枚の羽根が風に踊ってました。
頭を翼を折りたたんだ背中にかくして、お休み中,背眠(はいみん)をしているオオハクチョウ、よくみると目を開けて警戒はおこたりません。熟睡できるのかしら?
一方田んぼでは、オオヒシクイを観察してみました。
田んぼも地吹雪、オオヒシクイも背眠(はいみん)、こちらは当番制、どこかで誰かが頭を上げて警戒しながら、群れの眠りの安全を見守っているようです。
地吹雪の合間、みんなで田んぼの凍った土をつつきながら、貴重な食糧をさがしていました。カメラを車の陰から向けただけで警戒し、お尻を向けていつでも逃げられる体勢。
オオヒシクイの白いお尻を見ると、モフモフしています。越冬中の雁の仲間のお尻のあたりを観察していると、秋よりもふくよかな感じがします。この寒い中、食糧(落穂、落ち大豆、雑草など)をせっせと食べて、北へ帰る日に備えています。肥えたお尻はしっかり食べている証拠かな。
1月下旬から2月中旬にかけて、北帰行(ほっきこう)がはじまります。今年のような寒さでは、どんな形で旅立ちがはじまるのでしょう。どうぞ、元気に過ごしてほしいと願うばかりです。
2021年01月14日「最近の朝のお仕事」
磐梯朝日国立公園 裏磐梯 小野寺浩詩
裏磐梯自然保護官事務所の小野寺です。
少し遅くなりましたが2021年もどうぞよろしくお願いいたします。
さて、昨年の終わり頃から日課になっている朝一番の仕事があります。
雪国あるある、そう雪かきです!
ここ裏磐梯はスキー場が三つもあるれっきとした雪国です。
私はここに来る前、福島は温かいというイメージをもっていましたが、会津地方(ここ裏磐梯)は日本海側気候の影響を受け、雪が多く降る地域となっています。
昨シーズンは会津地方も雪が少なかったと聞いていますが、今シーズンは雪が降り積もる日が続いています。さすが、自然は昨シーズンの帳尻を合わせているのかもしれません。
さて、話を戻します。
出勤して車から降り、まずすることは、車を止めるための駐車場の雪かきです。
そして、自分たちの歩く道やお客様がいらしたときのために事務所周りの雪かき、公用車の雪落としなどがあります。(時には屋根の雪落としをすることも!そうしないと建物自体が潰されてしまいます)
私もこれまで、除雪機を用いた除雪作業をしたことはありますが、ここまでの頻度で行ったことはありませんでした。なんと事務所には除雪機が2台あるのです。
この2台を駆使し、職員総出で行っても1時間から2時間ほどかかってしまいます。
雪かきをして良いこと!
んー、なかなか思いつきませんが、この降り積もった雪が辺りの景色を一変させ、素晴らしい景観をもたらしてくれること、春になり雪が溶け、様々な生きものたちのいのちの恵みとなっていくことを考えると溜飲が下がる思いがします。
ただ、どうか雪かきをしなくて良い程度に少しずつ降り、すぐに溶けてまた少し降るみたいな状況になってくれると嬉しいのですが・・・。
春の訪れを待ち焦がれつつ、今回はこの辺で失礼いたします。
2021年01月14日十和田ビジターセンター企画展「鉱山から始まった十和田湖のくらし」
十和田八幡平国立公園 村田 野人
こんにちは、十和田八幡平国立公園管理事務所の村田です。
今回は十和田ビジターセンターで開催中の企画展の紹介です。
現在、十和田ビジターセンターでは、令和3年1月12日から2月21日(日)まで、企画展「鉱山から始まった十和田湖のくらし」を開催中です。
江戸時代に十和田湖は、最盛期から衰退しつつも信仰の山であり人跡まれな奥山でした。そのわずか30から40年後大正の初め、湖畔にはホテルが立ち、自動車が走り、郵便局があり、観光地として注目を集め始めていました。この信仰の時代と観光の時代をつなぐ、ミッシング・リンクこそ鉱山の時代でした。
十和田湖に人が住み始め、集落ができていく、その過程には湖畔の鉱山開発と深い関係がありました。企画展では歴史資料を基に明治時代の十輪田銀山・鉛山の発展と生活の様子、後世に鉱山が遺したものについて紹介します。
<企画展「鉱山から始まった十和田湖のくらし」
※企画展の詳細はこちら
タイトル:企画展「鉱山から始まった十和田湖のくらし」
期 間:令和3年1月12日(火)から令和3年2月21日(日)9:00ー16:30
(毎週水曜日は休館)
会 場:十和田ビジターセンター
(〒018-5501青森県十和田市奥瀬十和田湖畔休屋486)
主 催:十和田ビジターセンター運営協議会
資料提供・協力:小坂町総合博物館「郷土館」、小坂町町史編さん室
協 力:環境省東北地方環境事務所十和田八幡平国立公園管理事務所、(一財)自然公園財団十和田支部
2021年01月07日碁石海岸*冬さんぽ
三陸復興国立公園 大船渡 坂本麻由子
謹んで新春のお喜びを申し上げます。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。
大船渡自然保護官事務所の坂本です。
【2021年初日の出@大船渡市三陸町越喜来湾_みちのく潮風トレイルルート上です】
積雪が少ないと言われる三陸沿岸の中でも特段温暖な大船渡ですが、
この冬は朝のうちうっすら雪化粧しています。
珍しい碁石海岸の銀世界を"冬さんぽ"気分でご覧ください。
碁石海岸の名前の由来でもある「碁石」のような丸石の浜での雪は
朝の早い時間にしか見ることができません。
石が太陽にあたためられすぐに雪は溶けてしまいます。
日中の気温がさほど上がらないので日陰は溶けそうにないですね。
サクサク雪を踏みしめる音も楽しいです。
真下に見える冬の海は透明度が高く、本当に美しい。
ツバキは大船渡と陸前高田の市の花とされ市民に親しまれている花です。
ここ椿園では早生から晩生種までツバキ各種約1,000本植えられているので
秋から春にかけて長い間ツバキの花を楽しむことができますよ。
今日咲いていたのは真っ赤なサザンカ。
地面をほじくり返して餌を漁るカシラダカが足元で見ることができました。
スズメによく似た鳥ですが、頭の毛がモヒカンのように立っているのが特徴です。
餌になる木の実が雪に埋もれてしまって慌てているのでしょうか、
いつもは高い枝の上に見かけることが多いのですが
この日はだいぶ低い地点で見ることができました。
公園内ではありますが漁船や釣り人などと出会え人の営みを感じることができます。
碁石海岸遊歩道で最大の難関"心臓破りの階段"を今日は下りでホッとしたのも束の間
雪や氷におっかなびっくりしながらの急な下り階段で
想定外に心臓に負担をかけつつ無事たどり着いた垂水浜(たれみずはま)。
みちのく潮風トレイルの標識が迎えてくれます。
楽しかった雪上ハイキングもこの上り階段の途中で終わってしまうようです。
足元から雪が消え、土の上を余韻に浸りながら歩いていると
風が吹き枝が揺れる音がサラサラと雪が飛ぶ音が聞こえました。
見上げてみると枝葉に積もっていた雪が風に吹かれ
太陽の光を浴びキラキラと輝いて舞っていました。
ここは厳冬地ではないので、空気中の水蒸気が凍って光る
ダイヤモンドダストではないのはわかっていますが
儚い雪の一粒一粒のフラッシュを観察することができました。
思い切って外へ出て自然に触れてみませんか?
2021年01月06日厳冬期の伊豆沼から
仙台 鎌田 和子
あけましておめでとうございます。
仙台自然保護官事務所の鎌田が今年も宮城県内の国指定鳥獣保護区の情報をお伝えいたしますので、よろしくお願いいたします。
野鳥の高病原性鳥インフルエンザの発生抑制と被害の最小化に努めるため、環境省の取り組みの一環として毎年、10月から5月頃まで全国51ヵ所の冬の渡り鳥の飛来地で行われている糞便調査と採水調査を国指定伊豆沼鳥獣保護区でも実施しています。
東北地方環境事務所野生生物課の濱田係長と一緒に糞便調査と採水調査の行っていますが、写真は、12月の大雪の日の糞便探しの様子、その翌日は凍てつく伊豆沼の水を採取しています。この場を借りて、濱田さんありがとう。この時の糞便も水も、陰性でした。水鳥たちの元気な証拠かな?
糞便調査のほかに渡り鳥飛来状況調査を実施しています。伊豆沼鳥獣保護区内にどんな水鳥が飛来していて、どの位飛来しているのか、また弱った個体がいないか、冬の渡り鳥が北に帰るまで、国指定伊豆沼鳥獣保護区の管理員のお二人とアクティブレンジャーが月に3回調査しています。
国指定伊豆沼鳥獣保護区はラムサール条約湿地でもあり、宮城県栗原市、登米市の観光地でもあります。
冬のお楽しみは、親子で、カップルで、ご家族で、みんながハクチョウやオナガガモにエサを与えて間近に観察できることです。下の写真はオナガガモが奪い合うようにしている姿を見て、犇めく(ひしめく)丑年に合わせて牛が三つ、密だなと思って撮影してみました。
ここで、お願いがあります。集まってくる鳥たちを間近で見ることで、小さいお子さんがつかまえることができるのではないかと追いかけているシーンを度々みかけます。鳥がおどろいてしまうのでそっと観察していね。野生の生きものである野鳥もばい菌を持っているかもしれないので、直接エサを手からエサを食べるような与え方を避けてくださいね。お帰りの際は、手指の消毒と、えさを求めて集まる鳥たちの足元には鳥の糞がいっぱいです。靴底の消毒も忘れずに!
厳冬の伊豆沼
12月から次々と寒波が訪れ、伊豆沼では9割結氷しています。よく見ていると、純白なハクチョウとちょっと茶髪のハクチョウをみかけることがあります。もしかすると、日本海側のもっと厳しい寒さから伊豆沼に避難してきた鳥たちと伊豆沼を越冬地としているハクチョウが混ざっているかもしれません。良く観察してみてください。
結氷した伊豆沼、解放水面にハクチョウやカモたちが集まります。氷上の足跡はハクチョウが歩いている証拠、キツネなどの動物が獲物を狙ってるかもしれません。
下の写真は、登米市側の伊豆沼前沼の駐車場でのオオハクチョウの行進、観察にお越しの際は、交通事故が起こらないよう、ご注意願います。
いろんな危険が待っています。
いつもは沼で過ごすことの多いオオヒシクイですが、沼が結氷したため、伊豆沼の周辺の田んぼのあぜなどに集まり、休んだり、雑草を食べたりして過ごしている様子を観察することができます。
厳冬期ならではの伊豆沼に訪れてみませんか。
2021年01月05日初春の慶び
十和田八幡平国立公園 伊藤 あけみ
謹んで初春のお慶びを申し上げます。
周辺の木々に多く見られる宿り木が、青空に映えてとても美しい季節です。
〈冬も元気なアカミノヤドリギ〉
「あしひきの 山の木末(こぬれ)の 寄木(ほよ)とりて
挿頭(かざし)しつらくは 千年(ちとせ)寿(ほ)くとぞ 大友家持」
「山の木の梢の寄木を取って
挿頭(かざし=髪に挿す草花や枝)にしたのは、
千年(の世)を祝ってのことです。」
昨年の今頃は、こんな世情になるとは思いもせず、冬の間は何処の山に行こうかと
新しい年のわくわくすることばかりを考えていた伊藤です。
出かけたい山は、国内はおろか県外にさえも気軽に出かけられない状況が続いています。
そんな中で、少しでも十和田八甲田奥入瀬の美しい風景をお届けしようと思ってきましたが、
拙い写真ゆえ素晴らしさが伝わったかはわかりません。
昨年も温かく見守っていただき、たいへんありがとうございました。
新しい年も、すぐには平穏無事にとはいかないと思いますが、心穏やかに、楽しんで、
人の役にたてるような人間でいたいと思っています。
本年もどうぞよろしくお願い申しあげます。
さて、宿り木を良く観察すると、黄色や橙色の実の色の違いだけでなく、枝にも違いがあり
種類の違う宿り木であることを教わりました。
冬枯れの樹木に、花が咲いたように見える宿り木は、古くから神聖なパワーを持つとされる
縁起の良い植物と知ると、わくわくしてきますね。
〈ホザキヤドリギ:枯れ木に花の咲いたよう〉
〈ホザキヤドリギの実:葉が落ちても頑張っている〉
仕事始めの4日は、年末年始に降り続いた雪を一度に除雪しなければならなく、
事務所全員で作業しました。
〈4日の朝の積雪状況〉
〈除雪機では難しい部分は手作業です:十和田事務所長奮闘中〉
また、12月24日~1月31日まで、イオン下田ショッピングセンタースターバックス前にて、
「十和田八幡平国立公園写真展」を開催しております。
お近くにお越しの際は、どうぞお立ち寄りくださるようお願いいたします。
また今後、管内でも数カ所予定されていますので、下記スケジュールを参照のうえ、
ご来場よろしくお願いいたします。
○青森県
おいらせ町 イオンモール下田 12/24~1/31
○秋田県
鹿角市 文化の杜交流館 コモッセ 2/17~3/10
○岩手県
八幡平市 結いの広場(市役所ホール)1/15~2/4
最後に伊藤個人の恒例年始歌始め
ひさかたの まばゆき空に 寄木(ほよ)映えて
よろづのわざわい 去りゆかん
2021年01月05日第二弾 網張ビジターセンターリニューアルのお知らせ
十和田八幡平国立公園 工藤紀恵
盛岡管理官事務所の工藤です。寒い日が続きますね。岩手県は本州で最も年平均気温が低い県です。年末年始は強い冬型の気圧配置の影響で我が家のサッシも凍り付き、窓が開かないため換気が難しい日もあったほどです。
さて、先日網張ビジターセンターのリニューアルについてお知らせいたしましたが、本日の第二弾では館内のいたるところに使用されているイラストデザインについて紹介します。
地元のイラストレーターの方のデザインで、網張ビジターセンターが明るく軽やかな雰囲気となりました。
お越しいただいた皆さんに「ここはどんなところ(施設)なんだろう?」とワクワクしてもらえるのを想像してワクワクしています。
よく見ると岩手山のイラストの麓にはきのこや動物が描かれています。
本日紹介していない箇所にもイラストが沢山ありますので、どこにイラストが描かれているかを是非ご来館の上、探してみてください。
網張ビジターセンターHPはコチラ
※網張ビジターセンターでは、新型コロナ感染症対策として館内数カ所に消毒液を設置していますのでご利用下さい。またマスクの着用もお願いいたします。
国立公園でお会いしましょう
「一月の五色沼VIEWポイント定点観測」
こんにちは。裏磐梯自然保護官事務所の田中です。
今回のAR日記は、五色沼VIEWポイント定点観測の写真報告です。
その前に、五色沼の簡単な概略とVIEWポイントの事を少しお話しします。
五色沼は、明治21年の磐梯山噴火により発生した岩なだれが川をせき止めことで形成された湖沼群のうち、特に五色沼自然探勝路の周辺に位置する20から30程度の湖沼の総称です。周辺一帯は、異なった色の湖沼群が周辺の植生と一体となった景観を形成していることと、火山性堰止湖沼群における植生遷移を間近に観察できることを理由として、磐梯朝日国立公園特別保護地区に指定されています。湖沼群を縫うように歩道が整備されており、年間約15万人の利用者が訪れる重要な利用拠点となっています。「五色沼自然探勝路」になります・
その一方で、植生遷移の進展に伴うヨシ等の繁茂は、五色沼のVIEWポイントにおける眺望に支障を及ぼしてもいました。そこで、専門家の助言を受けながら関係機関と連携し対策を検討してきました。令和元年には潜在的なVIEWポイントの掘り起こし及び修景のために必要な調査等を実施し、VIEWポイントを7地点にしぼり令和2年10月に修景を目的とした最小限の樹木伐採を行いました。そこで、伐採後も時期ごとの修景及び植生観察のため7地点の定点観測を月1回のわりあいで行っています。
では、7つのVIEWポイントの写真紹介をしていきます。
VIEWポイント① 青沼(南西)
伐採前(R2.10.14) 伐採後(R2.11.17) R3.1.20
VIEWポイント② 青沼(南)
伐採前(R2.10.14) 伐採後(R2.11.17) R3.1.20
VIEWポイント③ 弁天沼(西)
伐採前(R2.10.14) 伐採後(R2.11.17) R3.1.20
VIEWポイント④ 弁天沼(東)
伐採前(R2.10.14) 伐採後(R2.11.17) R3.1.20
VIEWポイント⑤ 竜沼
伐採前(R2.10.14) 伐採後(R2.11.17) R3.1.20
VIEWポイント⑥ 深泥沼
伐採前(R2.1014) 伐採後(R2.11.17) R3.1.20
VIEWポイント⑦ 赤沼
伐採前(R2.10.14) 伐採後(R2.11.17) R3.1.20
番外篇
VIEWポイント⑥の「深泥沼」では五色沼では珍しいコハクチョウが出迎えてくれました。
コロナ禍が落ち着きましたら、透き通った空気を感じに五色沼においでください。
以上で、今回は「おわり」です。