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東北地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]

十和田湖畔 春の記憶

2020年06月12日
十和田八幡平国立公園 伊藤 あけみ

ご無沙汰しております。

水無月の十和田湖の風景です。

〈6月4日 雲海に新緑が映えます〉

十和田湖畔からの春便りをお届けしようと思っている間に、

管理事務所の周りは深い緑に覆われ、

その中に栃の花や朴の木の花が咲き始めました。

木々は大きく両腕を広げて

水無月の風を身体いっぱい受け止めているように感じます。

ということで、あっという間に過ぎ去った春の思い出とともに、

どんな世情でも変わらず美しい風景が広がっていた、

十和田湖畔の風景をお届けしようと思います。

暖冬だった今年の冬は、心残りなのか、

5月20日まで雪がちらついた十和田湖畔ですが、

風雪の中で揺れている、クリーム色の花が目に飛び込んできました。

ところで、いきなりですが、

「アラゲヒョウタンボク」と三回早口で言ってみましょう。

外出自粛が続いて、運動不足も心配ですが、

会話が少なくなるのも心配です。

身体を鍛えるのみならず、声帯も鍛えて、口角を上げて笑顔でいきましょう。

通常は、可憐で儚い花が下向きに二つついているのですが、

何故かここはワイワイと賑やかに上を向いて咲いています。

湖畔を歩くと、岩礫に数カ所咲いている場所がありました。

岩の上のような厳しい環境が好きな花のようです。

〈4月23日 みんな一緒で楽しそうなアラゲヒョウタンボク〉

白と紫のキクザキイチリンソウが咲いている場所で、

花びらの数を数ながら、ふと目をやると、桃色のキクザキイチリンソウです。

キクザキイチリンソウは、花びらの数が6から23枚と多様で、

花の色も白から紫まで様々なバリエーションがあるようです。

こちらは、落ち葉の中のふかふかベッドが好きなようです。

〈4月28日 太陽に向かって背伸びをしているようです 〉

〈4月28日 おはようみんな、とささやいているようです 〉

また、儚げな姿で好きな花の一つでもあるエンゴサクが

、事務所の前でひっそりと頭をもたげていました。

〈5月7日 暖かい春の日差しに涼しげな色のエンゴサク〉

〈5月7日 春よ万歳と言っているようなエンゴサク〉

エンゴサクもキクザキイチリンソウも、スプリングエフェメラル(spring ephemeral)の一つで、

直訳で「春の儚いもの」「春の短い命」と訳され、「春の妖精」とも言われます。

雪解けとともに咲き、夏には枯れて、次の年まで地下で越冬します。

みんな短い春を楽しんで、精一杯生きていました。

〈5月8日 春紅葉と言われる木々の芽吹き 〉

そうしているうちに、オオヤマザクラは既に葉桜になってしまいました。

〈5月13日 満開の桂浜の桜 〉

〈5月21日 仲良く並んだ栃の花〉

〈6月2日高いところで咲くので中が見えない朴の木 〉

エゾハルゼミが鳴き始めました。

業務中に見つけたエゾハルゼミです。

〈6月7日 何が起こったのでしょう〉

〈6月7日 綺麗な色の抜け殻〉

こんなご時世の時は、ご自宅やその周辺でゆっくりされるのがお勧めです

。身近な所に思わぬ発見があるかもしれませんよ。

わくわくしますね。

こんな時こそ、夢や希望を忘れず暮らしたいものです。

明日は明るい日と記します。

普通の明日が訪れること自体が有り難いことではないでしょうか。

どうか世界中の皆さんに、明るい明日が訪れますように

願って止みません。