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東北地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]

ご案内します 「みちのく潮風トレイル」*大船渡市綾里崎(りょうりざき)

2020年04月30日
大船渡 坂本麻由子

みなさんこんにちは。大船渡自然保護官事務所の坂本です。

おうち時間でこの日記を眺めてる方もいらっしゃるでしょうか。

イメージや思い巡らすことは、時間も場所も選ばない

脳を刺激しメンタルへも作用、しかもタダでできる。

昨今にもってこいの時間の使い方じゃありませんか。

現地にいる私たちアクティブレンジャーの発信を見ながら、

一緒に「想像旅行」してみませんか?

今回ご案内するのは岩手県大船渡市のみちのく潮風トレイル綾里崎コース。

4月22日に現地巡視してきました。

高さ30メートルの白亜の灯台がそびえる岬の先端は国立公園にも指定され、断崖美はもちろんのこと

三陸復興国立公園南部の特徴である連なる多くの岬が太平洋に突き出している様子の大展望が楽しめます。

ここ灯台分岐までは最寄り駅の三陸鉄道綾里駅から集落・林道をぬけて歩いて約1.5時間。

眼下に見える灯台までは寄り道ルート。片道20分ほどで到達できますので

体力と時間に余裕がある方は是非お立ち寄り下さい。

歩きながら地図を見ているとこの周辺の岬の名前に目がとまります。

「脚崎(すねざき)」「首崎(こうべざき)」「鬼間ヶ崎(おにまがざき)」「死骨崎(しこつざき)」

なんだか不気味に名付けられた岬が連なるのです。

昔何があったのか、鬼がいた地域なのか、その鬼を成敗してバラバラに? などとここでもつい妄想。

さて、ルートに戻りましょう。灯台分岐から立石山登山道入り口を入ります。

おっと出ました、春から気をつけたい"クマ"への注意看板。

みちのく潮風トレイルの山あいのコースではクマへの注意を呼びかける案内をよく見かけます。

山菜が出始める今時期から本格的に活動開始しますので十分すぎる注意をはらって進みましょう。

 

標高差50メートル急坂のつづら折りを登り切ると道の左右に海が見える気持ちいい尾根歩きになります。

まだ芽吹き前は木々の間から見晴らしが良いです。

さらに進むと、かつて牛の放牧地だった広場に到着。

今は褐色の大地もこれから緑の植物たちがずんずん伸びてきます。

日当たりの良いこの場所、夏には胸の高さまで伸びたワラビモンスターの群生地に大変身。

こんな感じ。(2019年7月撮影)

この日のワラビはまだかわいらしい。

地面にころころしているのはニホンジカの糞です。シカがワラビ食べてくれたらモンスターにならないのに。

広場から5分ほど進むと"藤二大明神(とうじだいみょうじん)"が現れます。

太平洋が見渡せる見晴らしの良い場所に鳥居と石碑が建立されています。

ここから海を眺めて大魚礁を見つけた藤二という男をまつる、大漁祈願の明神様です。

藤二大明神のすぐそばにある"味噌玉石(みそだまいし)"

味噌玉って、見たことないけど似てるのかしら?

大きな岩のひび割れた表面が不思議ですね。

自然を歩くだけのルートかと思いきや歴史や伝説など妄想どころが点在しています。

その後は立石山の中腹を横切る形でルートが取られています。

とても歩きやすい気持ちの良い道です。

地域の方の手作り看板が所々打ってあります。愛されている道なんだなって感じますね。

ヒトリシズカが咲き始めていました。

白い花のように見えるのは実は雄しべ。花びらもガクもない不思議な花なんですよね。

灯台口からスタートした綾里崎歩きももう終盤。

田浜に下りるには、一昨年伐採作業をした場所をくだることになります。

自然の中から一気に産業を感じるエリアになるわけですが、人々の営みとしてサイクルのある山もあります。

自然と人との関わり方を考えてもらうこともみちのく潮風トレイルの役目

『歩くことは考えること』 そんな名言もありますね。

田浜に下りたら集落に出ます。あとはスタートした綾里駅まで舗装路歩き。

綾里駅スタートゴールの周回コースは約16㎞、約5時間。

大自然と人との関わりを感じられる、大船渡で人気の綾里崎コースいかがでしたか?

また次回別のコースをご案内します。お付き合いいただきありがとうございました。