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東北地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]

大潟でのコジュリン情報とミニ観察会のお知らせ

2018年06月21日
秋田 足利 直哉

 秋田自然保護官事務所の足利です。

 

 大潟村にある大潟草原野鳥観察舎でお目にかかった方々にお目当ての野鳥は何かと伺うと「チュウヒ」或いは「コジュリンとオオジュリン」という声が大半を占めます。そこで今回は大潟草原鳥獣保護区や大潟村でのバードウォッチャーに人気の高いコジュリンの観察に役立つ情報をお伝えしようと思います。

 

 

 例年、大潟草原鳥獣保護区でのコジュリンの初認は、3月下旬頃です。今期も3月24日に確認情報がありましたので、ほぼ例年並みの飛来であったろうと推察しています。その後保護区内でさえずりが聞かれるようになり、4月上旬にはかなり賑やかになります。4月5日の巡視時には観察路沿いで5個体のさえずりを確認しています。

 

<コジュリンさえずり:4月5日>

 

 その後、さえずりの賑やかさは続きつつ、草原内を飛翔する姿を見かけるようになります。4月下旬には営巣や餌を運ぶ様子などが確認でき、今年も大潟草原鳥獣保護区内でコジュリンの繁殖を確認することが出来ました。下の写真はコジュリンの雄が餌を加えている様子です。分かりにくいかも知れませんが、昆虫をくわえているのが確認できました。(左下に拡大写真)

  

<コジュリン♂餌持ち:4月26日>

   

 ゴールデンウィークの頃には一部で巣立ち雛が見られるようになりますし、餌を運ぶ個体が増えて各所で忙しく子育てをしていることを伺わせます。

 5月半ばを過ぎると草原内に新しい草が伸びてきて、草原の景色が徐々に変わっていきます。大潟村やその周辺では水路沿いや田んぼの周辺などたくさんの草地があり、草の伸長に合わせてコジュリンたちも生息エリアを拡大していくようです。6月19日には田んぼの畦に伸びてきたヨシでさえずるコジュリンを確認しました。

 

<コジュリン♂囀り:6月19日>

  

 これから先のコジュリンは繁殖活動をする成鳥に加えて、今年生まれたばかりの幼鳥が観察できるようになります。7月中旬を過ぎるとさえずりをする野鳥が少なくなってきますが、そんな中でもコジュリンは比較的よくさえずるので観察しやすいと感じます。

 大潟草原鳥獣保護区でのコジュリンの繁殖活動は4月下旬に巣立つものがいる一方、8月下旬にようやく巣立ちを確認したこともあります。なぜ繁殖期にこうも幅があるのか?よく分かりませんが、他の草原性の野鳥に比べて繁殖活動を早く初めて遅くまで続くことでさえずりをする期間が長くなるのでコジュリンの観察がしやすいと感じているのかも知れません。ちなみに大潟村の農家の方々にコジュリンの情報をお聞きすると『あぁあの頭の黒いスズメみたいな鳥ね』と直ぐに思い浮かべて頂ける方も結構いるので、コジュリンの観察しやすさが認知度を高めていると思われます。

 9月になると観察機会が徐々に減っていき、10月には見かける事がほとんど無くなります。飛去期はいつなのか正確には分かりませんが、これまで11月中旬以降の確認記録はありません。

 

 ということで、コジュリンの観察適期はまさに今!です。日本国内に生息するコジュリンは、国内希少野生動植物種に指定されているオオセッカよりも少ないとするデータや報告もあります。そんな希少なコジュリンがこの時期の大潟草原鳥獣保護区や大潟村では、比較的見つけやすい野鳥です。

 とはいえ・・コジュリンを観察する際には繁殖活動の妨げにならないようにくれぐれも気をつけて下さい。また、もし田んぼなどで観察する際に農家の方々の邪魔や迷惑にならないように十分に注意して下さい。

 

 

 最後にミニ観察会のお知らせです。

 6月27日(水)午後1時から大潟草原野鳥観察舎やその周辺で約1時間のミニ観察会を実施します。テーマは雨の心配が無ければ「イタチハギ」を勉強したり観察したりとちょっと掘り下げてみようと思っています。雨が降ったら「野鳥の羽をひろったら」としてフィールドで野鳥の羽を見つけた時にそれを拾ってから保管するまでの流れを実践してみようと思っています。事前申込みや参加料は不要です。興味のある方は大潟草原野鳥観察舎にお越し下さい。お待ちしております。