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東北地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]

八幡平オオハンゴンソウ駆除活動と大沼の自然

2017年08月31日
十和田八幡平国立公園 伊藤 あけみ

こんにちは。

近頃、仕事でもプライベートでも飛び回っています。

十和田の伊藤です。

先週末は、岩手山から安比までの50キロトレイルを歩いてきましたが、仕事では8月24日に、八幡平ビジターセンター近くのオオハンゴンソウ駆除活動に参加してきました。

オオハンゴンソウは明治時代中期に園芸植物として渡来し、北海道から本州にかけて野生化しました。非常に繁殖能力が旺盛で、在来種を脅かす危険性があるため、2006年2月に特定外来生物に指定され、許可無く栽培や移動ができなくなりました。

       【オオハンゴンソウ】

当日の駆除場所は、後生掛温泉付近の水路周りと後生掛温泉駐車場付近の道路脇です。

オオハンゴンソウは、地下茎と種子の両方で増えるため、バールで根こそぎ抜きとらなければなりません。

根が残ると、そこから芽を出して成長します。

        【根元から新芽がでる】

また、シードバンクと言って、土の中に種子が蓄えられて発芽し、どんどん増えます。

芽を出したばかりの葉は、形状が異なりオオハンゴンソウとわかりにくいので、注意しながら探します。

        【オオハンゴンソウの若芽】

        【パークボランティアの皆様、自然公園財団の皆様、お疲れ様です】

傍らには、可愛らしい花々が咲いていますが、オオハンゴンソウの勢力に負けそうになっていました。

        【小指の爪より小さいアカバナ】

また、付近は熊の生息地でもあり、ミズバショウの実をたべてしまった熊が、食べるものが少なくなり、ミズバショウの葉っぱまで食べてしまっていました。

        【熊が食べた跡があるミズバショウの葉っぱとトンボのヤゴの抜け殻】

当日は、途中から雨になりましたが、2時間で米袋にすると5袋分を抜き取りました。

変わらぬ自然があるのは、こんな小さな努力の賜なのかもしれませんね。

駆除場所の近くにある八幡平ビジターセンター前の大沼には、コウホネがわずかに残っていて、残り少ない季節を惜しむように力強く咲いていました。

雨の中で撮影した写真を帰ってから見てみると、コウホネの花にとまっている綺麗なトンボがいて、そこに雨の滴がついている様子が見られました。

        【コウホネ】

        【サワギキョウ】

サワギキョウなど紫の花が目立ちます。

大沼は、熊の出没回数が多い場所でもあります。木道脇に熊が座ったような跡と、そこから林に歩いて行ったと思われる道ができています。散策される際には、ビジターセンターで熊の出没情報を入手したり、熊鈴や熊スプレーを携帯するなど、十分注意してお出かけください。

        【熊の道】

        やがて来る白い季節の前に、もう少しだけ動植物の営みを感じてみましょう。