東北地域のアイコン

東北地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]

特別企画!みちのく潮風トレイル踏破奮闘記その①~八戸編~

2015年03月26日
八戸 中居 巧貴

~プロローグ~

昨年10月8日から12日までの5日間、みちのく潮風トレイルの八戸市-久慈市区間の調査で歩く機会がありました。今回、調査で歩いたのは、

◆右:八戸自然保護官事務所 中居巧貴(なかい こうき):27歳

★左:宮古自然保護官事務所 古館百合子(ふるだて ゆりこ):23歳

 両者ともアクティブ・レンジャー1年目。八戸市から久慈市までの約100キロを通して歩くのは、今回が初めてでした。

 この二人の対談形式により、みちのく潮風トレイルの沿線風景などを4回(八戸市編・階上町編・洋野町編・久慈市編)にわたって紹介していきます!

~第1章 八戸市編~

◆中居:1日目の八戸市は、台風一過の晴天に恵まれ、まさにトレイル日和ですね、古館さん!

★古館:一時は台風でどうなることかと思いましたが、無事にスタートすることができそうでホッとしました!まずは、1つ目のチェックポイントであり出発点である蕪嶋神社で、安全祈願をしましょう。

★古館:ここで祀られている弁財天は、商売繁盛や子授けにもご利益があるとされていて、漁業の守り神でもあるそうです。今(10月)はあまりウミネコはいませんが、春先にはたくさんのウミネコが島全体を埋め尽くしますよね!

◆中居:春になると約3~4万羽ものウミネコがここにやってきます!ウミネコは「弁天様の使い」と言われ、漁場を知らせてくれる鳥として昔から大切にされてきました。

★古館:トレイルスタンプ帳に1つ目のスタンプを押し、いよいよ久慈市に向けて出発です!


左上:ハマギクの群落

右上:鮫角灯台

左下:葦毛崎展望台

右下:葦毛崎展望台からの景色

★古館:沿線上では、ちょうどハマギクの群落があり、とても綺麗です!また、緑広がる草原で種差の海を見守っている鮫角(さめかど)灯台や、弓状の海岸線を眺めることができる葦毛崎(あしげざき)展望台も絶好のビュースポットです。

◆中居:綺麗な花や景色に夢中になって歩いていたら、お腹が減ってきました!

★古館:ちょうど次のチェックポイントである「ホロンバイル」に到着するので、お昼をいただきましょう!

★古館:軽食だけではなく、食事もあるので、しっかり食べたい人にもいいですね。

◆中居:このように、地域のグルメを楽しむのも、トレイルの楽しみ方の一つですね。

◆中居:八戸市区間の魅力は、岩礁→砂浜→松林→草原と、短い海岸線の中でもコロコロと景色が変わることです。歩いていて楽しいですし、飽きることがありません。豊かな自然環境があるおかげで植物も豊富です。夏はニッコウキスゲとノハナショウブの競演が見ものですよ!

左上:岩礁並ぶ中須賀

右上:夏に見られる、ニッコウキスゲとノハナショウブ

左下:樹齢90年以上のクロマツが広がる淀(よど)の松原

右下:「鳴き砂」の大須賀海岸

★古館:淀の松原を抜けると、種差海岸を代表する景勝地、「種差天然芝生地」に到着です!

◆中居:ここには仕事でもプライベートでもよく来ますが、何度来てもこの景観を見るたびに「やっぱり、良いわぁ...。」とつぶやいてしまいます笑

★古館:この芝生地では1965年(昭和40年)までは馬が放牧されていて、名馬の産地として知られていました。馬が草を食んだり踏みしめたりすることで圧力に強い芝が生き残り、草原が維持していたされてきたようです。

◆中居:...古館さん、なんか俺より八戸に詳しくなってますね...。

★古館:芝生地の向かいにある、チェックポイント「種差海岸インフォメーションセンター(以下、種差海岸IC)」で教えていただきました!

◆中居:種差海岸インフォメーションセンターは木造平屋建ての施設で、木の香りでほっこり癒やされます。近くには民宿や食堂もあり、隣の休憩所では、種差をイメージしたスイーツも食べることができます。

★古館:潮風トレイルの情報コーナーの他にも、三陸復興国立公園や、地域の自然と暮らしのつながりの紹介などもあるので、スタンプを押しながらゆっくり見学するのもいいですね!

◆中居:おっと!スタンプといえば、ここでついに八戸市区間のスタンプが3つ揃い、八戸市区間を踏破した証として、「ピンバッジ」と「八戸市区間踏破証明書」をいただきました!


左上:種差海岸インフォメーションセンター

右上:八戸市区間踏破証明書とピンバッジ

左下:八戸市区間のスタンプが揃って喜ぶ中居アクティブ・レンジャー

右下:踏破証明書をGETした中居・古館アクティブ・レンジャー

★古館:さて、ここでだいぶ日も暮れてきたので、この日は芝生地の近くにある民宿に泊まりましょう!

◆中居:種差に民宿はいくつかありますが、どこに宿泊しても旬な食材を活用した新鮮なお料理をいただくことができます!

★古館:さらに、この日は偶然ながら、皆既月食が見られる日で、多くの方々が芝生地で観測していました。

◆中居:皆既月食も綺麗ですが、芝生地から見る朝日も綺麗なんですよ!

★古館:本当ですね!水平線から昇る朝日を撮ろうと遠くから訪れていたり、散歩で毎日歩いている方もいますね。種差がたくさんの人に愛されているのが伝わってきました!


◆中居:景色を満喫して、また民宿に戻って朝食をたべたあとは、大久喜・金浜を抜け、ついに隣町の階上(はしかみ)町です!古館さん、初めての八戸市区間のトレイルはいかがでしたか!?

★自分の管轄地域とは違った特色があって、歩いているだけで楽しかったです!天然芝生地はもちろん、普段なかなか歩くことのない広い砂浜が特に印象的でした!途中、種差の植物を研究している先生に出会って2時間くらい一緒に歩いたおかげで、種差の興味深い生き物についてもだいぶ詳しくなった気がします!民宿の女将さんをはじめ、出会う方々みんな気さくで素敵でした!

◆中居:古館さんもすっかり八戸市区間の魅力に惚れましたか...!景色だけではなく、地域の方々との交流もトレイルの魅力の一つですよね。八戸市のコースは比較的平坦で歩きやすいので、普段あまり歩かない、という初心者の方も気軽に楽しむことができます。種差海岸インフォメーションセンターでは、様々な体験プログラムやトレッキングイベントを用意しているので、そちらも気軽に参加していただけたら、種差の魅力をより感じられるかと思います

※種差海岸インフォメーションセンター ホームページhttp://tanesashi.info/

★古館:次回は「第2章 階上町編」をお送りします!今回はこの辺で!

◆中居・★古館:それではまた!